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Angel Beats! ~君と~

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第24話 Game start! Part7

(くっそ……ゆりっぺぇ……)

 バッターボックスに入っている事を忘れて膝ま付いている野田。悔しながらもゆりの名前を想う。
 そんな野田に影がこっちに向かって来る。

「ほら、何やってるの?立ち上がりなさいよ」

 ゆりだった。


「……ゆりっぺ、すまない………」

「点を取った以上、勝てる可能性が有るわ。だから立ち上がりなさい」

 いつもなら、殴るか背負い投げをされるが今回はそんな事はしなかった。
 精神的なダメージが残っている以上、追い打ちは駆けない方が良い。

「ほら、野田お前俺のキャッチャーだろ?この後、アイツらにお前の力を見せ付けてやれよ」

「音無ぃ……」

 野田は立ち上がると結弦の方へゆっくり向かう。

「……、俺はお前のキャッチャーなどでは無い。ゆりっぺのハートを受け止めるキャッチャーだ!」

「は?」

「ちょっと野田君……」

 何か殺気が……と結弦は霊感なぞ持っていないが後ろからでも分かる様な禍々しい物が…。

「何だゆりっゴヴぇ!?」

 ゆりの方へ喜んで反応するも、ボールが顔面へと当たる。
 さっきの事が気に召したのだろう。ボールの速さは相手ピッチャーを上回っていた。
 いつもの事だ、と呆れるもメンバーは守備の用意を進める。

(俺より……ゆりの方がピッチャー向いてるだろ…)

 胸にしまい、緑茶を飲み干すとピッチャーマウンドへと向かう。


「来ぉい!!」

 また殺気を放ちながら居る野田。殺気は野球とは関係無いがその心意気は良いだろう。
 殺気は隣に居るバッターにも届いており、ビビっている。

「バッタービビってる!!ヘイヘイ!!」

 と相手ベンチ側から声が耳へ入っていく。

「テメぇ!仲間に言う事がそれか!?」

 仲間がビビっている事実は変わり無い。ビビっていては試合にならない。試合にするには野田の殺気に打ち克つ事だ。

(ありがとな野田。これで打ち取り安いぜ!)

 いつものオーバースロー。素直に野田のキャッチャーミットへ吸い込まれていく。

「は、速!?」
 ズパァと良い音が響いていく。
 最初は様子見のつもりだったのだろうがもう遅い。
 ここから結弦の勝ちパターンにはまる。

「ストライク!」

 低い声が鳴り響く。

(あ痛ててて……)

 じわりじわりと浸透してくる痛みを耐えて結弦にボールを投げ渡す。
 結弦には野田が顔をしかめているのが分からない。顔をマスクで覆っているからだ。

「どうした!貴様の球はその程度か!!」

「んだと!?この!!」

 いとも簡単に野田の挑発に乗るとさっきよりも速く振りかぶる。

「へぇあ!!」

 謎の声を出すもバットにも掠りもせず、ズッパァ!とグローブから音がする。

「ストライク!」

「まだまだ!貴様はその程度か!!!」

 構えていながらボールを投げ渡すとさらに挑発をする。

「こっっの!!」

 ビシュ!と腕から空気の壁を裂く様な音が結弦にも聞こえる。
 さっきよりも断然に速い。ズパァ!!とまた良い音がする。その代償としてさらに痛みが襲う。
 あまりの速さにバッターは反応できず、そのままバットを構え立ち尽くして居た。

「ストライク!バッターアウト!」


「すまない……小枝(こえだ)……」


「良いのよ。過ぎた事だよ?気にしない気にしない♪」

「お前、優しいな…」

「あたしはいつも優しいよ♪」

 小枝と言う人は思いっきり笑顔で返す。

「小枝……」

「なぁに?」

「笑顔作るの下手だな」

「ごめん……」

 笑顔を作るのは下手だったがガッカリする顔は上手いみたいだ。

(あっ!?、可愛い…!ガッカリした顔可愛い!)


 第二者は全く歯が立たず、すぐストライクにされた。
 自分の不甲斐なさにショックを受け、項垂れたままベンチに戻って行く。

「んじゃ小枝、行って来るわ」

「気を付けてね~」

 バットを持ち、やる気が無さそうにバッターボックスへと向かう。



(あ、あのピッチャーか…、油断は出来ないな……)

 気紛れにピッチャーマウンドの土をズサズサと踵で弄ると覚悟を決める。
 相手はかなりの実力者だ。生半可な気持ちでは勝てない。

「来ぉい!!」

 また殺気を放つとミットを構える。この回を決めれば次の回で攻撃をする事が出来る。
 またいつものオーバースローでボールを投げる。

(くおっ!)

 バッターの願いは届かず、ミットの中へ吸い込まれていき良い音がする。

「ストライク!」

(あ痛てててててて………)

「お前、スゲぇな。こんな良い音は滅多に出ないぜ」

 並みのピッチャーは大抵音が無い。パンッ、位しか音が出ないが結弦はかなり音が出る。ボールのコントロールとセンスが良い証拠だ。

「誉めているのか?」

「勿論さ」

 野田は相手ピッチャーの言う事が解らなかった。
 何故、敵なのに誉めるのか解らない。

「さあ、来いよ!」

 遠くからでも分かる様な感じがする。もう覚悟を決めるしかない。

(期待に答えなきゃなっ!!)

 力強く大地を踏むと思いっきりボールを投げる。

(いける!)

 ボールは完全にバットの目前に、誰もがこれは打たれたと思ったが。

(な!?)

 キィン!とバットの芯で捉えたが、ボールは真後ろへ。
 元々運動神経が良いのか、鬼壁は顔の前に来たボールを余裕で首を困った様に傾げ、避けた。

(ボールが……、真後ろ!?)

 滅多に観れない光景だった。何故なら、

(不味いな…、ボールが真後ろに行くっていう事は……タイミングが合っているって事だよな………)

「ファール!」

 前に日向と会った日に言っていた事だ。
 何でだ?、と言い返したらそこまでは聞いていないゴメンと言っていた。本当にこんな事起こらないよな、と思ったが今日身を持って思い知らされる事になる。良い機会だ。学ぶ事は良いことだ。
 次のボールを野田に渡される。恐らく次で決着がつくだろう。

(……、俺こんなにわくわくしたのは初めてかもな…。でも、打ってやる!)

 少し足元の土を蹴る。
 大体のバッターはそんな行動はしばしば眼にする。

(打ち取れるか…俺?)

 肩を少し回す。そして覚悟を決める。

(さてとやりますかっ!!)

 いつもとは違う行動を取る。それは――――

(サイドスロー!?)

 あの時、少し本気を出したサイドスローだ。結果的に日向に打たれたが十分速い。
 あの時と今回は違う。

(打てる!)

 素早く足を踏み込み、ボールを見据え、後はバットを振るだけ――――


 キィン!


(打たれた!?)

(くっそぉ……)

 誰がどう見ても文句無し。ボールは高く翔び、高さをキープ。
 ホームランだ。センターに差し掛かった所、一人の女子が松下五段に全速力で近付いて行くのが判った。


「松下ぁぁああ!背中を借りる!」


 まだ諦めていない者が居る。

「椎名っち!?」

 松下五段は反論しようとしたが椎名がすぐそこまで来ている。

「よし、来い!!」

 もう何がどうなっても良い。要するにボールが取れれば良い話。
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影