Ib ~とある美術館での物語(5)~
「ここは・・・?それに奥の絵は?」
私は奥の絵をもっと調べようと歩きだそうとした瞬間、誰かに後ろから突き飛ばされ転んでしまった。
後ろを振り返るとメアリーがパレットナイフを片手に怒った表情でこっちを見ていた。
「イヴっ!!なにしてるの!?」
「わ、私は・・・」
「ここは入っちゃダメなのに・・・なんで入れたの・・・?」
「メ、メアリー?」
「なんで・・・?なんで・・・?なんで・・・?」
メアリーはブツブツ呟きながらこちらへ近付いてきた。
私は転んでいて上手く動けなかった。
「メアリー落ちついて、私は・・・」
だがメアリーはブツブツ呟くだけでこちらの声が聞こえていないようだった。
「・・・早く、・・・早く」
「・・・?」
「はやく!ハヤク!早く!!出ていけえぇぇぇぇぇ!!」
メアリーは突然そう叫ぶと私に向かってパレットナイフを振り上げた。
転んでいる私では避けることはできそうもない。
(ここまで来たのに・・・、ごめんギャリー)
私はそう思うと目をつぶった。
作品名:Ib ~とある美術館での物語(5)~ 作家名:エグゼター