Angel Beats! ~君と~
第46話 藁を掴んだって助からないよ。
『下の名前で呼んで良いか?』
どうして?――――
『親しくなったからだよ』
思い出せない――――
『名前は、―――、――――』
どうして――――、
『音を「奏」るって言う意味だよな?』
どうして――――
どうして――――
こんなに、胸が……肺が……心が…、苦しいの?―――
分からないのに、知らないのに、会ったことないのに――――
――――。
「――――」
「は?」
ザシュ!!
いきなりだが、俺の夢はここで終わった。
死んだことを暗示しているのか?
突然に手から刀が急に生えてきて、肝心の相手の顔は良く判らない。黒く塗り潰されている…というか、説明のしようがない。顔をよくは覚えていなかった………。
「ハッ!?…ゲホ!ゲホ!」
気が付くと何処かの熱い砂浜に寝ていた。
覚醒した際に喉に詰まっていた海水が蒸せる。確か溺れていた筈なのだが……。
咳をし、盛大に海水を口から出した時に塩の味がした。そして太陽で眩(くら)んだ目を開けると、
「だ…大丈夫ですか……?」
そこには蒼い瞳でこちらを心配そうに見ている少女がしゃがんで居た。白いワンピースを着ており、よく観ないと解らないが肌は元々白だったのかほんの薄く小麦色に変化している。
「う゛ぅん……君は…?」
まだ喉に引っ掛かりぎみの塩水を咳払いし上半身を重そうに起こし、蒼い瞳の少女に名前を聞く。
「…あ、えと、霧島(きりしま) 瑠璃(るり)です……。雨の『霧』と島国の『島』で…、『霧島』。瑠璃色の『瑠璃』で瑠璃…です」
「ご丁寧にどうも……俺は音無って言うんだ………えー…君がその、助けてくれたのか?」
「え、ええ。そうです……。あの時の貴方はまだ目を開いていたので……あ、それと私の事は瑠璃で良いですよ…?」
「(…あの流れが速い所を……あの影……?地元の子なのか………?)あ、アリガトな助けてくれて。俺のことは音無で良いから」
斉藤が言っていたが、よっぽど泳ぎに自信がある奴でも死ぬと言っていた。この霧島 瑠璃は……一体…?
「あ……はい。…音無さん気分はどうですか…?」
「まだ、ちょっとな。一時期はどうなるかって思ったよ……本当に有り難う…!?」
ようやく頭が回り、霧島を見ると……
「……?………!!」
バッ!と両腕で胸の辺りを隠した。
当然、服が水に濡れると色が透き通る訳であって……。ブラをしていないせいであるものが見えてしまった。
「……み…見ました………?」
顔を伏せているが、長い黒い髪から覗く耳は真っ赤であった。
「え!?いや!そ…その!……ごめんなさい…見ました」
許される筈が無いと覚悟し土下座をした。
何もそこまでしなくてもと全力で土下座をしている音無に霧島は引いてしまった。
「…あ……えと…そこまで……」
「申し訳ありませんでした!!パッドなんて見てしまって!!パッドが無くても十分に大きいですよ!」
結弦は思う。何故、大きく見せるのにパッドをするのか、肝心なのはそこでは無いのに、と。
「……こちらこそ見たくないものを見せて申し訳ありませんでした……ですから、謝らないで下さい」
「えっと……じゃあ、せめて俺が着ている服を…って無い!?(流されたか!?)」
改めてペタペタと自分の体を触り、上半身裸だと言うのに気付く。あの流れだ。岩場にぶつからず傷一つ付かずに服一枚無くなっただけで済むとは奇跡だ。
「あ……いえ……お気持ちだけで、結構ですから……」
「なんかすいません。有り難うございます。そしてごめんなさい」
「……二回…謝っていますよ――――」
「居た居た!音無くーん!!」
声がする方に向くと、リーダーのゆりとそのメンバーと斉藤とチャーと元不良達(羽方を除く)が走ってきた。この景色は……
(漫画かい……)
「おっとなっしっすぁーん!!無事だったんですねーー!!」
その中の催眠術が得意な直井が気持ち悪い程の速さで結弦の元に走っていく。だが、上には上が居る。妹の初音が直井の速さを上回った。
走る勢いを殺さずに結弦に跳んで抱きつく。体格は小さかったらそのまま受け止めていたが、石頭が結弦の鳩尾(みぞおち)に頭が当り、後ろに倒れてしまう。
「お兄ちゃぁああん!もう駄目かと思ったよー!!うわぁああああん!!」
「あ…あぁ、心配かけてごめ゛ん゛な……。隣に居る霧島っていう女の子が助けてくれたんだ……」
「そうなんだ……でもさ、いないよそのキリシマさん。どこ?」
結弦が首を左に回したが誰も居なかった。確かにこの砂浜で流されたところを助けてもらい運んでくれた筈。それに足跡がいつの間にか草むらまで続いていることからして、もう帰ったのだろう。せめてまだ話がしたかったのだが……。
病院食はかなり味が薄い、いや味が無い位だ。
「うっわ!?何だよこの茶碗蒸し!見た目に騙されたぜ………って、やっと出番が来たと思ったらこの仕打ちかよ!!クソッタレ!」
「まあまあ先輩、出番が来たんですから文句は言わない。それに慣れればここの病院食はおいしいものですよ?」
「でもな~……俺はこの食事は好きになれないぜ………あーーーー………出番来たけど何すりゃあ良いかわっかんねぇ……」
「そうですよね……あれだけ願って、『出番来たらジャーマンスープレックスのシーンだけを見よう!!』とか、『マ○ドーナ5人抜きのドリブルシュートを決めるシーンを見まくる』とか、やろうって決めてたのに何か…やる気が出ないですね……」
「やる気が出ると言えばさ、人間は太陽の光に当たると元気物質みたいなのが脳から分泌されて元気が出るらしいぜ」
「物知りなんですね」
「いや、これ医院長に聞いたんだ……なんか今日の医院長さ、急に病院から抜け出したけど一体なにがあったんだろな?」
「奥さんが倒れたとかでしょうかね?」
「あんなに元気だったのにか?今日も医院長の会いにきて話して帰ってたのにか?」
「主婦は大変ですよ?貧血とか、こーねんきとか、冷え症とか」
「ま、あの腕の良い先生だ。奥さんになにかあったとしてもきっと助かるさ」
「そうですね。…なんか先輩、あたし達話しただけで終わるような気がするんですが………」
「はっはっはっは。まさかな~」
そのまさかだ。
「「えぇえええええええええ!!?」」
取り敢えずトランクスタイプの海パンも貰った(344円)結弦は泳げることになった。何故、金を払わなければならないのかと言うと、『商売が出来なくなるから』とのこと。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんキリシマさんてどういう人?」
「えーと……そうだな、目が――――」
「ゆぅうううづぅううううるううううぅううくぅうううううぅぅぅん!!!」
話を初音と話していたら急に医院長の声がした……だが、前後左右を見ても何処にも居ない。
だとしたら……、
「上か…?まさか―――」
「あ!?お兄ちゃん先生が上に!!」
『下の名前で呼んで良いか?』
どうして?――――
『親しくなったからだよ』
思い出せない――――
『名前は、―――、――――』
どうして――――、
『音を「奏」るって言う意味だよな?』
どうして――――
どうして――――
こんなに、胸が……肺が……心が…、苦しいの?―――
分からないのに、知らないのに、会ったことないのに――――
――――。
「――――」
「は?」
ザシュ!!
いきなりだが、俺の夢はここで終わった。
死んだことを暗示しているのか?
突然に手から刀が急に生えてきて、肝心の相手の顔は良く判らない。黒く塗り潰されている…というか、説明のしようがない。顔をよくは覚えていなかった………。
「ハッ!?…ゲホ!ゲホ!」
気が付くと何処かの熱い砂浜に寝ていた。
覚醒した際に喉に詰まっていた海水が蒸せる。確か溺れていた筈なのだが……。
咳をし、盛大に海水を口から出した時に塩の味がした。そして太陽で眩(くら)んだ目を開けると、
「だ…大丈夫ですか……?」
そこには蒼い瞳でこちらを心配そうに見ている少女がしゃがんで居た。白いワンピースを着ており、よく観ないと解らないが肌は元々白だったのかほんの薄く小麦色に変化している。
「う゛ぅん……君は…?」
まだ喉に引っ掛かりぎみの塩水を咳払いし上半身を重そうに起こし、蒼い瞳の少女に名前を聞く。
「…あ、えと、霧島(きりしま) 瑠璃(るり)です……。雨の『霧』と島国の『島』で…、『霧島』。瑠璃色の『瑠璃』で瑠璃…です」
「ご丁寧にどうも……俺は音無って言うんだ………えー…君がその、助けてくれたのか?」
「え、ええ。そうです……。あの時の貴方はまだ目を開いていたので……あ、それと私の事は瑠璃で良いですよ…?」
「(…あの流れが速い所を……あの影……?地元の子なのか………?)あ、アリガトな助けてくれて。俺のことは音無で良いから」
斉藤が言っていたが、よっぽど泳ぎに自信がある奴でも死ぬと言っていた。この霧島 瑠璃は……一体…?
「あ……はい。…音無さん気分はどうですか…?」
「まだ、ちょっとな。一時期はどうなるかって思ったよ……本当に有り難う…!?」
ようやく頭が回り、霧島を見ると……
「……?………!!」
バッ!と両腕で胸の辺りを隠した。
当然、服が水に濡れると色が透き通る訳であって……。ブラをしていないせいであるものが見えてしまった。
「……み…見ました………?」
顔を伏せているが、長い黒い髪から覗く耳は真っ赤であった。
「え!?いや!そ…その!……ごめんなさい…見ました」
許される筈が無いと覚悟し土下座をした。
何もそこまでしなくてもと全力で土下座をしている音無に霧島は引いてしまった。
「…あ……えと…そこまで……」
「申し訳ありませんでした!!パッドなんて見てしまって!!パッドが無くても十分に大きいですよ!」
結弦は思う。何故、大きく見せるのにパッドをするのか、肝心なのはそこでは無いのに、と。
「……こちらこそ見たくないものを見せて申し訳ありませんでした……ですから、謝らないで下さい」
「えっと……じゃあ、せめて俺が着ている服を…って無い!?(流されたか!?)」
改めてペタペタと自分の体を触り、上半身裸だと言うのに気付く。あの流れだ。岩場にぶつからず傷一つ付かずに服一枚無くなっただけで済むとは奇跡だ。
「あ……いえ……お気持ちだけで、結構ですから……」
「なんかすいません。有り難うございます。そしてごめんなさい」
「……二回…謝っていますよ――――」
「居た居た!音無くーん!!」
声がする方に向くと、リーダーのゆりとそのメンバーと斉藤とチャーと元不良達(羽方を除く)が走ってきた。この景色は……
(漫画かい……)
「おっとなっしっすぁーん!!無事だったんですねーー!!」
その中の催眠術が得意な直井が気持ち悪い程の速さで結弦の元に走っていく。だが、上には上が居る。妹の初音が直井の速さを上回った。
走る勢いを殺さずに結弦に跳んで抱きつく。体格は小さかったらそのまま受け止めていたが、石頭が結弦の鳩尾(みぞおち)に頭が当り、後ろに倒れてしまう。
「お兄ちゃぁああん!もう駄目かと思ったよー!!うわぁああああん!!」
「あ…あぁ、心配かけてごめ゛ん゛な……。隣に居る霧島っていう女の子が助けてくれたんだ……」
「そうなんだ……でもさ、いないよそのキリシマさん。どこ?」
結弦が首を左に回したが誰も居なかった。確かにこの砂浜で流されたところを助けてもらい運んでくれた筈。それに足跡がいつの間にか草むらまで続いていることからして、もう帰ったのだろう。せめてまだ話がしたかったのだが……。
病院食はかなり味が薄い、いや味が無い位だ。
「うっわ!?何だよこの茶碗蒸し!見た目に騙されたぜ………って、やっと出番が来たと思ったらこの仕打ちかよ!!クソッタレ!」
「まあまあ先輩、出番が来たんですから文句は言わない。それに慣れればここの病院食はおいしいものですよ?」
「でもな~……俺はこの食事は好きになれないぜ………あーーーー………出番来たけど何すりゃあ良いかわっかんねぇ……」
「そうですよね……あれだけ願って、『出番来たらジャーマンスープレックスのシーンだけを見よう!!』とか、『マ○ドーナ5人抜きのドリブルシュートを決めるシーンを見まくる』とか、やろうって決めてたのに何か…やる気が出ないですね……」
「やる気が出ると言えばさ、人間は太陽の光に当たると元気物質みたいなのが脳から分泌されて元気が出るらしいぜ」
「物知りなんですね」
「いや、これ医院長に聞いたんだ……なんか今日の医院長さ、急に病院から抜け出したけど一体なにがあったんだろな?」
「奥さんが倒れたとかでしょうかね?」
「あんなに元気だったのにか?今日も医院長の会いにきて話して帰ってたのにか?」
「主婦は大変ですよ?貧血とか、こーねんきとか、冷え症とか」
「ま、あの腕の良い先生だ。奥さんになにかあったとしてもきっと助かるさ」
「そうですね。…なんか先輩、あたし達話しただけで終わるような気がするんですが………」
「はっはっはっは。まさかな~」
そのまさかだ。
「「えぇえええええええええ!!?」」
取り敢えずトランクスタイプの海パンも貰った(344円)結弦は泳げることになった。何故、金を払わなければならないのかと言うと、『商売が出来なくなるから』とのこと。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんキリシマさんてどういう人?」
「えーと……そうだな、目が――――」
「ゆぅうううづぅううううるううううぅううくぅうううううぅぅぅん!!!」
話を初音と話していたら急に医院長の声がした……だが、前後左右を見ても何処にも居ない。
だとしたら……、
「上か…?まさか―――」
「あ!?お兄ちゃん先生が上に!!」
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影