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こらぼでほすと 年末風景1

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 このやりとりでコーヒーとジャムパンが運ばれてくる。どこまでも至れり尽くせりな世話をしている。寺の檀家さんの仏壇に正月前に回向するのが、特区の仏教徒の正しい年末風景だ。だから、分刻みなスケジュールで予約してきた檀家を廻っている。昨今では、この作法も、それほどされなくなっているのだが、坊主の顔が美しいので檀家の奥様たちから鑑賞に呼ばれているらしい。まあ、寺としては、その分、お布施を頂けるので寺のお財布には有り難いことだ。
 むしゃむしゃとパンを食べてコーヒーを飲むと、また、タバコだ。スパーっと紫煙を吐き出すと、女房のほうを睨む。
「俺が出たら死んどけ。」
「わかってますよ。・・・今夜は中華風の寄せ鍋ですが、他にリクエストは? 」
「キンピラごぼう。」
「ん? それだけ? 板ワサぐらいは? 」
「かまぼこ、あんなら、それもつけろ。」
「今日は、レイが付き合ってくれるから、最初から焼酎でいいですね? 」
「そうだな。パン、もう一個くれ。クリームでいい。」
 朝から、スクーターで走り回っているから、空腹になるらしい。むしゃむしゃと、それも食い終わると、コーヒーで流し込んで立ち上がる。暗くなるまでに、残りを片付けないと明日も予定が満載だ。
「気をつけてくださいよ? 休みで人が溢れてるんだから。」
「うるせぇーな。人なんか轢くかっっ。・・・・とりあえず休め。明日も、忙しいんだ。」
 コートを羽織らせて、玄関まで見送っているのだが、年少組は、全てスルーだ。いってらっしゃい、と、声をかけているのを耳にして、全員が笑っている。やはり、寺は、これがないとらしくない。