サンタクロース幻想(前編)
「ほう。なかなかに洒落ているじゃないか。悪くないセンスだ。……自分で買ったのかね?」
「えへへ。似合ってるでしょ。サンタさんから貰ったんだぜ。」
「サ、サンタさんだと……? どういうことだ……。私はそんな贈り物をした覚えはないぞ……。……じぇ、朱志香ッ、誰なんだね!? そのサンタさんというのはッ?!」
「サンタさんは“サンタさん”だよ。それ以外に言いようがないぜ。」
見れば、窓の外では雪が降り始めている。1985年のクリスマス。これは右代宮家に訪れた、ささやかな魔法の物語。
作品名:サンタクロース幻想(前編) 作家名:Long28