Angel Beats! ~君と~
スランプです。
********************************************
第31話 Game start! Part14
(私だけ指示されていないのは何故だ?)
バッターボックスに立ち、長い髪の毛とマフラーを風に靡(なび)かせながら疑問を抱(いだ)く。
別に指示なんてどうでも良い。ただ、怪しい。
こんな時なら無茶振りをさせる。だが、無い。周りの皆は『良いな~椎名っち』とか羨(うらや)ましがっている。
だが、椎名にはある意味怖い。やられたらやり返すが…。
(無言の威圧……私に出来る事をやれという事か…?)
出来る事、それは…
(一点でも多く取る……事か……)
マフラー少女(小枝命名)は小枝を見据える。もう覚悟は出来ている。
(マフラーしてて暑くないのかな……)
適当にピッチャーマウンドの土を足でいじり、肩の調子を確かめる。
こちらも覚悟は出来ている。
後は投げてスリーストライクにするのみ。
(後ろから妙な気配が……)
感じた事の無い気配…。
妖気…?いや、妖怪を見た事が無い小枝は妖怪の気は判らない。
正体が解らない今は、その目で確かめるのが手っ取り早い。
(いやぁぁあああああああああああ!!?)
心の中で悲鳴を上げる小枝。
それは、妖怪ではなかった。
上半身裸の高松だ。
「小枝ぁぁあああ!早く投げろーーーーー!!」
二塁に居るメンバーは声を荒げて小枝に言う。
上半身裸のマッチョ(小枝命名。高松の事です)は二塁のすぐ側に来ており、大変気味が悪い程足が速い。
「もう、嫌だぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!」
そうは言ったものの、小枝はアンダースローで投げる。
(不味い!?気付かれた!!にしてもボールが私のほ―――――――)
カシャーンと、眼鏡が落ちる音がすると共に倒れる高松。小枝の球が顔面に激突したのだ。
普通、そういう事は有り得ないが高松は不運にも、ボールの方向に向いてしまった為に顔面衝突と言う現象が起きてしまったのだ。
『高松ぅぅううううううう(Takamaっちゃん)(君)(さん)!!!』
流石にこの事態は不味いと判断したゆりは、実行委員会の所へ行く。
「おいぃぃぃぃぃぃ!?小枝ぁぁあああああああああああ!!!確かに投げろって言ったけど何も相手に投げる必要があるか!!?」
「だってマッチョ嫌いだもん!!」
「そんなの知るかああああああああああああ!!!」
こうして、高松は『筋肉マッチョ露出狂変態野郎』(分かっているとは思いますが、小枝命名です)の異名を取り、二塁の手前で気絶したのだった。
そして、駆けつけた実行委員会の二人によって担架に運ばれて保健室に連れて行かれた。
「ペナルティとして、SSSチームは二塁からスタート!代わりを二塁に置け!」
鬼壁は審判として妥当な判断を下す。小枝のチームとSSSチームはお互いに納得し、元の場所に戻る。
「大山君、行けるかしら?強制はしないわ。行けないのなら、野田君で行くけど」
強制はしない、ゆりは優しく言う。
「ゆりっぺ悪い物でも食べた?」
嫌な予感がした大山は少し遠回しに言う。
ただでさえ、人数が少なめのメンバーでやりくりをしなければならない。
「食べていないわよ。野田君、出て頂戴」
苛ついたゆりは大山が出ないと判断し、代わりに野田を出す。
「了解だゆりっぺ!」
久々の出番で嬉しいのかそれとも、ゆりに指示されて嬉しいのか分からないが、喜んで二塁に走って行った。要するに、忠実なる犬(奴隷)。
(あ、片手打ちの人が入って来た……筋肉マッチョ露出狂変態野郎よりはマシかな…)
小枝による野田の印象は、『片手打ちで誰かの名前を言う』。よっぽど片手打ちが印象に残った様だ。
「……」
今だに一対ゼロのこの状況を歯痒(はがゆ)く思う。
どちらかと言うと、小枝にとっては、出来る事が出来ないみたいな感覚がする。まるで、体が思う様に動かない様。
「………」
そして何と言っても、大山による告白。
告白した本人は精神的に凄いダメージを負ったが、小枝自身も揺らいでいる。
(こんなの初めて……)
心が少し不安定なまま、アンダースローで投げる。
(もらった…!)
バット独特の金属音が鳴り響く。
ボールは低空状態で、センターセカンドとサードの間を抜ける。
「しまっ……!」
心の状態がボールに出てしまったせいか、椎名の許容範囲内の速さのボールを投げてしまった。
「椎名良いぞ!」
「そのまま走れ!!」
が、
ビシュゥ!と空気の壁を突き刺す様な音が聞こえる。
「おう!?」
野田の目の前にボールが通って行き、三塁に着いた。
「な…!?」
野田は驚きながらもギリギリ二塁に戻る。椎名はいつの間にか一塁に居る。
暫くしてキャッチャーが、
「タイム!!」
と大声で言い、鬼壁に許可を取った。
そして小枝の所へ駆け寄る。
「どうしたの?阿井(あい)君?」
真っ直ぐな瞳で阿井を見る。
そこらの男だったら鼻血を出すだろう。
「どぉしたはこっちの台詞だ。投げられるか?」
「え?投げられるよ」
何でも無い……
ただの質問。
「違う…俺が言ってんのは、元のスピードで投げられるかって聞いているんだ…」
阿井は控え目に優しく言う。
いつもは近所のおっちゃん位に皆と親しい。だが今回は、違う。
「……」
それは…
「暫く休んでろ…疲れただろ?」
「でも……!」
「いーから、強制交代だ。どしよかな?あいつ入れっか……」
小枝の言うことは無視し、勝手に代わりのピッチャーを決める。
「ぁ……」
途中で何か言いかけたが、無駄だと判った小枝はやむを得ずベンチに向かう。
その姿を見たゆりは……
「やったわ!大山君!貴方の行動は無駄では無かったわ!!」
オーホッホッホッホッと不気味に笑い、目が軽蔑している目だ。
「ゆりっぺさん悪役の様ですよ…」
「勝つ為なら何でもするわ。例え、悪役でもね……」
「最早、悪役ですね…流石ゆりっぺさん」
極悪な笑みに率直な感想を述べる。
そこで、音無が毒付いた一言を口から発する。
「お前…友達少ないだろ……」
「…!」
二回目なのに……何か…悲しくなる……。
「音無さん、ナイスです」
グッジョブと密かに親指を立てて、音無を誉めるのだった。
「ねぇTK」
「Oh,Yamaちゃん。何かYo?」
「TKってさ、ピアスしてるけど痛くないの?」
大山はTKの耳に付いているピアスを指差さす。
「No problem」
謎の決めポーズをし、踊る。いつもの事だ。
「へ~。耳に穴を空けるなんてある意味凄いよTK」
「Oh? No No.Meはそんな事はNothing」
謎の英語を発するとヘッドスピンをし始める。踊らなければ気が済まないのだろうか。
「ヱ?」
「This is a ワンタッチ!」
耳に手を伸ばすと、ヘッドスピンしながらピアスを難なくと取る。
********************************************
第31話 Game start! Part14
(私だけ指示されていないのは何故だ?)
バッターボックスに立ち、長い髪の毛とマフラーを風に靡(なび)かせながら疑問を抱(いだ)く。
別に指示なんてどうでも良い。ただ、怪しい。
こんな時なら無茶振りをさせる。だが、無い。周りの皆は『良いな~椎名っち』とか羨(うらや)ましがっている。
だが、椎名にはある意味怖い。やられたらやり返すが…。
(無言の威圧……私に出来る事をやれという事か…?)
出来る事、それは…
(一点でも多く取る……事か……)
マフラー少女(小枝命名)は小枝を見据える。もう覚悟は出来ている。
(マフラーしてて暑くないのかな……)
適当にピッチャーマウンドの土を足でいじり、肩の調子を確かめる。
こちらも覚悟は出来ている。
後は投げてスリーストライクにするのみ。
(後ろから妙な気配が……)
感じた事の無い気配…。
妖気…?いや、妖怪を見た事が無い小枝は妖怪の気は判らない。
正体が解らない今は、その目で確かめるのが手っ取り早い。
(いやぁぁあああああああああああ!!?)
心の中で悲鳴を上げる小枝。
それは、妖怪ではなかった。
上半身裸の高松だ。
「小枝ぁぁあああ!早く投げろーーーーー!!」
二塁に居るメンバーは声を荒げて小枝に言う。
上半身裸のマッチョ(小枝命名。高松の事です)は二塁のすぐ側に来ており、大変気味が悪い程足が速い。
「もう、嫌だぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!」
そうは言ったものの、小枝はアンダースローで投げる。
(不味い!?気付かれた!!にしてもボールが私のほ―――――――)
カシャーンと、眼鏡が落ちる音がすると共に倒れる高松。小枝の球が顔面に激突したのだ。
普通、そういう事は有り得ないが高松は不運にも、ボールの方向に向いてしまった為に顔面衝突と言う現象が起きてしまったのだ。
『高松ぅぅううううううう(Takamaっちゃん)(君)(さん)!!!』
流石にこの事態は不味いと判断したゆりは、実行委員会の所へ行く。
「おいぃぃぃぃぃぃ!?小枝ぁぁあああああああああああ!!!確かに投げろって言ったけど何も相手に投げる必要があるか!!?」
「だってマッチョ嫌いだもん!!」
「そんなの知るかああああああああああああ!!!」
こうして、高松は『筋肉マッチョ露出狂変態野郎』(分かっているとは思いますが、小枝命名です)の異名を取り、二塁の手前で気絶したのだった。
そして、駆けつけた実行委員会の二人によって担架に運ばれて保健室に連れて行かれた。
「ペナルティとして、SSSチームは二塁からスタート!代わりを二塁に置け!」
鬼壁は審判として妥当な判断を下す。小枝のチームとSSSチームはお互いに納得し、元の場所に戻る。
「大山君、行けるかしら?強制はしないわ。行けないのなら、野田君で行くけど」
強制はしない、ゆりは優しく言う。
「ゆりっぺ悪い物でも食べた?」
嫌な予感がした大山は少し遠回しに言う。
ただでさえ、人数が少なめのメンバーでやりくりをしなければならない。
「食べていないわよ。野田君、出て頂戴」
苛ついたゆりは大山が出ないと判断し、代わりに野田を出す。
「了解だゆりっぺ!」
久々の出番で嬉しいのかそれとも、ゆりに指示されて嬉しいのか分からないが、喜んで二塁に走って行った。要するに、忠実なる犬(奴隷)。
(あ、片手打ちの人が入って来た……筋肉マッチョ露出狂変態野郎よりはマシかな…)
小枝による野田の印象は、『片手打ちで誰かの名前を言う』。よっぽど片手打ちが印象に残った様だ。
「……」
今だに一対ゼロのこの状況を歯痒(はがゆ)く思う。
どちらかと言うと、小枝にとっては、出来る事が出来ないみたいな感覚がする。まるで、体が思う様に動かない様。
「………」
そして何と言っても、大山による告白。
告白した本人は精神的に凄いダメージを負ったが、小枝自身も揺らいでいる。
(こんなの初めて……)
心が少し不安定なまま、アンダースローで投げる。
(もらった…!)
バット独特の金属音が鳴り響く。
ボールは低空状態で、センターセカンドとサードの間を抜ける。
「しまっ……!」
心の状態がボールに出てしまったせいか、椎名の許容範囲内の速さのボールを投げてしまった。
「椎名良いぞ!」
「そのまま走れ!!」
が、
ビシュゥ!と空気の壁を突き刺す様な音が聞こえる。
「おう!?」
野田の目の前にボールが通って行き、三塁に着いた。
「な…!?」
野田は驚きながらもギリギリ二塁に戻る。椎名はいつの間にか一塁に居る。
暫くしてキャッチャーが、
「タイム!!」
と大声で言い、鬼壁に許可を取った。
そして小枝の所へ駆け寄る。
「どうしたの?阿井(あい)君?」
真っ直ぐな瞳で阿井を見る。
そこらの男だったら鼻血を出すだろう。
「どぉしたはこっちの台詞だ。投げられるか?」
「え?投げられるよ」
何でも無い……
ただの質問。
「違う…俺が言ってんのは、元のスピードで投げられるかって聞いているんだ…」
阿井は控え目に優しく言う。
いつもは近所のおっちゃん位に皆と親しい。だが今回は、違う。
「……」
それは…
「暫く休んでろ…疲れただろ?」
「でも……!」
「いーから、強制交代だ。どしよかな?あいつ入れっか……」
小枝の言うことは無視し、勝手に代わりのピッチャーを決める。
「ぁ……」
途中で何か言いかけたが、無駄だと判った小枝はやむを得ずベンチに向かう。
その姿を見たゆりは……
「やったわ!大山君!貴方の行動は無駄では無かったわ!!」
オーホッホッホッホッと不気味に笑い、目が軽蔑している目だ。
「ゆりっぺさん悪役の様ですよ…」
「勝つ為なら何でもするわ。例え、悪役でもね……」
「最早、悪役ですね…流石ゆりっぺさん」
極悪な笑みに率直な感想を述べる。
そこで、音無が毒付いた一言を口から発する。
「お前…友達少ないだろ……」
「…!」
二回目なのに……何か…悲しくなる……。
「音無さん、ナイスです」
グッジョブと密かに親指を立てて、音無を誉めるのだった。
「ねぇTK」
「Oh,Yamaちゃん。何かYo?」
「TKってさ、ピアスしてるけど痛くないの?」
大山はTKの耳に付いているピアスを指差さす。
「No problem」
謎の決めポーズをし、踊る。いつもの事だ。
「へ~。耳に穴を空けるなんてある意味凄いよTK」
「Oh? No No.Meはそんな事はNothing」
謎の英語を発するとヘッドスピンをし始める。踊らなければ気が済まないのだろうか。
「ヱ?」
「This is a ワンタッチ!」
耳に手を伸ばすと、ヘッドスピンしながらピアスを難なくと取る。
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影