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狙われるモノ1

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(生きて生きて生き伸びてもっと錬金術を研究すれば、元の体に戻る方法も、ニーナみたいな子を救う方法も見つかるかもしれないのに、その可能性を捨てて死ぬ方を選ぶなんて、そんな真似絶対に許さないっ!!)
そっか、そう言えば死を覚悟するのは・・・あの時以来か。
あのとき、スカーに襲われたとき・・・アルのやつ、滅茶苦茶怒ったよな。
今度も怒るかな。でももう体は元に戻ったし・・・ニーナみたいな子を救うことは出来なかったけど・・・約束を半分果たしているんだから、大目に見てくれないかな・・・
アル・・・ナギがいるから大丈夫か。いや・・・あの雷は結構厄介だ。
あのおっさん、こんだけ自由に雷を使えるなんて、大佐の炎とタメをはれそうだ。
そうだ、今ならアルと大佐、魂が入れ替わっていても構わない。というか、むしろ入れ替わってくれ。
痛みで朦朧となる意識のもと、俺が願ったのは普段とは正反対のことだった。


―――
コン コン
「失礼する。」

突然、ナギとアルフォンス・エルリックが部屋に入ってきた。
「ナギ、アルフォンスも久しぶりだな。
すまないが、今ちょっと立て込んでて相手をする時間がないのだが。」
「・・・大佐、エドワードに今日会ったか?」
「鋼のに・・・?いや、鋼のも来ているのか?」
「えぇっ!?だって・・・」
「そうか、邪魔したな。」
そのまま帰ろうとしたナギを慌てて引き止める。アルの様子が変だろう。
「ちょっと待て。・・・アルフォンス、何があった?」
「だって、兄さんは大佐に呼び出されたんですよ?公園に2時だって。」
「?何の話だ。私は今日はずっと司令部に居た。子供の連続誘拐事件が起きていて、ここ数日は手が離せない状態だ。公園どころか自宅にも帰れん。」
「・・・わかった。失礼する。」
「え、ちょっと、ナギさん。」
「――ここまで話して、そのまま帰るのはなかろう。鋼のが私に呼び出されて、そのまま帰ってこないのか?」
「そうだ。・・大佐の名前を使って呼び出された。エドワードとはここで落ち合う約束だったんだが・・・ここに来てないとなると・・・面倒なことになっているかもしれん。」
「そうか。私の名前を使って、か。」
「一刻も早く、その待ち合わせ場所に行く必要がある。北の件、報告しようと思ったんだが、また後日出直す。」
「私も行こう。」
「大佐っ!!捜索はどうするんですか?」
中尉が冷静に止める。大佐の机を見ると、子供の写真が6人、名前や細かい服装や特徴まで書かれている資料が置かれていた。4~6歳、金髪で緑の目が共通している。・・・何だか小さい頃の兄さんに似ている子の写真もある。
「行方不明になった子供がどこでいなくなったかもわからんし、身代金の要求もない。それに子供たちの共通点は容姿、金髪碧眼であるってだけだ。親同士に接点もなければ、職業もバラバラ。これで何を捜索しろっていうんだ。」
「しかしっ!」
「それに、鋼のも行方不明で金髪だ。事件に関係しているかもしれんだろう。」
「エドワード君は、年齢的に合いません。」
「そう言うな、中尉・・・なんだか嫌な予感がするんだ。」
「・・・その予感、外れていることを願いたいが・・・」
「ナギさん?」
「とりあえず、待ち合わせ場所に行く。・・・それからだ。」

―――
結局、大佐とホークアイ中尉も一緒に待ち合わせの公園に向かった。
公園は・・・酷い有様だった。
突然盛り上がっている土の壁に、ところどころえぐれて、黒焦げになっている地面。
「・・・錬金術師か。」
呻くようにナギさんが言う。
「そうだな。どう考えてもここで錬金術師が鋼のを襲った、その闘いの跡、だろうな。」
「最悪だ。」
「ナギさん?えっと、兄さんが錬金術師に襲われて、行方不明ってことでしょ。探せば・・・」「アルフォンス・エルリック」
「は、はい。」
突然、フルネームでナギさんに呼ばれた。何だか青い顔をして、いつものナギさんと違う。
もの凄く固い、無表情に見えた。
「・・・エドワード・エルリックの気を感じるか?」
「え?」
「エドワードの気を感じるかと聞いている。
少なくとも私は感じない。これだけ龍気がみなぎっているセントラルなのに、先ほど記憶の錬成陣の所でも、今この場でも。エドワードの気を――どこにも感じることが出来ない。」
言っている意味が・・・頭ではわかっているんだけど、感情が拒否する。
何も考えられないのに、口は勝手に動く。
「それは・・・どういう・・・」
「私たちがエドワードと別れて、錬成陣の所まで行くのに1時間もかかっていない。
その間に、セントラルから私が気を追えないほど遠くに行ったか、それとも・・・生きていないかだ。」
「そんなっ!!」
大佐も、中尉も息を呑んで固まっている。
でも、それどころじゃない。そんな、兄さんが・・・まさか!?
「もう一度聞く、エドワードの気を感じるか?」
周りを呆然と見回す。錬成された壁、一部壊れてる。きっと兄さんが機械鎧の左足で蹴飛ばしたんだ。
こんなに兄さんがしたことが手に取るようにわかるのに・・・意識を集中させても、兄さんの気は近くに感じない。
「で、でも、僕は気を読むの苦手だし・・・遠くまで感じることは出来ないし・・・」
そう、僕は出来ない。だけど、ナギさんは出来る。龍気があれば、兄さんの気を読むことが。
「感じないんだな。」
「・・・はい。」
「そうか・・・アル、エドワードは生きていない可能性が高い。」
「嘘ですっ!!」
「嘘じゃない。1時間でどこまで行くことができる?汽車にすぐ乗ったのとしても、わずかだが気を追うことが出来るはずだ。こんなに完全に感じないのは・・・生きていないとしか考えられない。」
「信じませんっ!!」
「アルっ!!」
「絶対に、違いますっ!!僕は兄さんを探しますっ!!」
叫ぶように言って、僕はナギさんから、ナギさんが言ったことから逃げるように公園を飛び出した。

「大佐、アルに見張りを。何をするか分からん。」
「分かった、中尉。」
「はっ」

飛び出したアルの後をホークアイ中尉が追う。
アルフォンスも気になるが、それよりもさっきの会話は――
「事実なのか。鋼のが・・・生きていない可能性が高いとは。」
「アルなら兄弟だから何か感じるかもしれんと思ったが、先ほどの様子だと何も感じていないんだろう。私もエドワードの気を感じない。そうだな、何か不自然なことがない限り・・・賢者の石でも関わってない限りは、おそらく。」
「・・・まさか。」
「ありえないことじゃない。というか、エドワードが狙われる存在だということを失念していた私のミスだ。」
「鋼のが、狙われる?」
「そうだ。エドワードは錬金術師として一流の知識を持っている。おまけに人体錬成、賢者の石、国土錬成陣、真理の扉に記憶の錬金術・・・歩く禁書だと言っても過言じゃない。いや、禁書どころじゃないな、知識の上に豊富な経験もある。錬金術師なら、喉から手が出るほど欲しい全てを記憶している。
――だが、錬金術は使えない。いくらエドワードが強いと言っても錬金術師相手にどこまで通じるか・・・錬金術師にとって、エドワードは、そうだな伝説の賢者の石くらいの価値があるだろう。・・・それを一人で行動させたのは私だ。」
作品名:狙われるモノ1 作家名:海人