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Angel Beats! ~君と~

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第36話 Summer

蝉がうるさく、ジトジトと湿る日もあればカラカラと湿気が無く、とても暑い日がある。
それでも子供達、青春真っ盛りな少年、少女達が喜んでしまう。夏休み。
そう、夏休みが来たのだ。






『あっついね~』

『もっと、暑くなれよ!!』

『ダメダメ諦めちゃ!!どうしてそこで諦めるんだよ!!!作者!!』

『な~んの意味も無いよね~』

『シジミがトゥるるって頑張ってんだよ!!!!』

ここは旧校長室でもあり、部室でもあるこの場所。
現在はクーラーが修復中の為、とても蒸し暑い。

「竹山君、その熱い言葉の動画を流すのは止めて頂戴」

その一室では竹山のパソコンから松岡○造の熱い言葉が鳴り響いてかなりうるさい。
ゆりは、どうせ『暑い』のなら『熱い』で対抗して暑さを吹っ飛ばすわよ!などと言っていたがもう飽きてしまった。一方でSSSのメンバーは、

「音無ぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!!キャッチボールをするぞ!!男と男同士のキャッチボールだぞ!あっついだろ~!!楽しそうだろ~!」

目からして焦点が合っていない日向は全力で提案する。

「やってられるか!!」

こんなクソ暑い外でキャッチボールをするのは真っ平ごめんだ。

「俺も混ぜろおおおおおおおお!!!」

「おーう野田~良いじゃねぇか…やろうぜ!!」

「私もお付き合いします!!」

「おっし直井も交じったことだし4人でやろう!!!」

「だからやらないって!!」

早速キャッチボールの準備をするとラジオ体操をし始める。とあるソファーの方は、

「二人共あっついね~。付き合っちゃえば?」

いつもの二人を茶化す藤巻。そのいつもの二人は小枝と大山だ。

「えーーーーー!?」

「私じゃイヤなの?」

大山の左腕に抱き付く小枝は上目遣いで大山を見る。これで大山の心を何度も惑わしたことか…

「い…いやじゃないけど……」

そのソファーの横では小枝の視界に入らない様に上半身裸で腕立て伏せをしている。小枝の視界に入ってしまったらボディブローをかまされてしまう。

「フン!フン!100…101…102…今日という今日は筋肉を鍛え上げてみせる……!」

メンバーはゆりの罰ゲームが怖く、命令通りに、奴隷の様に従っている。直井は催眠術を使い、ゆりの命令を撤回させようと試みるも鏡を使われ、返り討ちにあってしまい従順な僕にされてしまった。
岩沢音楽一行はその命令を避ける様に別室のクーラーが効いている所で練習中。椎名は部屋の隅で犬の人形を作っている。遊佐はある命令により6日前からここには居ない。
そこに空気を読まず、一人の訪問者がドアを開けた。

「よう小枝、差し入れ…ってこの部屋あっついな……」

かつて球技大会で戦った事がある、藍川だ。
この暑い季節だ。キンキンに冷えたアイスをSSSメンバー全員にプレゼントをしよう…と思ったが、部室が混沌と化していた。

「お前ら…何やってんの?」

一般の人から見て明らかにおかしい状況になっている事を知らずにやってしまっているメンバーであった。








「藍川君助かったわ。有り難う」

アイスを持ってきてもらったついでに、藍川本人が機械に強いという事でクーラーを修理してもらった。

「どういたしまして。それと、俺は『あいかわ』じゃなくて『あいぜん』」

「別に良いじゃない。ふりがなふられていないんだから読者はきっと気付いていないわ」

シャリ○ャリくんのソーダ味を食べながら藍川の訂正を聞き流しつつクーラーの冷たい風を肌で感じている。

「この『シャリ○ャリくん』って非売品じゃないのか?」

シャリ○ャリくんを食べながら疑問に思う。本来ならどこのお店にも売ってはいないが、

「音無それはな、この小説が何でも有りだからだ」

その日向の答えで結弦の疑問は解けた。
そんなんで良いのか?と思ったが何でも有りだから良いかと思ってしまう結弦であった。

「ゆりっぺさ~ん」

更に訪問者がやって来た。

「おう遊佐じゃん何やってたん?」

「ゆりっぺさん、許可を取れました」

「無視!?」

「そう、御苦労様」

「ゆりっぺも!?」

藤巻の全力の突っ込みに目もくれない遊佐とゆりは構わず話を続ける。

「そういや…TKと松下五段が居ないな……」

「ああ、あの二人か………確か―――――」

「松下君は山籠り、TKは……分からないわね…」

日向の言葉を遮るゆり。その言葉には嘘偽りはない。TKは謎だらけな為、ゆりと遊佐でさえも住んでいる場所、出身地、何故バンダナをしているのかも解らない。

「山籠りって?」

「松下五段って家が道場でさ、まあそれで特訓でもしてるんだろ」

暇さえあればメンバーに柔道技を教えている松下五段。そのお蔭で入江がナンパされた時に助かったとか助からなかったとか……。

「おっとそろそろ時間だ。じゃあな!!」

シャリ○ャリくんの袋をゴミ箱に捨て去り、ドアを蹴破る様にして開けて出ていく日向。ドアは蹴破った反動で思いっきり閉まる。何故出ていくのかは誰もが知っている。

「日向君って元気だね」

「大山君の方が元気良いよ♪」

((見ているこっちが暑くなるな……))

藤巻と藍川は父親の目で二人を見る。
藤巻にとって大山は弟みたいな存在であり、息子の様だ。
藍川も同様であり、小枝は妹みたいな存在であり、娘の様だ。

((親離れか………))

ちょっぴり寂しく、成長を感じる親バカなお二人さんは遠い目で見守るのであった。

「音無君、岩沢さん達を呼んでくれるかしら?」

「良いけど…無線機持ってるんじゃなかったけ?」

「それが壊れちゃったのよ」

「分かった。呼んでくる」

「お願いね」

場所を教えてもらい、さっそく出る。が、

「貴様…ゆりっぺにいいところを見せて好感度を上げようとしているな……」

入口を立って塞ぐ。これでは呼びに行けない。

「呼びに行きたいのなら…この俺を倒してからにしろ……」

「良いだろう……後で後悔するなよ………」










――――6年2組――――
旧校舎でもあり、SSSの部室の3階下にある教室は校長先生の協力もあって防音効果がある。
設備が整っている教室で岩沢達は練習を重ねていた。だが、

(ここか……)

岩沢達が練習をしている所がすぐ判った。
何故なら、せっかくの防音効果も虚しく、ドアを開けてガンガン掻き鳴らしている。だがそれはただの騒音ではない。結弦が夢中になった騒音だ。


「あっ…と…悪(わり)ぃ弦張り直す」

「オーケー。じゃ休憩」

「ほぇえ……やっと休憩だぁ………」

「おや?あそこに覗きがいるよ~」


開いているドアに立っている覗きを関根は指を指す。しかしそれは聞き入ってしまった結果、こうなってしまったのだ。

「覗きじゃねぇよ……ゆりが呼んでるぞ。早目に行った方が身のためだぞ」

イラついた結弦は訳ありげに、脅しぎみに言う。

「おーう、アリガトな音無。後で行く」

岩沢は汗だくの顔を青いタオルで拭く。冷房が効いている筈なのに、タオルで拭く程の汗が出てくるという事はどういうことなのだろうか。








作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影