Angel Beats! ~君と~
遊佐
「前回までのあらすじです。事の始まりは、ゆりっぺさんが野球をしたいと言い、泣く泣くやる事になったSSSメンバー。最初は余裕勝ち。次の相手を朝顔の種で腹痛にさせ、出場停止。ゆりっぺさん悪役ですね。そして、最終決戦。果たして、SSSメンバーは勝てるのだろうか?次回をお楽しみにして下さい。」
日向
「うぉい!?次回かよ!?」
遊佐
「冗談です」
日向
「良かった…」
遊佐
「今回は時間軸が飛びます。ですので、八回表、ツーアウト満塁です」
日向
「飛びすぎだろ!!」
遊佐
「それは作者に言って下さい」
日向
「でも何で?」
遊佐
「早くGame Start編を終わらせて次に行きたいからですよ」
日向
「そんなんで良いのかよ!?」
遊佐
「Game Start編が終わったら私の視点で描く、『遊佐Diary』が始まります(予定)。お楽しみに」
日向
「あー!もう!今回の話は結構長いです!!では、スタート!!!」
********************************************
第32話 Game start! FINAL
緊張が走る…
観客席、審判、チーム、とにかく身体に緊張が駆け巡っていく。
何故ならば、一対0、満塁、ツーアウト、八回表というこの状況下で緊張しない者は居ないだろう。
(何で僕がぁぁぁぁあああああああああバッターなんだぁぁぁぁぁあああああああああ!!!)
よりによって、特徴が無い事が特徴な大山がバッターと言う名の威圧(プレッシャー)に圧されている。
「不味い……何でこんな時に大山君がバッターなのかしら…」
「神は誰に味方するのでしょうかねゆりっぺさん」
これは相手から更に点差を広げるというチャンス。
対して腕力も無く、走りもそこそこ。極めて地味過ぎる大山に打順が回って来た。
「神の使いである天使の直井 文人がここに居ますよ」
「おかしいわね…幻聴が……」
「大丈夫ですか?」
遊佐は聞こえていないらしいが、ゆりには聞こえたらしい。
幻聴だ。
「おや、愚民に聞こえていないらしいですね。良いでしょう催眠じ―――」
「ストライク!」
大きくて、野太い声が直井の声を掻き消す。
「バッター交代……って言っても、ホームラン並に打つメンバーは残っていない…」
「このまま逃げ切れるのでしょうか?」
逃げるというより、相手をいかに点数を取らせず守備で抑え込めるかが重要。
ゆりはメンバーの気力と守備力、天運、相手の戦力から差し引いて答えを出した。
「可能性は、50:50。どっこいどっこいね……」
何にせよ、メンバーに疲れが出てきている。
四回の裏で交代するのは、疲れが来ない様にする為。この15人にも満たないメンバーでやりくりするのは難しい。
(あ…当たらない……小枝さんより遅いと思うけど…速いよ!!どうやったら打てんの!?)
小枝より遅い…だがその差は変わらない。
劣ってはいるが、それで十分。強いて言うなら、
(音無君と同じ速さ……)
音無のピッチングを見てきたが、初めてにしては良いセンスを持っていると日向から聞いた事があった。
(おしまい……罰ゲームでも覚悟しよ…後、遺書も書かなきゃ………)
もう、打てない……というか相手が悪すぎる。
蟻一匹がかまきりに勝負を挑む様なものだ。自分が弱いのではなく、相手が強すぎるのだ。
「ストライク!」
「これで……」
「ツーストライクですね、ゆりっぺさん」
積み上げたチャンスが崩れていった。
大山が体を張って(?)小枝を交代まで追いやった。
高松はただの自爆だったが役に立った。
遊佐がホームスチールで点を取ってくれた。
野田がチャンスを作ってくれた。
ひさ子は男にも負けない位、頑張った。
藤巻は……。
椎名と松下五段で力を合わせてホームランボールを取ってくれた。
直井は催眠術で鬼壁を操ってくれた。
入江は自分を犠牲(ゆりの陰謀)にし、球のスピードを下げた。
竹山は情報収集をしてくれた。
陽動部隊は水分補給の為、色々な飲み物を集めてくれた。
結弦は必死で抑えてくれた。
何一つ無駄が無い小さな努力。それが崩れていく。
「俺、役に立ったんじゃねぇか!?」
「Fuzimaっちゃん、どんまいどんまい」
慰められても嬉しくない。何かもやもやしている。
小枝を交代にさせたものの、ピッチャーは結弦並の速さだし、守備が堅く八回の表まで手を煩(わずら)わせた。
(当たってほしいよ…振んなきゃ始まらないよね……)
さっきからバットを振っていたが、まったく当たらない。掠りもしない。
(これで…最後だ!)
オーバースローで投げると、結弦並の速さでこっちに向かって来る。
(ここだ!)
タイミング良くボールがバットの目前に来た。
これで、一点でも取れる!
(あれ?)
ボールはバットに当たらず、代わりにグローブの渇いた音が聞こえた。
「ストライク!バッターアウト!スリーアウトチェンジ!!」
「ごめん……ゆりっぺ…」
「良いのよ…相手が悪すぎたのよ」
慰めにもならないが、ゆりは大山をなだめる。
「それに、後一回で上手くいけば私達の勝ちよ。頑張りましょう」
ゆりにしては珍しく、声を上げる。
「最後のオペレーションよ!皆、勝つわよ!!」
『オーーーーーーーー!!』
「音無(こぞう)……」
「小僧って、止めてくれないか?」
「小枝 凛という小娘は知っているか」
知っているも何も、ボールを一発で当てられたヤツだ。
「ああ、知ってるけど…」
正直、どういう反応をすれば良いか分からない。滅多に話し掛けないらしい。
少しだけ沈黙し、口を開いた。
「小娘の球…捕るのがやっとだった……だから、次は無いと思え…」
「それってつまり…捕れたのはまぐれっていう事か?」
「そう言う事だ。だが、捕れる限界はそこまでだ。それ以上が来たら捕れない…」
「解った。(椎名にも限度ってものがあるんだな…)」
椎名も一人の人間だ。怪物並の跳躍力を持っていたとしても、人間とは変わりない。
椎名の方へ向くともう、松下五段の所へ行っており相談していた。
椎名の姿を確認すると野田の所へ向かう。
「野田」
「何だ?」
相変わらず獲物を狩る獣に眼で威圧してくる。
音無だけは好きにはなれないらしい。
「本気を出すけど良いか?」
「貴様、今まで本気じゃなかったのか?」
「お前の手が心配だからな。手加減していたんだが…」
「ゆりっぺの為だ。本気で懸かって来なければ俺の手は壊れないぞ。覚悟しとけ…」
四回の裏では手が腫れている事を隠している野田。
それは本気で投げれる様、配慮していたがその必要性はなさそうだ。
「分かった…」
「どうだ小枝。ベンチから俺達の活躍を見て」
「ん~新鮮だったよ」
「そっか…」
阿井は強制交代させてショックを受けていないかどうか心配だった。
その配慮が近所のおちゃんって呼ばれるようになったのは過言ではない。
「前回までのあらすじです。事の始まりは、ゆりっぺさんが野球をしたいと言い、泣く泣くやる事になったSSSメンバー。最初は余裕勝ち。次の相手を朝顔の種で腹痛にさせ、出場停止。ゆりっぺさん悪役ですね。そして、最終決戦。果たして、SSSメンバーは勝てるのだろうか?次回をお楽しみにして下さい。」
日向
「うぉい!?次回かよ!?」
遊佐
「冗談です」
日向
「良かった…」
遊佐
「今回は時間軸が飛びます。ですので、八回表、ツーアウト満塁です」
日向
「飛びすぎだろ!!」
遊佐
「それは作者に言って下さい」
日向
「でも何で?」
遊佐
「早くGame Start編を終わらせて次に行きたいからですよ」
日向
「そんなんで良いのかよ!?」
遊佐
「Game Start編が終わったら私の視点で描く、『遊佐Diary』が始まります(予定)。お楽しみに」
日向
「あー!もう!今回の話は結構長いです!!では、スタート!!!」
********************************************
第32話 Game start! FINAL
緊張が走る…
観客席、審判、チーム、とにかく身体に緊張が駆け巡っていく。
何故ならば、一対0、満塁、ツーアウト、八回表というこの状況下で緊張しない者は居ないだろう。
(何で僕がぁぁぁぁあああああああああバッターなんだぁぁぁぁぁあああああああああ!!!)
よりによって、特徴が無い事が特徴な大山がバッターと言う名の威圧(プレッシャー)に圧されている。
「不味い……何でこんな時に大山君がバッターなのかしら…」
「神は誰に味方するのでしょうかねゆりっぺさん」
これは相手から更に点差を広げるというチャンス。
対して腕力も無く、走りもそこそこ。極めて地味過ぎる大山に打順が回って来た。
「神の使いである天使の直井 文人がここに居ますよ」
「おかしいわね…幻聴が……」
「大丈夫ですか?」
遊佐は聞こえていないらしいが、ゆりには聞こえたらしい。
幻聴だ。
「おや、愚民に聞こえていないらしいですね。良いでしょう催眠じ―――」
「ストライク!」
大きくて、野太い声が直井の声を掻き消す。
「バッター交代……って言っても、ホームラン並に打つメンバーは残っていない…」
「このまま逃げ切れるのでしょうか?」
逃げるというより、相手をいかに点数を取らせず守備で抑え込めるかが重要。
ゆりはメンバーの気力と守備力、天運、相手の戦力から差し引いて答えを出した。
「可能性は、50:50。どっこいどっこいね……」
何にせよ、メンバーに疲れが出てきている。
四回の裏で交代するのは、疲れが来ない様にする為。この15人にも満たないメンバーでやりくりするのは難しい。
(あ…当たらない……小枝さんより遅いと思うけど…速いよ!!どうやったら打てんの!?)
小枝より遅い…だがその差は変わらない。
劣ってはいるが、それで十分。強いて言うなら、
(音無君と同じ速さ……)
音無のピッチングを見てきたが、初めてにしては良いセンスを持っていると日向から聞いた事があった。
(おしまい……罰ゲームでも覚悟しよ…後、遺書も書かなきゃ………)
もう、打てない……というか相手が悪すぎる。
蟻一匹がかまきりに勝負を挑む様なものだ。自分が弱いのではなく、相手が強すぎるのだ。
「ストライク!」
「これで……」
「ツーストライクですね、ゆりっぺさん」
積み上げたチャンスが崩れていった。
大山が体を張って(?)小枝を交代まで追いやった。
高松はただの自爆だったが役に立った。
遊佐がホームスチールで点を取ってくれた。
野田がチャンスを作ってくれた。
ひさ子は男にも負けない位、頑張った。
藤巻は……。
椎名と松下五段で力を合わせてホームランボールを取ってくれた。
直井は催眠術で鬼壁を操ってくれた。
入江は自分を犠牲(ゆりの陰謀)にし、球のスピードを下げた。
竹山は情報収集をしてくれた。
陽動部隊は水分補給の為、色々な飲み物を集めてくれた。
結弦は必死で抑えてくれた。
何一つ無駄が無い小さな努力。それが崩れていく。
「俺、役に立ったんじゃねぇか!?」
「Fuzimaっちゃん、どんまいどんまい」
慰められても嬉しくない。何かもやもやしている。
小枝を交代にさせたものの、ピッチャーは結弦並の速さだし、守備が堅く八回の表まで手を煩(わずら)わせた。
(当たってほしいよ…振んなきゃ始まらないよね……)
さっきからバットを振っていたが、まったく当たらない。掠りもしない。
(これで…最後だ!)
オーバースローで投げると、結弦並の速さでこっちに向かって来る。
(ここだ!)
タイミング良くボールがバットの目前に来た。
これで、一点でも取れる!
(あれ?)
ボールはバットに当たらず、代わりにグローブの渇いた音が聞こえた。
「ストライク!バッターアウト!スリーアウトチェンジ!!」
「ごめん……ゆりっぺ…」
「良いのよ…相手が悪すぎたのよ」
慰めにもならないが、ゆりは大山をなだめる。
「それに、後一回で上手くいけば私達の勝ちよ。頑張りましょう」
ゆりにしては珍しく、声を上げる。
「最後のオペレーションよ!皆、勝つわよ!!」
『オーーーーーーーー!!』
「音無(こぞう)……」
「小僧って、止めてくれないか?」
「小枝 凛という小娘は知っているか」
知っているも何も、ボールを一発で当てられたヤツだ。
「ああ、知ってるけど…」
正直、どういう反応をすれば良いか分からない。滅多に話し掛けないらしい。
少しだけ沈黙し、口を開いた。
「小娘の球…捕るのがやっとだった……だから、次は無いと思え…」
「それってつまり…捕れたのはまぐれっていう事か?」
「そう言う事だ。だが、捕れる限界はそこまでだ。それ以上が来たら捕れない…」
「解った。(椎名にも限度ってものがあるんだな…)」
椎名も一人の人間だ。怪物並の跳躍力を持っていたとしても、人間とは変わりない。
椎名の方へ向くともう、松下五段の所へ行っており相談していた。
椎名の姿を確認すると野田の所へ向かう。
「野田」
「何だ?」
相変わらず獲物を狩る獣に眼で威圧してくる。
音無だけは好きにはなれないらしい。
「本気を出すけど良いか?」
「貴様、今まで本気じゃなかったのか?」
「お前の手が心配だからな。手加減していたんだが…」
「ゆりっぺの為だ。本気で懸かって来なければ俺の手は壊れないぞ。覚悟しとけ…」
四回の裏では手が腫れている事を隠している野田。
それは本気で投げれる様、配慮していたがその必要性はなさそうだ。
「分かった…」
「どうだ小枝。ベンチから俺達の活躍を見て」
「ん~新鮮だったよ」
「そっか…」
阿井は強制交代させてショックを受けていないかどうか心配だった。
その配慮が近所のおちゃんって呼ばれるようになったのは過言ではない。
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影