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とある世界の重力掌握

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「ええ、確かに僕は魔術の事は知っています。そして、この後、起こる事も」

「在るていど予言できる.......だね」

「はい........」

護には、アレイスターの考えが理解出来なかった。いったいなにをさせる気なのか.....

「君には、してほしい事がある。まずは私の指揮下で、新たな暗部組織を動かすリーダーになる事。そして、もう1つは........ 」

ここで、アレイスターは一度区切り、強調するようにこう言った。

「幻想殺しの監視、及び守護をしてもらいたい。未来を知る君なら、彼に起こることもわかるはずだ.......」

「それを断ったら........」

「あまり、お勧め出来ないね。君のためにも、そして君が守ろうとした少女のためにも」

守ろうとした少女。それが誰をさしているかは明白だ。

「佐天さんを人質にするのか.......」

「君が素直に動けば、なにも起きない。それだけのことだよ」

アレイスターは、もう1つ。思い出したように付け加えた。

「そうそう、君が率いる暗部組織にやってもらうのは、街の中、外での外部組織の討伐だよ。チーム名は『ウォール』。壁という意味だ」

アレイスターは、目の前で唇を噛む護に最後の問いをかける。

「さあ、どうする?『重力掌握』」





佐天は、護のアパートの側を歩いていた。こうしていればそのうちに彼が帰ってくると信じたかったのだ。セブンスミストで護が消えてから1週間。

護の行方はまったく分からず、初春が教えてくれた、アパート前にきてみても、護は帰ってこない。

こうして、毎日通って、落胆して帰る。それが日課となりつつあった。

「なんで、なんで、あの人が残ったんだろう......力がある護さんだけなら逃げられたのに、どうしてあんな終わり方にしちゃうのよ!後で会おうっていったのに、どうして消えてしまったの? お願い、姿を見せてよ........」

下を向き、涙を流す佐天。つい先日知り合ったばかりの相手に涙を流す不思議さを思いながらも、佐天は涙を止められなかった。

「佐天さん!」ビクッと佐天の肩が上がった。この声は、そして自分を『佐天さん』と呼ぶ男性は1人しかいない。

「護さん!」向こうから走ってきた護は、息をぜいぜい切らせつつも、佐天のほうを真っ直ぐ見つめた。

「ごめん、心配かけて......2度とあんな思いはさせない」

「私のことばかり考えないでください。自分のことも考えてくださいよ。護さんが傷付くのは、私は嫌です.......」

佐天の言葉に頷きつつも、心の中で手を合わせる護。

(ごめん。佐天さん。僕が傷付くのは避けられないかもしれない。だけど.......)

護は心に決める。

(たとえ、どんな闇に落ちようと、佐天さんだけは守り通す)

護は、学園都市の闇に飲み込まれながら、自分の意思を貫きとおすことを決めたのだった。

その結果。たとえ、この世界で死ぬこととなっても.......
<章=第八話 とある目覚めと暗部転落>


「くそ! 弾が当たらねえ! 」

「ンな馬鹿な話があるか! 」

「しかし、確かにいたはずの場所に撃ち込んだはずなのに手ごたえがないんですよ!? 」

第19学区にある寂れた工場の中で、男たちの怒声が飛び交う。

彼らは手に手に銃器を所持している。学園都市では建前上、警備員(アンチスキル)でもない限り銃器の使用は禁止されている。それを完全に無視する形で短機関銃(サブマシンガン)や拳銃(ピストル)を所持する男たちは何者なのか。

「そお、遠くには隠れられないはずだ。全員で手分けして探せ! 」

リーダー格の男の指示のもと、工場内に広く分散して捜索を始める男たち。その斜め上、天井近くの柱の上で一人の少年が男たちを見据えていた。

「ひい、ふう、みい.....二十人前後ってとこか。先に倒した5人も含めて約25人か......いったいどこからこれだけの人数が湧いて出たんだ? 」

首をかしげながら、少年、高杉宗兵は外にいる『仲間たち』に頭部に装着したヘッドセットを通じて連絡を取る。

「敵の人数は約25人。そのうち先ほど5人を倒したので、残存する敵兵力は20人前後。敵は銃器を所持しているが、学園都市外部では複数の組織で使われる者のためどこの組織かの特定ができない、まあ、事前の報告で正体は確定しつつあるが、用心に越したことはない。もう一度奇襲をかけて外に追い出すから後は頼むよ。『少女軍団』? 」

連絡相手の抗議の声をヘッドセットのスイッチを切り強引に無視した宗兵は懐から学園都市製の『機能性炸裂弾(クラスター弾)』発射用の小型射出器を取り出す。

「さあて......もうひと暴れさせてもらおうか 」


工場の外では、金髪碧眼の外国人少女が門の前に立っていた。

「まったく宗兵の奴は、デリカシーがないんだから! まあそれはそれとして、護くんも無茶言うわね。敵を殺さぬように各門まで誘導しろなんて 」

工場の敷地内には東西南北に一か所ずつ、計4か所に門が設置してある。

現在、そのすべての箇所を彼女たち『ウォール』が押さえていた。

「でも、みんなで誓ったもんね。学園都市の駒にならないように、闇の中にあっても自らの信念を貫ける組織になるって 」

少女、クリス・エバーフレイヤは自らの力を使い、周囲に転がる鉄骨を宙に上げる。

工場の中では銃声と男たちの叫びが聞こえる。宗兵が奇襲をかけたのだ。

「まあ、あいつの『無限移動』なら大丈夫だろうけどさ......無事でいてよ......」

そんなことをクリスがつぶやいた直後、男たちが工場のドアから外に転がり出てきた。

「!!」信じられないものを見る目でクリスを見つめる男たち。なにしろ、目の前の少女の周辺には無数の鉄骨が浮き、その先は明らかにこっちに向いている。

「外に出られれば、助かるなんてほどこの世は甘くできてませんよ? 」動揺する男たちの前方に次々と鉄骨が撃ち込まれ、彼らの動きをけん制する。

「第1班は少女に対して射撃開始! 2班と3班は左右に分散、最寄りの門から脱出しろ! 」

兵力の分散になることを承知の上でリーダーは指示を出した。たとえここであの少女に殺されても、最終的に部下たちが1人でも脱出できればいい。そう思っていたリーダーだったが......

「ここで....逃がすわけには.....いかない.....」

「悪いけど、ここでアンタたちを逃がすわけにはいかないのよね?」左手では男の1人が宙を舞い、右手では稲妻と共に電光が走る。

「リーダー! あの少女化けもんです! こちらの弾が一向に当たりません! 」

クリスは鉄骨をすべて投げ終わった後、今度は男達から放たれる銃弾をすべて空中で止め、逆に男たちの前方に撃ち返していた。彼女の能力『念動覇王』は念動力系最強のレベル5であり、その力は男達に絶望を与えていた。

「くそ! 左右に攻撃が集中しているうちに脱出する。何人か残って射撃を少女に集中させつつ、南門に向かうぞ! 」
作品名:とある世界の重力掌握 作家名:ジン