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00腐/Ailes Grises/ニルアレ

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禿げた麦畑の中に、ピンク色の髪はとても目立つのでアレルヤにもすぐ彼女であることが解った。
フェルトはどうやら錆び付いた大きな荷物を引きずるようにして、ホームへと帰っているようだ。

「フェルト、こんなところでどうしたんだ?」
「……ロックオン……それに、アレルヤも」お
「それ、自転車?」
「うん……」

駆け寄って、声を掛けた。
錆び付いたものは自転車のようで、アレルヤはしゃがみこんでじっくりとそれを眺める。
金属の部分はどこもかしこも錆びて、車輪部分の細い部分は何本かがひしゃげて取れようとしていた。
細かな部品には、自転車以外のゴミが絡み付いて上手く車輪が回っていない。
前輪のタイヤはパンクしていて、使えように無い有様の自転車を、フェルトは引きずっていた。

「どこから貰って来たんだ?」
「……………………」
「?フェルト?」
「……ッ」
「あっおい!フェルト?!」

フェルトの顔を覗き込むようにしてロックオンが尋ねても、フェルトは口を噤んだ。
ふらつく自転車を支えようとアレルヤは手を伸ばすと、何か糸が切れたかのようにフェルトは引っ張ってきた自転車を投げ捨てるようにしてホームの方向へと走っていく。

「行っちゃった……」
「まさか、盗ん……いやいやいや、フェルトに限って、そんな」

声に出しながら、ロックオンは狼狽する。
灰羽は、新品は扱えない。
それにこれはどうみてもゴミだろう。
フェルトは自転車が欲しかったのだろうか。
動揺するロックオンの心情は計り知れなかった。

「…………とりあえず、街まで自転車持って行くか」
「追い掛けなくていいの?」

何かを決意したかのように、ロックオンはフェルトが置き去りにした自転車を起こす。
むしろ心配げだったのはアレルヤの方で、狼狽えるロックオンを初めて目にしたが、あまりにも立ち直りが早い。
一瞬にしてマイナスの思考をプラスに転換したのだ。
ロックオンを置いてフェルトを追おうとも思ったが、彼を置いていくのも気が引ける。
そんな風に考えているうちにロックオンが思考を正したので、追い掛けなくていいのかと尋ねた。

「大丈夫、あっちの方角に走ってったから、ホームに戻ったって事だろうし……」

何かを考えているのか、ロックオンは含み笑いをアレルヤに向けた。

「悪いな、今日はちょっと付き合ってもらうかも」



12.12.22