こらぼでほすと 解除14
「ママニャン、俺は、おまえさんを守りたいと思ってるし、頼って欲しいとも思ってるんだ。だから、三蔵さんだけに独占させなくても、いいんじゃねぇーか?」
「随分、頼ってるよ? ハイネ。」
「そうか? 物足りないな。もうちょっと、どっかりと凭れかかっても、俺は潰れない。三蔵さんほどのことはできないだろうけどな。」
さすがに、三蔵ほどの根性というか器はない、と、ハイネも自覚している。ニールの落ち込みを浮上させる術は持たないのだ。だが、そこまで行く前なら、フォローはできるつもりだ。
「・・・・ありがとさん。」
「ははは・・・素直だな? でも、俺も肉体的には無理だから。そこいらは、どっかでどうにかしてきてくれ。」
「ごめん、俺も無理。いい亭主とか間男なんだけど、性別だけは無理。酔っ払って、どうにかできるならやってくれてもいいけど、積極的に参加するのは気持ち悪いから。」
「俺も、野郎の身体に欲情はしねぇーんだよな。おまえ、性転換しねぇーか? ママニャン。それで一挙解決だ。」
「バカッッ、先に俺の神経が壊れる。」
「壊れてもいいよ。ちゃんと優しくフォローするからさ。」
「イヤだね。なんで、俺が女になんなきゃいけねぇーんだよ。断固拒否だ。」
途中から、いつもの与太話になって、どちらも全力でツッコミ大会だ。最初の頃を思えば、ここまで曝け出してくれるようにはなったので、ハイネも嬉しいといえば嬉しい。バカバカしい話をしていたら、フェルトがてってけとやってきた。そこで、この話は終了する。
「気分は? 」
「うん、いいよ。」
「食事しないとダメだよ? ニール。」
「・・・うーん、あんまり食べる気は起きないんだけどなあ。」
「でも、食べないとハイネが点滴するよ? 」
「・・うっっ・・・」
フェルトの脅し文句に、ニールも詰まる。確かに、食べなければ点滴される。それも、怖ろしく下手な看護者に、だ。
「フェルトちゃん、一緒に食おうか? こっちのメシでもいいんだろ? 」
組織のほうは、そういう食事事情がよろしくない。宇宙用の食事パックの種類が多くないので、歌姫様が、それらを民間船の荷物として手配した。ほとんどは、すでに荷降しさせたが、一部、こちらにも残してあった。
「じゃあ、みんなにも声をかけるね? 食堂で待ってるの。」
桃色猫は、すかさず携帯端末で連絡を入れる。マイスター組も、本日業務が終わって、食事しようと集まっていたのだ。
「フェルト、ライルに靴持って来てって伝言してくれ。」
「はぁーい。」
やれやれとニールも医療ポッドから脱出する。携帯食の用意をするために、民間船の食堂へ向かう。裸足のままだが、しょうがない。そのうち、実弟が靴を持参してくれるはずだ。
「私服一式と靴。貸しといてやるよ。」
実弟は、私服のセットとランドリーから戻って来たパジャマを運んでくれた。治療が終われば、終日、自由行動だからパジャマよりは、そっちだろう、ということだ。
「すまないな、ライル。」
宇宙用のパック食を用意していたニールは、とりあえず靴を履く。後から、ラッセも自分の私服を一式運んで来てくれた。一着では着替えがないからのことらしい。こちらは動き易いジャージの上下だ。
「シフトは? 」
「ここじゃあ、ドックのほうがやってるから、俺らは全員同じ時間割なんだ。」
「そうよ。あー久しぶりに違うメニューだわ。嬉しい。」
「スメラギさん、俺も酒があるんだけど試す? 」
「あら、嬉しいわ、ハイネ。」
トレミーのメンバーが勢揃いで現れたので、ニールは驚いたが、確かにドックに滞在しているのだから、シフトも何もないのだろう。昨日のお誕生会と同じように、全員が食堂で騒いでいる。ドクターも一緒だが、こちらもマイスター組とは知り合いだから、会話に参加していたりする。
「今夜から、俺は医療ポッドで寝ることになってるから、おまえらは自分の部屋に帰れ。」
食事しつつ、ニールが、そう宣言すると、えーーーーーというブーイングだ。隣りに座っている黒猫は、ものすごい顔で睨んでいるし、桃色猫も、うぇーと不満顔だ。
「しょうがないだろ? 俺の身体は、そこで調整しないと保たないの。・・・てか、フェルト? おまえさんまで参加するつもりだったのか? 」
「昨日は、あたしの寝る場所がなかったから。今日は、ベッドで一緒に寝ようと思ってたの。」
「いやいやいやいや、フェルトさんや? こんなおっさんと一緒に寝るのは、本来はダメなことなんだぞ? そういうのは、恋人が出来たら、そちらとやりなさい。」
「ニールは、おかんなんだからいいの。・・・じゃあ、お昼寝に付き合う。」
「お昼寝? 俺、昼寝もしないとダメなのか? ハイネ。」
「ダメだろうな。一日活動できるだけの体力はねぇーよ、ママニャン。」
「ニール君、きみ、今までの生活形態のままじゃないと無理なんだ。地上でも昼寝とか夕寝してただろ? 適当に動いて適当に横になってくれないと、ダウンするよ? 」
こちらに上がる直前の生活ということだと、そういうことになる。ちょっと動いて、少し横になって、を繰り返していた。それぐらいしか動けないらしい。
「ほら、昼寝一緒にしようね? ニール。」
「でもさ、フェルト。」
「いいじゃないの。普通は、加齢臭がして、おっさんなんかと昼寝してくれないわよ? ニール。」
「俺は、そこまでの年齢じゃありません、ミス・スメラギ。」
「それで、いかがわしさが、ちっともないのがニールだよね? 和むなあ。」
「兄さん、未成年相手に、なんてことを・・・」
「俺は、なんもしてねぇーよっっ。むしろ、注意すべきは、フェルトの行動だってぇーのっっっ。」
「地上だとやってくれるのに。どうして、ダメなの? 」
「・・・フェルト、地上でも同じ布団はないだろ? 」
「本宅だと、同じベッドだった。」
「あれは、キングサイズのベッドで大きいからだ。ここのベッドなんて狭すぎるから密着しちまうぞ? 」
「別にいいよ? 」
「いや、ダメ。」
「不公平。」
「刹那は男だからな? 」
「でも、同じだもんっっ。」
桃色猫も引き下がらない。刹那が同じベッドで寝たのが羨ましいと騒いでいるが、さすがに、ニールは拒否だ。年頃の娘を腕枕なんてしたら、大問題だとは考える。フェルトも、すっかり大人な女性の体型だ。誤解されるようなことは避けたい。
「じゃあさ、おまえさんの空き時間にトレミー探検デートをしよう。それでどうだ? 」
「手を繋ぐ? 」
「うん、いいよ。」
「・・・・うーーじゃあ、それでもいい。」
妥協案を渋々受け入れてくれたが、今度は黒猫と紫猫が抗議だ。そういうことなら、自分たちともトレミーデートをしろ、と、おっしゃる。
「おまえら、デートの相手なら、隣りに座ってるのがいるだろうが。」
「俺は、春まで地上降下の予定がない。この場合、俺とは優先的に接してくれるものだと思う。」
「刹那、それはおかしいだろう。ニールが、トレミーにやってくることなんて、今後は皆無なんだ。機会がないのだから、ここは均等に配分すべきじゃないか? 」
「おまえは、一緒に地上降下するだろう? ティエリア。」
「随分、頼ってるよ? ハイネ。」
「そうか? 物足りないな。もうちょっと、どっかりと凭れかかっても、俺は潰れない。三蔵さんほどのことはできないだろうけどな。」
さすがに、三蔵ほどの根性というか器はない、と、ハイネも自覚している。ニールの落ち込みを浮上させる術は持たないのだ。だが、そこまで行く前なら、フォローはできるつもりだ。
「・・・・ありがとさん。」
「ははは・・・素直だな? でも、俺も肉体的には無理だから。そこいらは、どっかでどうにかしてきてくれ。」
「ごめん、俺も無理。いい亭主とか間男なんだけど、性別だけは無理。酔っ払って、どうにかできるならやってくれてもいいけど、積極的に参加するのは気持ち悪いから。」
「俺も、野郎の身体に欲情はしねぇーんだよな。おまえ、性転換しねぇーか? ママニャン。それで一挙解決だ。」
「バカッッ、先に俺の神経が壊れる。」
「壊れてもいいよ。ちゃんと優しくフォローするからさ。」
「イヤだね。なんで、俺が女になんなきゃいけねぇーんだよ。断固拒否だ。」
途中から、いつもの与太話になって、どちらも全力でツッコミ大会だ。最初の頃を思えば、ここまで曝け出してくれるようにはなったので、ハイネも嬉しいといえば嬉しい。バカバカしい話をしていたら、フェルトがてってけとやってきた。そこで、この話は終了する。
「気分は? 」
「うん、いいよ。」
「食事しないとダメだよ? ニール。」
「・・・うーん、あんまり食べる気は起きないんだけどなあ。」
「でも、食べないとハイネが点滴するよ? 」
「・・うっっ・・・」
フェルトの脅し文句に、ニールも詰まる。確かに、食べなければ点滴される。それも、怖ろしく下手な看護者に、だ。
「フェルトちゃん、一緒に食おうか? こっちのメシでもいいんだろ? 」
組織のほうは、そういう食事事情がよろしくない。宇宙用の食事パックの種類が多くないので、歌姫様が、それらを民間船の荷物として手配した。ほとんどは、すでに荷降しさせたが、一部、こちらにも残してあった。
「じゃあ、みんなにも声をかけるね? 食堂で待ってるの。」
桃色猫は、すかさず携帯端末で連絡を入れる。マイスター組も、本日業務が終わって、食事しようと集まっていたのだ。
「フェルト、ライルに靴持って来てって伝言してくれ。」
「はぁーい。」
やれやれとニールも医療ポッドから脱出する。携帯食の用意をするために、民間船の食堂へ向かう。裸足のままだが、しょうがない。そのうち、実弟が靴を持参してくれるはずだ。
「私服一式と靴。貸しといてやるよ。」
実弟は、私服のセットとランドリーから戻って来たパジャマを運んでくれた。治療が終われば、終日、自由行動だからパジャマよりは、そっちだろう、ということだ。
「すまないな、ライル。」
宇宙用のパック食を用意していたニールは、とりあえず靴を履く。後から、ラッセも自分の私服を一式運んで来てくれた。一着では着替えがないからのことらしい。こちらは動き易いジャージの上下だ。
「シフトは? 」
「ここじゃあ、ドックのほうがやってるから、俺らは全員同じ時間割なんだ。」
「そうよ。あー久しぶりに違うメニューだわ。嬉しい。」
「スメラギさん、俺も酒があるんだけど試す? 」
「あら、嬉しいわ、ハイネ。」
トレミーのメンバーが勢揃いで現れたので、ニールは驚いたが、確かにドックに滞在しているのだから、シフトも何もないのだろう。昨日のお誕生会と同じように、全員が食堂で騒いでいる。ドクターも一緒だが、こちらもマイスター組とは知り合いだから、会話に参加していたりする。
「今夜から、俺は医療ポッドで寝ることになってるから、おまえらは自分の部屋に帰れ。」
食事しつつ、ニールが、そう宣言すると、えーーーーーというブーイングだ。隣りに座っている黒猫は、ものすごい顔で睨んでいるし、桃色猫も、うぇーと不満顔だ。
「しょうがないだろ? 俺の身体は、そこで調整しないと保たないの。・・・てか、フェルト? おまえさんまで参加するつもりだったのか? 」
「昨日は、あたしの寝る場所がなかったから。今日は、ベッドで一緒に寝ようと思ってたの。」
「いやいやいやいや、フェルトさんや? こんなおっさんと一緒に寝るのは、本来はダメなことなんだぞ? そういうのは、恋人が出来たら、そちらとやりなさい。」
「ニールは、おかんなんだからいいの。・・・じゃあ、お昼寝に付き合う。」
「お昼寝? 俺、昼寝もしないとダメなのか? ハイネ。」
「ダメだろうな。一日活動できるだけの体力はねぇーよ、ママニャン。」
「ニール君、きみ、今までの生活形態のままじゃないと無理なんだ。地上でも昼寝とか夕寝してただろ? 適当に動いて適当に横になってくれないと、ダウンするよ? 」
こちらに上がる直前の生活ということだと、そういうことになる。ちょっと動いて、少し横になって、を繰り返していた。それぐらいしか動けないらしい。
「ほら、昼寝一緒にしようね? ニール。」
「でもさ、フェルト。」
「いいじゃないの。普通は、加齢臭がして、おっさんなんかと昼寝してくれないわよ? ニール。」
「俺は、そこまでの年齢じゃありません、ミス・スメラギ。」
「それで、いかがわしさが、ちっともないのがニールだよね? 和むなあ。」
「兄さん、未成年相手に、なんてことを・・・」
「俺は、なんもしてねぇーよっっ。むしろ、注意すべきは、フェルトの行動だってぇーのっっっ。」
「地上だとやってくれるのに。どうして、ダメなの? 」
「・・・フェルト、地上でも同じ布団はないだろ? 」
「本宅だと、同じベッドだった。」
「あれは、キングサイズのベッドで大きいからだ。ここのベッドなんて狭すぎるから密着しちまうぞ? 」
「別にいいよ? 」
「いや、ダメ。」
「不公平。」
「刹那は男だからな? 」
「でも、同じだもんっっ。」
桃色猫も引き下がらない。刹那が同じベッドで寝たのが羨ましいと騒いでいるが、さすがに、ニールは拒否だ。年頃の娘を腕枕なんてしたら、大問題だとは考える。フェルトも、すっかり大人な女性の体型だ。誤解されるようなことは避けたい。
「じゃあさ、おまえさんの空き時間にトレミー探検デートをしよう。それでどうだ? 」
「手を繋ぐ? 」
「うん、いいよ。」
「・・・・うーーじゃあ、それでもいい。」
妥協案を渋々受け入れてくれたが、今度は黒猫と紫猫が抗議だ。そういうことなら、自分たちともトレミーデートをしろ、と、おっしゃる。
「おまえら、デートの相手なら、隣りに座ってるのがいるだろうが。」
「俺は、春まで地上降下の予定がない。この場合、俺とは優先的に接してくれるものだと思う。」
「刹那、それはおかしいだろう。ニールが、トレミーにやってくることなんて、今後は皆無なんだ。機会がないのだから、ここは均等に配分すべきじゃないか? 」
「おまえは、一緒に地上降下するだろう? ティエリア。」
作品名:こらぼでほすと 解除14 作家名:篠義