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こらぼでほすと 解除12

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リハーサルも無事に終わり、歌姫様は宿泊先へ戻っていた。明日から三夜続のコンサートだから、ベッドで休んでいたところへ、リジネからのメールが着信した。着信の音で、さくっと目を明けたのは言うまでもない。この時間の個人携帯端末への着信となれば、それはニールのことだと思ったからだ。だが、リジェネからのメールの内容はエターナルに同乗させろ、ということで、そんなものは、どうでもいい。慌てて携帯端末で、ママの検査結果を尋ねた。
 完治した、という報告に飛び上がった。よかった、と、本当に胸のつっかえていたものが、すっぱりと取れた気分だ。エターナルへの合流に許可を出して、出発時間を報せて、それまでに合流するように、と、メールを返信する。
 ようやく、治ったのだ、と、実感すると嬉しくて涙が零れた。これで、無理して苦しむ姿を見なくて良くなる。これまでの五年を振り返って、ラクスも、それが嬉しくて仕方がない。いつまで保つのか、いつまで誤魔化せるのか、と、ばかり気にしていたことが霧散する。
 この感動が溢れて叫んで暴れたい気分で、ボンボンとベッドで飛び上がって、バンザイ三唱だ。防音のしっかりした部屋だから、誰にも気付かれる心配はないが、歌姫様らしからぬ狂乱ぶりだ。
 すると、再度、着信音だ。リジェネが、昨日、誕生日だったと報告してきた。そういえば、ティエリアの誕生日だったかもしれない、と、思い出したが、すっかりママのことで忘れていた。リジェネが、ラクスの奪還作戦に手を貸してくれたから、スムーズに遂行できた。それもあって、お祝いの言葉と感謝を送った。リジェネとも友達になれて、本当に良かったと思う。
 ママが、リジェネを、『吉祥富貴』と繋げてくれたのだと思うと、人の繋がりは大切だと、しみじみと思う。このアドレスだって、リジェネがラクスに教えてくれたものだ。ある意味、ヴェーダへのホットラインだから、どこからも干渉されないし、盗聴も無理という代物だ。キラからのメールなら、もう少し時間がかかる。最後のメールを確認して、歌姫様はベッドの上で、ガッツポーズだ。
「これで憂いはなくなりました。明日からのコンサートは全力で務めさせていただきますわっっ。」
 プラントのファンにも、歌姫様の喜んだ気持ちは伝わるだろう。全力で、この喜びを表現してコンサートを歌う。よしっっと、気合を入れるとベッドに倒れこんだ。まずは睡眠。体調万全でなければ、この喜びを歌に乗せて届けられない。




 特区は、グリニッジ標準時間との時差が九時間ある。ということで、キラがハイネからの暗号通信を拾い上げたのは、ちょうど三時のお茶の時間だ。まあ、キラは、エターナルに歌姫様が合流するまで管制室に詰めていたから、寝たのは午前様で、翌日も午後からシフトを担当したので、ようやく起き出してブランチをしていた。
 メールの内容を確認すると、うっきゃあーーーーっっ、と、キラも喜びと興奮で飛び上がる。そして、すかさず、その内容を、『吉祥富貴』の関係者とカガリに転送する。目の前に居たアスランは、それで何が起こっているのか理解して、嬉しそうに頷いた。
「・・・よかった。」
「やったぁーやったぁーママの身体が治ったぁーーーひゃっふぃーーーーっっ。うっきゃあーーーーっっ。やっほーーーーーーーっっ。」
 キラが喜びの踊りを、ズンドコズンドコと踊っている。ママの関係者は、一同、メールを見れば、キラと同じように喜んで暴れることだろう。本当にギリギリだったし、季節ごとに体調を崩して寝込むところを、ずっと見守っていたのだ。それが解消されるとなれば、喜びもひとしおだった。キラのように素直に感情の発露を表現できないアスランは、穏やかに笑って拍手して感情を表している。
「いやーん、どうしよう? ママが戻ってきたら快気祝いだよね? アスラン。でも、忙しいから、とりあえず店でお祝いして、大騒ぎは年末の打ち上げでいいよね? えーっと、それから・・・お正月は初詣に行って、せっかくだから、温泉でも行く? ママ、あんまり外出できてなかったから、それぐらいはいいよね? 近くなら、移動もできるし・・・ジェット機使えるし・・・・どこがいいかな? 大きな露天風呂とかいいなあ。みんなで入れるぐらい大きいのがあるとこを探して・・・あ、学生組の休みじゃないとダメか・・・土日ならいいかな・・・」
 すでに、キラはママが帰ってきた後の予定を、つらつらと組み立て始めている。いやいや、と、アスランが、それは止める。春までは、急激なことはさせられない、と、ドクターからも言われているのに、すっかりキラは忘却しているらしい。
「キィーラ、春までは遠征は無理だよ? 遺伝子情報が正常に戻ったといっても、すぐに健康体というわけじゃないんだ。体力も戻さないといけないんだからね。せいぜい、初詣までだ。」
「えーーーーーーー温泉ぐらいいいじゃないっっ。近くなら大型のヘリで行けるもんっっ。トダカさんだって、親衛隊とママを連れて行ってたじゃないっっ。」
「でも、年明けしたら学生組は後期試験の時期だ。試験が明けるのは、二月の中盤になる。それまでは、どちらにせよ、旅行は無理。」
 それに、勝手に旅行なんぞ行ったら、カガリとラクスが激怒するだろう。ニールをオーヴへ遠征させる予定は、春なのだ。そのために、どちらも、時間を作るために、その前後は動けなくなる。ニールが特区の温泉に行ったのは、トダカが連れ出した一回きりだ。それも、随分と前のことだし、その頃は、ここまで体調も悪化していなかったから、できたことだ。
 とはいうものの、アスランだって鬼ではない。可愛いキラが言うことには、なんとか応えたいと思うわけで、しばし考える。つまり、店の営業に影響がなくて近場で一泊ぐらいなら、どうにかできるとは計算式が成り立つ。
「みんなが試験に入る前に、近所ってことなら、なんとかなるだろう。」
「露天風呂は絶対だよっっ。」
「小振りの旅館で、大きな露天風呂のあるところを借り切るとしよう。時間が合えば、カガリとラクスも合流できる。クルマで一時間ぐらいまでのところなら、ヘリで十分ぐらいだ。それなら、別荘に行くより近い。」
 有名な温泉地が、周囲三十キロ圏内なら、いくつかある。そこなら、どうにかなるだろう、と、アスランも胸算用する。表向きには、店の慰安旅行とでもしておけば、ママも断らないし、坊主も出てくるはずだ。
「泳げるぐらい広いとこっっ。それで、卓球大会とかもするっっ。」
「はいはい、仰せのままに、お姫様。」
 貸切にしてしまえば、融通はいくらでもつけられる。食事したら、データの解析をやりつつ探せばいいな、と、アスランは思っていたのだが、キラは違った。ガバチョッッとアスランに抱きついて、「解禁っっ。」 と、叫んでいる。
「え? 」
「探すより、まず、僕の興奮しちゃった身体を、どうにかして? アスラン。しばらく、忙しくてできなかったので限界。」
 そう言われてみれば、そうだった。十一月の中旬から、準備やら特別ミッションやらで忙しくて、エッチしている暇がなかったのだ。かれこれ三週間ばかり、マトモなスキンシップをしていなかったな、と、思い出す。
作品名:こらぼでほすと 解除12 作家名:篠義