Angel Beats! ~君と~
(『もうおしまいだ!!』)
皆は覚悟をし、目を瞑る。
だが、武装男はいつまでたっても攻撃をしてこない。
(『あれ?』)
目を恐る恐る開ける。
そこにはニヤニヤして嘲笑う目で見ているゆりが武装男の横に立っていて、男の右手に文字が6個が書いてある札を持っていた。
『ドッキリ成功』
『ハアアアアアアア!??』
安心感と同時に、違和感を感じる。
「あっはははははははははははははは!!貴方達の間抜けな姿はお笑いだったわ!!!あっははははははははははは!!こんな仕掛けにも解らないなんて!!」
『は?』
ゆりは裏拳で武装男の胸に素早く一発叩く。
すると、背景と同時に武装男が倒れていき、背景と同じ景色が映し出された。
背景はかなりの大きさで、ズゥウン、という鈍い音を立てた。
「おいおい!どういうことだ!?」
「まだ解らないの藤巻君!?あはっ!!説明しなきゃ解らない!?」
お腹を抱えて笑っているゆりはその笑いをこらえ、説明を始めようとする。
「つまりね……っくくく…貴方達は…あはははは、…………ごめんなさい遊佐さん…貴女が代わりに…………あはははははははははははははははははははは!!!」
「承知しました」
いつの間にか皆の後ろに居る遊佐は大いに笑っている彼女に代わって説明をする。
口調はいつも通りに戻っており、一時間は過ぎたようだ。
「私があの5日間、何もしないで帰ってきた、とでも思っていましたか?」
あの5日間…それはゆりが遊佐にある命令を受けての事。
「ただの旅行だと思ってましたが……」
眼鏡を知的に上げるも、アホでなければ決まっていただろう。
「高松さん考えが甘いですよ。あの5日間で私は、チャーさんとゆりっぺさんの『ドッキリ計画』を竹山さんに映像の監修、そしてチャーさんの3D技術とCGで完成させた、それだけのお話しです」
つまり、
『全部、掌(てのひら)で踊っていたって事!!?』
「そうよ!!あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」
「え!?ちょっと待ってよ!!野田君は!?」
「まだ解りませんか?大山さん。野田さんが計画上、予測不可能(イレギュラー)だからですよ」
そう。野田はあんな事態が起こってしまっては黙っては見ていられず、直ぐに映像に攻撃してしまい、ドッキリが成功しない。だから、
「予(あらかじ)め用意しておいた、地雷型催眠ガスを作ったのです」
「それだったら椎名さんが黙って見ていられないよ!?」
それもそう。
だが、ある椎名の特性を活かせばこのようなドッキリに支障が出ない。
「あれ?椎名さんが居ないよお兄ちゃん」
「そういや…見ていないな…初音」
「心配は御無用ですよ初音さん。椎名さんならあちらで遊んでいますよ」
遊佐は右手の人指し指で駅の右を指すと、椎名が色々な種類の子犬と子猫に囲まれて戯れていた。
「椎名さん……」
「浅はかなり………♪」
その椎名はいつも以上に目が輝いていたという。
だが、もう一つ疑問が残る。どうやったらゆりとチャーの脚本(しなりお)通りに役者が決まるのか。
「ゆさゆさって結構ギャンブル派なんだね…」
「何がですか?みゆきちさん」
「もしもだよ、ゆりっぺの策略通りにいかなかったらどうするつもりだったの?」
「今日の運勢が結構良かったお蔭です。ですよね、ゆりっぺさん」
返事の代わりに笑いでするゆりは心の底から楽しんでいたという。
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影