二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

狙われるモノ2

INDEX|1ページ/8ページ|

次のページ
 
――――
翌日、まずはアルフォンスの姿の鋼のの意識が戻った。
アルフォンスの体は雷の衝撃を一度受けただけだから、まず鋼のの意識が戻るだろうと思っていたが。・・・魂の入れ替えを行ったことを、その後のことをなんと説明すればいいか。
そうだ、病室に鏡をおかず、鋼のの体を別室にしたら案外、入れ替わりに気付かないんじゃないかと画策したが、あっという間にアルフォンスの体だとバレた。
「なぜ、わかった?」
「大佐・・・なんであんたは俺のこと『鋼の』って呼ぶんだよ。この左足、生身だろうが。」
「あぁ、そうだったな。」
「ふざけるのもいい加減にしろ。で、アルは・・・俺の体はどこだ。」
「安心し給え、隣の病室だ。」
「あの雷野郎は?」
「軍の医療機関に入院中だ。鉄格子付きのな。」
「大佐が倒したのか?」
「なぜ、そう思う?」
「大佐じゃなきゃ、入院しないだろう。炎で怪我させたに決まっている。」
「・・・まぁ、ちょっと加減を忘れてね。」
「あの屋敷にあった・・・子供たちは?」
「全員、親元に返した。誘拐された子供たちだったんだ。」
「そうか。・・・で、何がどうなったんだ。詳しく教えてくれ。」
「まず、君の方から説明し給え。何があったんだ?」
「はー、ったくわかったよ、大佐に呼び出された公園で襲われた。そんで雷に撃たれて、あっという間に気を失って、気づいたら縛られてあのおっさんに捕まってた。」
「あのおっさん・・・雷の錬金術師、シュウ・コリンズだ。おっさんはやめろ。」
「なんでだよ?」
「同じ年だ。」
「じゃ、おっさんじゃねぇか。」
「鋼の・・・」
「発火布を手にするな。ここは病院で、この体はアルのなんだぞっ!!」
「それでは、訂正し給え。」
「めんどくせぇなぁ。あー、だからあの雷野郎に捕まって、禁忌を教えろと迫られたんだ。」
「人体錬成か。」
「あぁ。ショウ・タッカーの知り合いで、俺たちのことを知ってたらしい。それだけじゃねぇな。・・・約束の日や賢者の石、代償までいろいろ知ってた。」
「それについては現在調査中だ。どうやらコリンズはかなり前から禁忌に、人体錬成に興味があったらしい。屋敷には息子だけじゃなく、冷凍保存された彼の妻の遺体もあった。彼女は3年以上前に亡くなったと聞いている。」
「奥さんと子供か。」
「そうだ。その家族の死が、コリンズを狂わせた。――以前の彼は、物静かな研究者だったんだ。事実、彼は凄いモノを生み出している。」
「凄いモノ?」
「あぁ、あの時は意識がなかったか・・・彼の屋敷で錬成陣を見ただろう。」
「あの、俺の周り描いてあったヤツか。」
「そうだ。あの錬成陣は凄いぞ。錬金術を無効にする。」
「そんなことが!?」
「理論上は可能だとナギは言っていた。錬金術どころか錬丹術も、気の流れも遮断するらしい。
おかげでナギが鋼のが生きていない可能性があるって、アルフォンスと言い争いになっていた。」
「・・・・アル、怒ってたか?」
「怒るというよりは、絶対に認めていなかったな。」
「そっか・・・」
やっぱ、あの時、死を覚悟したことは黙っていよう。
「それで?」
「あぁ、え~っとどこまで話したんだか・・・」
「コリンズに人体錬成を、禁忌を教えろと迫られたところまでだ。」
「そんなの知らねぇって言ったら、雷撃でかなり痛めつけられて、それでも知らねぇって言ったら、じゃ弟にアルに聞くって言って、雷野郎はその無効にする錬成陣を俺の周りに描いて、立ち去った。・・・俺の意識があるのはそこまでだな。」
「自分の体がどこまで痛めつけられたか、覚えているか?」
「なんだよ?」
「・・・あんなに痛めつけられても、禁忌は話さなかったんだな。」
「バカにすんなよ!?言うわけないだろっ!!」
「それは、随分と自分の命を軽く見た発言だな。」
「そんなんじゃねぇっ、命を、犠牲になるかもしれない命を重くみただけだ。」
「――まぁ、その話はアルフォンスに任せよう。
では、鋼のが気を失った後だが、軍司令部に来たナギとアルフォンスとともに、鋼のが呼び出された公園に行った。その近くでアルフォンスが雷を撃たれて気を失ったところを攫われた。コリンズがあんなに雷を自在に操って攻撃出来るとは知らなかった。」
「それでっ、アルは攫われたのかっ!?」
もしかして、俺と同じ目に!?
「いや?その体は何ともなかろう?」
そういえば・・・そうか、アルの体だった。確かにどこも黒焦げにはなっていない。
「ナギの錬金術と中尉の銃撃で、アルフォンスが攫われるのは阻止した。」
「大佐は?」
「・・・鋼のを襲ったのがコリンズだということを見破った。」
なんだ、今の間は。
「それでコリンズの跡を追って、彼の屋敷でズタボロの鋼のを発見したというわけだ。」
「ズタボロ言うな。」
「死体一歩前でいいかな。」
「うるせぇよっ・・・って、俺の体は!?アルの魂は無事なのか?」
そうだ、俺は死にかけそうなほど痛めつけられていたハズだ。
「安心し給え。ナギが錬丹術で大きな傷は治した。とりあえず命に別状はない。
さて、確認のためにも自分の体の見舞いに行くかね?それとも病室を同じにした方がいいか?」
「同じ病室にしてくれ。」
「了解した。」

早速、鋼のを隣の病室に移動する。
「アル・・・」
「まだ意識は戻らないが、ケガは大体治っているそうだ。」
「・・・凄いな、右腕もちゃんと付いている。」
「あぁ。錬丹術で治さなければ機械鎧になりそうなほどの傷だったそうだが。」
「錬丹術・・・そういえばナギは?」
「・・・疲れたと言って寝ている。」
「で、なんで俺とアルの魂が入れ替わってんだ?」
「それは・・・」
「それは?」
「アルフォンスに聞き給え。私は用事を思い出した。」
「あー、大佐っ!!俺ばっか報告させて逃げるな!!」
「そうそう、キミは面会謝絶の重症だ。そう報告書に書いたから、病室から出ないように。」
「はぁ?なんでそんな嘘を?」
「はぁー、かねて私とアルフォンスの魂が入れ替わったときに大騒ぎしていたのは誰だ?その顔と声で鋼のらしさを発揮すると迷惑が多方面にかかる。出歩くな。その代わり治療代は軍が全面負担する。というわけだ、ハボック、脱走させるなよ。」
「へ~い、入口で突っ立て見張ってま~す。」
「少尉っ!!」
「上司命令なんだ。大将、頼むから大人しくしてくれよ~。ほら、アルの面倒見るとかさ。」

ハボックが上手いこと鋼のを病室に押し返す。
どうやら、バレずに済んだようだ。ほっとしていると、いきなり声をかけられた。
「隠すおつもりなんですか。」
「中尉。驚かすな。」
「申し訳ありません。・・・エドワード君にナギさんのことは言わないおつもりですか。」
「・・・言えるわけなかろう。あれから様子は?」
「変わりません。何も。」
「そうか・・・」
「いつまで隠すおつもりですか。いずれわかります。魂の入れ替えをしているのですから元に戻るため、エドワード君はナギさんを探すでしょうし。」
「いつまでかな?」
「大佐!!」
「仕方ないだろう。ナギから頼まれているのだから。・・・早く戻ることを祈るしかない。」
中尉の言いたいことはわかるが、本当にそれくらいしか、出来ることはなかった。

作品名:狙われるモノ2 作家名:海人