こらぼでほすと 解除9
キラたちは、リジェネを介して一度目のトランザムバーストが終了したという報告を貰っていた。これで、ダメなら二度目もあり、だが、まあ、なんとかなったはずだと息を吐く。悟空たちは、翌日、特区に戻ったが、キラとアスランは、そのままラボのほうに泊まりこんでいる。シンとレイは、とりあえず学業優先なので、朝から特区へ出向き、また夕方に別荘に戻って来るという予定だ。ちゃんと終了の報告を受けたいし、キラのほうへの襲撃が再度、行なわれては堪らないから護衛を買って出ている。
「なんか世界中で、ファイヤーしてるね? 」
「そりゃ、あれだけやれば派手に炎上もするだろう。こちらとしては好都合だ。うちに襲撃を仕掛ける暇はないだろうから。」
「・・・・これで、まだやるなら僕も本気でやっちゃうし? 」
「それ、三大大国が崩壊すると思うんだが? キラ。」
今回の騒ぎだけでも、かなり政治中枢は壊滅的な影響を受けている。どこの国も、その国の首脳陣のやり口に異議を唱えている。国民も然りだ。こうなってくると、現在の首脳陣は退陣する外はない。この上さらに、キラがアスアスちゃんでも、各国のマザーに投げ込んだら大混乱するだろう。ただ、最後の仕返しに、と、ミサイルを撃ち込んでくるバカはいるかもしれないから、キラはラボに篭っている。ここなら、迎撃も可能だし、直撃しても地下のラボまでは影響はない。核ミサイルなら問題だが、それを撃ち込むと、特区全域も汚染されるから、それはないだろうという判断だ。そこまでやるなら、キラもアスランも本気で、核ミサイルのボタンを押した相手に報復するつもりだ。
「そこまではしないと思うけどね。・・・・クリスマスウィークに突入前にママは帰ってくるけど、今年は、どうするつもり? 」
「今年は、ノーマルにサンタなんか、どう? キラ。みんなでサンタの衣装とかならサイズもいけるんだけど? 」
「トナカイとか天使も欲しいな。ついでに、サタンもいると楽しいかな。」
「サタン? なんか、おかしくないか? クリスマスにサタンは登場しないだろ? 」
「なら、ナマハゲ? 」
「もっとおかしいぞ、それ。和洋入り乱れてる。」
「うーん、白と黒の天使がいると楽しいと思ったんだけど。」
「それぐらいなら、どうにかなるかな。黒の天使は俺か? 」
「そうそう、それで僕が白の天使。サンタは悟空だね。他は適当に天使とトナカイさん。」
「いや、サンタは、もう少し増やそう。そうでないと、色合いが寂しい。」
「サンタに似合いそうなのって、誰かな。ムウさんと虎さんはいけるね。トダカさんもサンタかな。」
「じじいーずがサンタってことで衣装の手配はしておくよ。他は、適当に振り分けて天使とトナカイ。」
「うん、それでいいんじゃない? ・・・はあ、その頃までに落着いてくれるといいなあ。僕、クリスマスプレゼントの用意もしたいんだよね。」
店のほうは、クリスマスウィークは毎日がイベントデーだ。だから、衣装も、そういうものになる。それから、お客様に、ちょっとしたクリスマスプレゼントの用意もしなければならない。キラが用意したいのは、歌姫様と姉のカガリの分だ。他は、一つ用意して、店で抽選することになっている。
「ネットの取り寄せにしてくれないか? さすがにショッピングモールに遠征するのは危険だ。」
「そうかなあ。トダカさんが、いろいろといたしてくれたから静かだと思うんだけど? アスラン。今、ユニオンのエージェントは特区にいないでしょ? 」
「まあ、そうだけど。他のところのは居るんだが? 」
特区に居たユニオンのエージェントたちは、トダカーズラブが片っ端から捕まえて本国へ強制送還させてしまった。それも船便なので、本国に到着するのはクリスマスの後ぐらいの予定だ。まあ、生存していれば、という括弧書きはついているが。
「他? いるかなあ。かなり忙しいから、特区の人員は減ってると思うけど。」
「それでも用心するにこしたことはない。ラクスなら花でもいいだろ? 」
「じゃあ、カガリは? 」
「鉄アレイでもいいんじゃないか? 」
「それ、誕生日にカワイイの贈ったよ? 」
今年の誕生日に、キラはカガリに、それらを贈った。カワイイ色合いのダンベルやら鉄アレイやらのセットを見つけたからだ。女の子っぽくてカワイイとカガリにも好評だった。
「あいつ、何を喜んでくれるかなあ。」
アスランに贈り物の意見など、キラも求めていない。なんせ、このオタクは、婚約者の誕生日やイベントに、延々とマイクロユニットで自作したペットロボを送り続けたからだ。どうせ、ハロとかトリィとか言うのだ、このオタク。それは理解しているから、キラもアスランに難題を押し付けるのは諦める。
「悟空に相談するから、いいよ。」
「そうしてくれ。俺じゃあ、わからない。」
ニールのメディカルチェックが終わるまで、時間はある。だらだらと、ラボでデータの分析をしつつ時間を潰しているだけなので、どちらも気楽な気分だ。何かしらの報復攻撃がやってきたら、先に警戒警報が鳴るように手配している。
「じゃあ、アスランは何くれるの? 」
「毎年、同じもので申し訳ないがケーキと俺でいいか?」
「じゃあ、僕も、僕でいいよね? なんか仮装したほうがいい? 」
「それは考えておく。当日に届くように通販しておくよ。」
「通販ってことは、エロエロってことだね? くふふふふ・・・オッケー。でも、エロエロの前に、おいしいケーキは食べさせてよ? アスラン。」
「はいはい、イザークに相談して、おいしいのをチョイスしておくよ。」
メディカルチェックが終わるまで、キラとアスランはラボの管制室で待機の予定だ。店のほうは、予約がないから休みにしてある。アスランは、ここ数日を休むつもりで、予約を入れなかった。一度で完治するなら、後数時間後にはラボを離れる。再度なら明後日まで、ラボに待機の予定だ。
キラも、それは解っているから、のんびりと時間を過ごしている。ラクスやカガリに贈るプレゼントの選定を、パネルをいくつか展開させて探していたりする。
作品名:こらぼでほすと 解除9 作家名:篠義