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Angel Beats! ~君と~

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第25話 Game start! Part8

「はっ、勝てる訳無ぇじゃん…」

 あ、ひなっち先輩……
 それに何かちょっと苛つくな~あの……?あれ誰だっけ?え~と確か生徒会副会長の……、直江?那須?那覇?鍋?な………何だっけ?
 しかもメッチャどや………何だっけ?えーと、テレビで良くやってる――――あーーー!もういいや!!

『生徒会チームを結成しました』

 とか何とか言って……しかも野球レギュラー?勝てる訳無いじゃん!
 あ~あ、どうしようどうしようあたし動けないし寝たきりだし立てないし走れないし車椅子だし打てないし――――――



 あれ?



 あたし……立ってる…?
 え?あれ?え?何?あたし、あの事故で動けないのに……
 あ!夢か………
 そうだもんね、現実のあたし動けないもん。神様って酷いよね……あたしの幸せ全部…奪って行ったんだ……
 初音ちゃんに『神様』信じてるって言ったけど、あたし………、4/3は信じていないんだ…
 あ!間違えた!3/4だった!
 4/3って過ぎてんじゃん!あは☆


 でもこの夢……前に見た気がするな……、デジャブ!?


 でも今のあたしは無敵!最強!歩けるもん!立てるもん!走れるもん!
 あははは☆あたし……でも何かな~寂しいな…

 というのは置いといてっと!くよくよしても仕方無い!頑張ろう!
 え~と、周りのメンバーは……ひなっち先輩と、音無先輩と……あ!?
 何!?あの人!?凄!!何で箒を人指し指一本で支えられるの!?しかも微動だにしないなんて………凄い!!今度から師匠って呼ばせて下さい!名前分からないけど……
 後は……何か、はーみーみたいな女子が三人と、後……!?
 何でデッカイ斤持ってるのあの人!?銃刀法違反だよ!しかも地面に何か描いてるし……何で?でも悪い人じゃなさそう☆

 えーと、これで全員あたしを含めて八人……!あ!少ない!あと一人少ない!どうするの!?
 確か野球って観てたけど(テレビ)…ま、大丈夫だよね?
 よし!こういう時は決め台詞を言うんだよね!あの…えーと生徒会の誰かさん!覚悟して!!
『頭洗って待っといて下さい』

「へっ!頭洗って待っとけやァ!!」

 ああああ!?あたしこんなキャラじゃないよ~!!駄目だよ女の子がそんな言葉使いしちゃ!
 れ、れ冷静になろうそして落ち着こう、クールダウンあたし…、あたしがあたしに注意してどうするの?きっとこれは夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ。
 いやいや、落ち着こうあたし。落ち着こう……。
 ん?先輩何?
 手を掴んで、
 あたしの腕を後ろへ、
 少し屈ませるよう促されて、
 足で腕を極められて、さらに腕を後ろ方向へと……痛ぁぁぁぁああい!!

 ひなっち先輩女の子にプロレス技を掛けちゃ駄目だよ!
 うわぁああああ!あたし何か変なこと言った!?

「頭だったら衛生上の問題だろぉぉぉおおおお!!」

「ギブギブギブギブ!!」

 ええええそうだったの!?知らなかった!
 どうしよう……、今までずっと使ってた……!



「んにゃぁぁぁぁああ!」

 猫の様な叫びと同時に跳ね起きた。勿論、下半身は夢のように動かない。

「ちょ…どうしたのユイ?」

 いつも身の回りを世話してくれるユイのお母さん。今回はユイに驚かされた。
 何故変な声を上げたのか気になる、そういう訳で聞いてみる。

「…変な夢見ちゃった」

「そう……」

 それ以上訳は聞かず、黙ってユイの頭を撫でる。
 まだ生まれて間もなく毛が柔らかく、とてもフワフワな子猫の様な髪の毛。撫でているこっちが癒されそうだった。
「何で撫でるの?」と何か子供扱いにされては困るユイが聞く。

「小さい頃のユイね…、怖い夢見た~って言ってお母さんに泣きついてさちょっとね……」

「そうなんだ」

 しばらくユイはお母さんに撫で続けてもらった。






 状況は四回の表。得点は変わらず、一対ゼロ、ツーアウト。

「バッター交代!」

「またですか?ゆりっぺさん……」

「日向君出て頂戴!」

「へ俺?」

「体、動かしたいでしょ?」

 と何故か妙に優しい笑顔。こういう時はいつだって無茶ぶりをさせられる合図。

「いや、別に…それに俺と交代したら松下五段のホームラン見れなくなるぜ…」

 松下五段は切り札であり、一発逆転の選手。野田が変な騒動を起こして退場になった時の保険だ。

「見たでしょ?相手ピッチャーは相手の特徴を読んでアウトにしてる所を」

「え?そうなの?」

「そうなのか音無?」

 と頼りない声を上げる日向と大山。
 根本的に二人は性格と体格、それぞれ違う。だが二人にある共通点がある。
 それは、

「二人共アホっていう事が改めて解ったわ。見たでしょ?野田君がアウトにされた時とかさ」

『あ!』

 二人は思い出す。何か妙に打ちにくいコースという事を、この時ゆりはアホだとまた思った。

「良い?日向君出て頂戴」

「え~いや、でもさ松下五段の方が絶対良いって」

 確かに松下五段の方が良い。彼は柔道を会得しておりその上五段を録っている。運動神経は良いはず。
 だが、ゆりは誰も予想していない事を口にする。

「アホな事をやって相手を引き寄せて椎名さんをホームスチールさせる事が出来るのは貴方しか向いていないわ」

 日向はようやく解った。自分が何をすれば良いかが。

「まさか…!俺がそんな道化師役だなんて!嫌だぞ俺は!!」

 必死でゆりに抗議を仕掛けるがゆりは日向の耳に近づくとある事を言う。
 すると青ざめた顔になり、やります!と凄い笑顔で引き受けた。

(日向はゆりに何を言われたんだ?)


(とは言っても何て言って引き付けりゃ良いんだ?)

 バッターボックスに立ち、少し準備運動をする。
 何かヒントは無い物か……。
 少し辺りを見回すが何も無い。あるとしたら次の打撃に準備中の大山、そこに駆け寄ってはい、お茶と大山に渡す入江。
 結果、

(何もヒント無ぇ…)

 もう覚悟を決めるしか無かった。道化師役をしっかりやらなければ……。



「はい、音無さんからお茶ですよ~」

「え何で?」

 と大山は入江から素直に受け取ると質問をする。

「『陽射しが強いから熱中症に気を付けろ』って伝えといてって言ってましたよ」

「へ~、音無君って優しいね。あ、あっちに戻ったら音無君に『ありがとう』って伝えてくれるかな?」

「はい、分かりました」

 と了解し、暫くその場に居る事にした。

「あれ?戻らないの?」

「何かゆりっぺがね『暫くそこに居て』ってね」

「そうなんだ…」

 二人は会話を終えると日向を見守ることにした。

「ストライク!」

「あっこれでツーストライク…」

「う~ん日向君大丈夫かな?」

 そこで、大山はある事に気付いた。
 何で入江のスカートに何か光る様な細い紐があるのか……。


(不味い不味い。ヤッベどうしよう!?)

 平常心を仰ぎながら内面で焦っていた。

(あ、もう少しで投げそう……!仕方無い、やるか!)

 もう後戻りはできない。やるしかないのだ。
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影