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とある世界の重力掌握

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「無関係なものは無関係だけど。だいたい統括理事穏健派と認知されているとはいえ私がブレインであるのに暗部に簡単に探知されるようなやり方をするはずないけど 」

雲川の言っていることには一理ある。彼女の言葉は護が大山から貝積の名が出た時点で感じた疑問と同じだった。だが、それだけで結論づけることはできない。

「それじゃあ、先輩が今回の事件に関与していないと言うなら、誰が僕達に妨害を仕掛けてきたというんですか? 」

「それについては情報からの予測として上げるしかないけど。学園都市統括理事の一人、禍島冷持 」

彼女の言葉に護の表情に衝撃が走った。

「禍島.....冷持? 」

「暗部にいながら統括理事の名を全て把握していないというのも笑うしかないのだけど。とにかく私らの、貝積の名をかたっていたのはこの男と言うことで間違いはないのだけど 」

「その男が、僕らに妨害を? 」

「私達の名を語ってたとは言え、確証はない。彼の部下の一人をまあ、ちょっとした茶番で捕らえた時にそう白状したんだけど 」

そこで一呼吸おいて、雲川は机の端に置かれていた一枚のコピー用紙を引き寄せた。

「その彼が所持していたのがこのコピー紙。意味は分かる? 」

そう言われて用紙を覗きこんだ護はそこに書き記されている文章を見て顔色を変えた。

「人造神……計画 」

護たちウォールが介入した事件の一つ、『三沢塾事件』。その時に護達と交戦し、現在は別動班SASの一員となっている少女、火野咲耶は人造神計画というプログラムによって生み出された成功体だった。

「私にはさっぱり意味が分らないので、外部との繋がりがあるウォールのリーダーである君なら分かると思ったのだけど 」

「なるほど、つまりあなたが僕達に介入してきている当人なら、わざわざ手の内をさらけ出すことはしない。それを無関係だと言う主張の根拠とすると? 」

「まあ、そのあたりの判断は君に委ねるよ。正直これだけじゃ怪しすぎるだろうしね 」

そう言うと、雲川は椅子から立ち上がってドアの方にある方に歩いて行った。

「今はとにかく実質的な戦力として強力な君達との戦闘など私は望んでいない。それを知ってほしいのだけど 」

そう言って、雲川は生徒会室のドアを開け去っていった。

部屋を包む静寂の中、護は手元にあるコピー用紙を見つめた。

「禍島冷持、統括理事の一人が絡んでいる可能性のあるオカルト的事案か......またぞろ面倒なことが起きそうだな 」


そんな風に護が新たな事件の予感に頭を悩ませていたころ、学園都市内のとある学区のとある建物の中で、件の統括理事、禍島冷持は一人の男と対面していた。

「お前にはこれからかつての友を敵に回してもらうことになる。覚悟はできているな 」

「はい、覚悟はできています禍島様 」

そう答えたのは年のころ17歳ほどの少年だった。

「私、建雷剣夜初め『神裔隊』全員があなたの指示のもとに動きます。例え敵となるのがかつての友であったとしても 」

少年の言葉に頷いた、禍島はその口に笑みを浮かべながら言葉を発した。

「さて、同志諸君、始めようか。この学園都市の改造を! 」
<章=第五十七話 とある新たな不安要素>

「とりあえずは人造神計画について調べる必要があるな...... 」

そんな事を呟きつつ教室に戻ってきた護は机でブルーモードになって突っ伏している上条を見つけた。

「どうしたんだよ上条? 」

「いや、それがな...... 」

上条の話によると、青髪、土御門と弁当の取り合いをしていたところ小萌先生に職員室に呼ばれ、さっさとこの街から出てけ的な事を言われたらしい。

「なんか、ほとぼりが冷めるまで外に行っていろって事だったんだけどよ。あれか、この上条さんが第1位を倒してしまったせいなのかこれ? 」

「多分......ていうか間違いなくそれだね 」

「行き先まで指定されて、海辺の観光地への旅行って風になっているけど、また不幸な結果になりそうで正直行きたくねえんだよな......ていうかなんで護は行かなくて良いんだよ? 」

「僕は表向き無介入ということにされてるみたいだからね 」

ずるいぞという目で見る上条に護は肩を竦めて言った。

「そんな目で見るなって。詫びにこんど美味い飯を奢るからさ 」

「本当か? 約束だぞ! 」

急に笑顔になった上条を見て、インデックスの食欲はいったいどこまで上条の暮らしを圧迫しているのだろうと真剣に考えたりする護だった。

その後、きっちり補習を終えた護は上条とは途中で別れ、ある場所に向かっていた。言うまでもなくSASの事務所である。

「ようやく戻ってきたか少年 」

優雅に紅茶を飲みながら護を迎えたのはSASの一人であるアウレオルスである。

「これでも急いだんだけどね。それよりアウレオルス。咲耶と見張りを交代してくれないかな?彼女に話があるんだ 」

「了解、ならばすぐに変わってこよう 」

そう言って上がっていったアウレオルスと入れ替わりのような形で2階から降りてきたのは、咲耶ではなく哀歌だった。

「哀歌!体は大丈夫なの? 」

「もう平気、人外の私の回復力は人とは違うから 」

「自分も重傷だったのに無理して僕を治療してくれたって聞いたよ。本当にありがとう 」

「別に気にしないでほしいな。護は私たちのリーダー。私はメンバーとして当然の事をしただけなんだから 」

護の感謝が照れくさいのか、少し顔を赤らめながら哀歌は言った。

「とにかくありがとう。ところで哀歌。人造神という言葉を聞いたことはある? 」

「火野咲耶って子がそれだとは知っているけど、それ以外は特には........人の手により作られた異形というのなら心当たりはあるのだけど神となるとさっぱり分からないわ 」

魔術関係に造詣が深い哀歌ですらその存在を知らないということは、人造神計画というのは比較的新しい計画、あるいはその存在が絶大な力により隠されている計画、あるいは2つともの特徴を持つ計画ということになるのだろう。

「護さん........なんの用事ですか? 」

丁度そのタイミングで、咲耶が2階から降りてきた。現在の彼女は秘める3つの人格の内のもっとも普通な第1人格の状態である。

その判別は簡単で、黒のショートヘアに黒い瞳の控えめな喋り方の時が第1人格。それ以外の時は第2、第3人格である。

「うん。君にちょっと聞きたいことがあったんだ。前に君は僕の仲間との交戦の時に人造神について言及していたよね。その人造神とはなにか、そして人造神計画とはなにかについて教えて欲しいんだ 」

「それは多分、2人目が話したことだと思いますけど.......分かりました......私で良ければお話しします 」

そう言って護の前の椅子に座った咲耶は唐突に護の方に向かって右手を出した。

首を傾げる護に咲耶は言った。

「私の手を触ってみてください 」

そう言われて、すこし顔を赤くしながら (護とて思春期を生きる少年である) 彼女の手を握った護はある違和感を感じた。

「冷たい.....?まるで..... ! 」
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン