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Ib ~とある美術館での物語(5)~

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「本当に大丈夫?」

「ん、なんともないわよ。舐めとけば治るって!」

「んー、でも・・・。あっ、そうだ」

私はあることを思いついてポケットからハンカチを取り出してギャリーに差し出した。

「これ使っていいよ」

「え?いいの?」

「いいの、いいの。それじゃ、手当てするから手出して」

私がそう言うとギャリーはケガした方の手を出した。

私は昔お母さんに教えて貰ったことを思い出しながらハンカチで傷口を塞ぐように結んだ。

「・・・これ本物のレースじゃない。なんか汚しちゃうの忍びないわ。もう手遅れだけど・・・」

「はい、終わり」

「ありがとう、イヴ」

「どういたしまして」

「さて、それじゃ今度こそ行きましょうか・・・ってあら?」

「どうしたの?」

「メアリーの足下に鍵が落ちてるのが見えたから」

「足下?・・・あっ、本当だ」

「どれどれ、・・・美術館って書いてあるわねこの鍵」

「美術館?・・・それってあの一本道にあった建物のことかな?」

「さぁ?でも、他に当てはまりそうな建物なんてなかったしそこに行ってみましょうか」

「うん、わかった」

私が返事をするとギャリーは部屋を出て行った。

私もすぐにあとを追おうとしたが奥に飾られている絵が気になって絵の方へ向かった。

タイトルには『メアリー』とあった。

ギャリーの言う通りメアリーはゲルテナの作品のようだ。

それを確認した私はメアリーの方を向いた。

「一緒に出ようって言ったのに約束守れなくてごめんねメアリー。でも、あなたはゲルテナの作品。一緒に出ることはできない。それでも、もし、もしも他に方法があったなら一緒に出たかったよ。・・・それじゃ私行くね」

メアリーから返事はなかったが私はそれだけ言うとギャリーを追って部屋を出た。