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とある世界の重力掌握

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「私の故郷で、イギリス.....『グレートブリテン北アイルランド連合王国』すぐ横に位置する島よ。昔はイギリスの領土だったこともある国なの 」

クリスの言葉に、護は首をかしげた。

「あのさ...... そこがどんなとこかは分かったけどさ、なんでそこに旅行って話になるんだ? 」

「それがね.....お父さまが里帰りしてこいっていってるの。今夏休みでしょ? 」

そう彼女はアイルランド人なのだ。能力に憧れて国を離れ、学園都市にやっつきて『念動能力』を手に入れた.......ただ分からないのが、なぜ彼女が『暗部』に入ったかだった。

「ふーん。だけどそれに僕達がどう関わってくるのさ? 」

「うん....お父さまが『お前の友達もついでに連れてこい』って言ってってね。それで護たちさえよければ『ウォール』の皆とインデックスちゃんも一緒にいけないかなと思ってるの 」

それは護にとっては是非行きたい話だが、それには懸念材料が1つある。それは自分たちが『暗部組織』の人間だということだ。

『ウォール』の人間の役目は『外部組織の排除、及び殲滅 』であり、護たちは街の中に潜む、あるいは進入してくる外部組織の工作員などと戦う役目をもっている。

里帰りという事情でアレイスターが役目を解くだろうか?

「それは確かに行きたいけどさ。統括理事長(アレイスター)がそれを許すか? 」

「それがさ、もう許可をもらってあるの 」

護は思わず口にしていた、コーヒーを吹き出しそうになった。アレイスターが許したって!?

「ええと、確かここに......あった! これがアレイスターからの通達よ 」

クリスが自分の学生カバンから出したのは一枚のコピー用紙。

「なになに.....『アイルランドへの渡航を許可する。準備が済み次第、すぐにでもでても、構わない。ただしせっかくアイルランドに行くのだから、現地組織の調査をしてもらいたい。具体的には学園都市に刃を向ける可能性のある外部組織の調査だ 』......なんか許すどころか、積極的に行くことを進めてるみたいだぞ? 」

「そこが私にも不思議だったんだけど.......まあ、とにかく旅行にいけるというのは分かったでしょ? みんなで一緒にアイルランドに行かない? 」

しばし悩む護。なんだか嫌な予感がしたりするのだ。あのアレイスターがこんなに普通に渡航を認めるというのはおかしいのだ。だが、逆にこれがアレイスターの想定している『計画(プラン』に関係している場合には.....それを避けることは、自分が守ろうとしている人を危険にさらすことに繋がる可能性がある。それだけは避けたいという思いが最終的には肩を押した。

「それじゃあ、行くとするか! 他のみんなにも連絡して......ついでだから当麻の奴も誘おう。いいかクリス? 」

「別に構わないわ。人数が多いほうが賑やかで楽しいし 」

その後、ウォールメンバー全員が旅行への同行を示し。上条も丁度、夏休みの補習が(上条にしては珍しいことに)終わっていたこともあり、参加することなった。そしてもちろんはらぺこシスターことインデックスもである。

という訳で現在、一行は学園都市内部の国際空港に来ている訳なのだが、クリスを除く全員が出発ゲートがあるターミナルからの景色に言葉を無くしていた。

「あのさ.......クリス? 本当にあの飛行機にのるの?しかもスイートルームっていくらするわけ? 」

ターミナルから見える護たちが乗る予定の旅客機は、『ボーイング957型機 』といい、ボーイング社の最新モデルである豪華旅客機ともいえる機体である。

「うーん......お父さまが払ってくれたから、分からないけど、多分、200万から300万ぐらいじゃないかな?と思う 」

クリスの言葉に絶句する一同。なにせ1人につき200?300万とすると、護たち7人で最低でも1400万。最高で2100万はする計算になるからだ。

「クリス。アンタの家ってそんなに金持ちだったっけ? 」驚きを隠せない様子の美姫と対象的に哀歌はさほど驚いた様子を見せない。

「美姫。これを見て 」哀歌が差し出したのはクリスのパスポートだった。先程から全員のパスポートは哀歌が預かっていたのだ。理由は哀歌から物を奪える人間などそういないからだ。

「えーと、なになに......これは哀歌の名前よね?何か以外に長いわね......『ザ・ライト・オノラブル・レディ・クリス・エバーフレイヤ・オブ・アーマー 』これがなに? 」

「問題なのは、その名前......ザ・ライト・オノラブルというのは伯爵以下の貴族に対する称号なの。しかも爵位の後には必ず、なになにのという地名がつくから、オブ・アーマーってのがそうだと思う........つまりクリスは伯爵だかなに爵だかは分かんないけど、クリスは『貴族』ってことになる... 」

瞬間、全員の視線がクリスに注がれる。

「....... ごめん、黙ってて.....私、貴族だからって特別扱いされるのがやだったから今まで内緒にしてたの 」

なる程と内心納得する護。実家が貴族なら、あれだけの旅客機をチョイスできる訳もわかる。

「分かったから、早く行こうぜクリス。お前の故郷なんだろ向こうでは案内頼むぜ? 」

高杉に言われ、すこし落ち込んでいたクリスの目に光りが戻る。

「うん! ただしそう宗兵、向こういって寝てばっかりだったりしたら、ブチ殺すわよ? 」

なんか物騒なことを言い合いながら搭乗ゲートに向かう2人に続いて他のウォールメンバーも向かっていく。

その後ろで、インデックスがポツリとつぶやいた。

「なんか、まったく話しに入っていけなかったかも 」

「ああ、なんか俺たちかやの外って感じだったな.....でも、せっかくの旅行だから楽しもうぜインデックス! 珍しく不幸な事態も起きてないし、俺は今回は恵まれてるみたいだしな! 」

と上機嫌の上条だったが搭乗口でインデックスの安全ピンが検査に引っかかり、服を買いに出発ギリギリになるまで走り回り
まいでお馴染みの『不幸だ?!』を叫ぶこととなった。

それが、7人が巻きこまれる大事件の始まりだとはこの時だれも気づくはずがなかった。
<章=第十七話 とある組織の海外旅行>


「ふ?......やっと着いたな.....で、ここからどうやってクリスの家に行くんだ? 」

日本から約12時間をかけ、ようやくアイルランドの首都ダブリンのダブリン空港に到着した護たちは、空港の東出口に立っていた。

機内ではさすがはスイートクラスだけあって豪華な作りになっていたのだが、科学オンチのインデックスがあちこち触るのを止めたり、やたら豪華すぎるため、あちこち壊さないように気を使いつづけていたため、7人はちっとも快適に過ごせなかった。

「えっとね.......確か、空港に迎えに行くって......ああ、あそこだ!ベネット! こっちよ! 」

空港出口にいくつか寄せているクルマの内の一台がこちらに向かってくる。

『お帰りなさいませ。お嬢様。そちらの方々がお友達の方々でございますか? 』
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン