Ib ~とある美術館での物語(5)~
「あのときアタシ体が痛みだして、段々体を動かせないくらい痛くなって、最後には意識もなくなっちゃてさ。でも、意識が戻ったときには体の痛みはないし、普通に体も動かせるようになってたのよ。でポケットを見たらバラがこんな感じになってたわけよ」
「でもどうして?私が見たときは確かに無かったのに」
「そればっかりはアタシにもわからないわ」
「そう・・・。でも、ギャリーが無事で良かった」
そう言うと私はギャリーに抱きついた。
「わ!イ、イヴ・・・」
「・・・本当に良かった」
「・・・すいぶん心配かけたみたいね。ごめんなさい、もう大丈夫よ。さぁ、一緒にここを出ましょ」
「・・・うん!」
そう返事をして私はギャリーから離れた。
「それじゃあ、メアリーが起きる前にここを離れましょ」
「うん。・・・あっ!ギャリー待って」
「なにイヴ?」
「ギャリー、手から血が出てる」
「え?アタシの手?あら、何かで切ったようね。気付かなかったわ、さっきメアリーを突き飛ばしたときにナイフで切ったのかしら?」
「メアリーが持ってるナイフよく切れそうだからね」
「まぁ、そんなに大きく切れてないし、これくらい大丈夫よ」
作品名:Ib ~とある美術館での物語(5)~ 作家名:エグゼター