二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

狙われるモノ1

INDEX|2ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

「いい迷惑だ。とっとと帰りたいんだが。」
「まさか、せっかく招待したのに、そんなにすぐ帰すわけにはいかないよ。・・・ショウ・タッカーを知っているかね。」
反応したくないのに、勝手に体が強ばる。
「そう、君たちがイーストシティで会った国家錬金術師だ。彼がセントラルにいる頃、私は彼と知り合いでね。君たちのことは彼から聞いたんだ。
――禁忌を・・・人体錬成を行った者だってね。」
「・・・それがどうした。」
「是非、教えて欲しいのだよ。人体錬成の方法を。」
「人体錬成は不可能だ。――以上。
もう帰っていいか?」
「まさか・・・不可能なわけがない。だってキミの右腕は元に戻っているし、弟君は体を取り戻しているじゃないか。そんなに秘密にせんでもいいだろう。」
このおっさん・・・ショウ・タッカーの知り合いってだけじゃない。なんでこんなに俺たちのことに詳しいんだ。とにかく、禁忌について、話すわけにはいかない。
「・・・これは、人体錬成とは関係ない。」
「しょうがないな。」
バリバリっ
「ぐぁっ!!」
右肩に・・・激痛が走る。なんだ、コレ・・・
「私はね、局所的に雷を起こせるんだよ。体内に直接ね。右肩の骨だけに今電撃を味わってもらった。・・・せっかく元に戻った右腕を焼かれるたくなければ、話してくれないかな。」
「断る!!」
また、同じ痛みが右肩を襲う。・・・同じところを狙いやがって。
なんとか叫び声を出すのはこらえる。
「これでもいろいろ調べたんだよ。人体錬成のこと。死んだ人間を生き返らせる方法をね。」
「人体錬成は不可能だ。死んだ人間は生き返らないっ!!俺が知っているのはそれだけだっ!!」
バリバリ
「ヴぁっぁっぁ」
今度は右の手の平が・・・焼けるようだ・・・
「局所であればあるほど、痛いよ。・・・代償がいるんだよね、人体錬成。」
激痛に耐えながら、ギンって睨む。
「代償を支払っても、ムリなんだっ」
「いや、代償があれば可能だろう。だって、あの日食の日に何があったのか知っているんだよ、私は。アメストリス国民の命全て代償にして、人体錬成が行われたんだろう。」
「・・・人体錬成なんかじゃねぇ。化け物が化け物になっただけの・・・ぐぁぁっ!!」
「どうして、正直に教えてくれないのかな。左足はムリだけど、右足の骨が焼かれる痛みはどうだい?特に足の甲は痛いだろう。・・・素直に教えてくれれば、これ以上、痛い思いをすることはないよ。」
「教えるも何も・・・出来ないと言っているっ!!」
「素直じゃないな。・・・じゃぁ、代償がどんなものかだけでも教えてくれないかい?」
「・・・なに?」
「命を錬成するんだから、命だってのはわかるんだが、どんな命なのかわからないんだ。1つでいいのか、2つなのか、3つなのか。似ているのは姿だけでいいのか、性格もなのか。それとも無関係に人の命ならなんでもいいのかな。それだと楽なんだけどねぇ。」
「・・・何を言ってんだ、あんた」
「ちょっと、試してみたんだよ。でも、全然ダメだったんだ。」
おっさんが、隣の部屋に繋がるドアを開ける。
隣の部屋にはでっかい錬成陣があって、その真ん中に小さい柩があった。そして、部屋の隅に無造作に折り重なっているのは・・・子供だ。・・・モノのように、でも血を流して、視線は虚空を向いている。
「・・・子供を・・・殺したのか・・・」
「私の息子が生き返るための貴重な犠牲だよ。でも、役には立たなかったな。」
「ふざけんなぁっ、なんでお前にそんなことをする権利があるっ!?代償って・・・他の子供の命を・・・そこまでして生き返らせたいっていうなら、なんで他の子供の命を惜しむことができないっ!?」
「私の息子以外の命は興味がないからだよ。」
「・・・あんたは、狂ってる。」
「そうかな?でも何者にも代えがたい者が死んだら・・・そうだね、狂うかもしれない。息子を生き返らせることが可能なら、悪魔に魂を売ってもいいよ。
 だから、教えてくれないか?エドワード・エルリック。鋼の錬金術師よ。人体錬成の方法を。代償とは何かを。」
「・・・死んだ人間を生き返らせることは不可能だ。知らないものは教えられない。」

途端に右肩、右手、左足に同時に激痛が走った。
「ぐぁあぁぁっぁ」
今までの痛みの比じゃない。叫び声も止まらない。縛られたまま、無様に床を転げまわる。
特に右肩の痛みがハンパじゃない。
「あんまり意地を張ると、もう一度機械鎧のお世話になる体になるよ。せっかく元に戻ったのに、それはイヤだろう?」
「・・・っかはっ・・・何度聞かれても、知らねぇもんは知らねぇ。」

バリバリバリ
「うぁあぁぁっぁ」
なんだ今度は!?胸が焼ける・・・息が吸えない。
「肺を片方焼いたんんだよ。呼吸が苦しいだろう。2つあるから1つ焼いても生きていける。しばらくはね。死にたくないだろう。」
「・・・知らねぇって言ってんだろう。」
「困ったな、キミがこんなに我慢強いなんて知らなかった。・・・弟君はどうなんだろうね?」
「やめろっ!!アルには手をだすな!!」
深く考えるまでもなく、咄嗟に答えてから気づく。これじゃ、アルに手をだしてくれって言っているようなもんだ。
雷野郎は、にっこりと笑った。
「やっと、協力してくれそうだね。こんなことなら、最初から兄弟2人を狙うんだったな。」

そう言って、錬成陣を描いてから雷野郎は俺の傍から去っていった。待てっと怒鳴ったが、まるで聞いちゃいねぇ。
くっそー、俺は何てバカなんだ。間抜けに捕まった上に、アルまで・・・
人体錬成なんて出来ないと何度言えば分かるんだ、あのおっさん。
何とか縄をほどこうともがいてみる。途端に右肩に激痛が走る。それでも多少緩んだが・・・足が全然ダメだ。機械鎧の左足の感覚が全くない。・・・神経の接続がショートしていかれているんだろう。あれだけ電撃を喰らえば相当のダメージだ。これじゃ左足は動かない。逃げることはできそうもない。
・・・何かないか、何か・・・
おっさんが去り際に描いた錬成陣が目に入る。・・・?見たことない形だ。何の錬成陣なんだ、コレは?・・・隣の部屋は一部しか見えないが、確かに人体錬成の錬成陣だと分かる。
一部、錬成陣が未完成なところがあるみたいだが・・・完成したからといって、死んだ人間は蘇らない。持っていかれてヒトではないものが出来るか、錬成反応も起きずに持っていかれないか。そのどちらかだけだ。子供の死体と真ん中に柩・・・目を背けたくなるようなものの他には、体が届きそうな場所に脱出に使えそうなモノはどこにも転がっていなかった。
はぁ、どうすっかな。
自力で歩けない、脱出に使えそうなモノもない。ついでに・・・意識も朦朧としてきた。
(命を賭して禁忌を守った一族を誇りに思う。)
ふいに、ナギの言葉が脳裏をかすめる。
あの狂ったおっさんに禁忌を話すわけにはいかない。既に人の命を道具としか見ていない。どれだけ犠牲を・・・命を奪うことか・・・。
まんまと捕まって、無様に転がって・・・それでも、禁忌は絶対に漏らさない。
――例え、命と引き換えでも。
(わざわざ死ぬ方を選ぶなんてバカのすることだっ!!)
アルの怒鳴り声が聞こえる。
作品名:狙われるモノ1 作家名:海人