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こらぼでほすと 年末風景1

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「いや、悟空とリジェネに手伝わせるつもりだったんだ。」
「ママ? 療養しないといけないって解ってますよね? 」
「うん、だから、これだけ。他は出来合いで調達するぞ、レイ。」
 いやいやいやいやいや、と、シンとレイは首を横に振る。一番大きな鍋となると、二十人前は軽くできる。その分量の材料を切ったり剥いたりするのは、かなり重労働だ。それにうどん用とライス用に分けるとなると、さらに分量は増えるし、トン汁もとなると、労働も半端なもんじゃない。
「ねーさん、今回は、なんもすんなって、とーさんに言われただろ? 」
「でも、材料は用意したし、残ったら三蔵さんたちのお昼用に冷凍しておくつもりだしさ。」
 確かに、山盛りに用意されている野菜があるということは、これに付随するメインの肉類もあるはずだ。そこからすれば、作るしかない。レイは、文句を言うのをやめて、ボール一杯のジャガイモを居間に運ぶ。ピーラーで、皮むきから黙ってやり始めた。シンのほうは、タマネギをとりあえず剥くことにする。
「昼は食ったのか? おまえさんたち。」
「食った。とりあえず、ねーさんはニンジンを剥け。・・・・なんで、こんなに用意すんだよっっ。」
「だって、トダカーズラブが、ほとんど揃うって言ってたからさ。三十人くらい居るんだろ? 」
「え? 全員? 」
「ああ、全員。忘年会に参加するらしい。だから、うちの掃除に間に合わない人もいるけど、ほとんどが来るらしいぞ。なんだ? 聞いてなかったのか? 」
 忘年会のことは聞いていたが、まさか、トダカーズラブが集結するとは思って居なかった。なんせ、オーヴ本国組が半数居るのだ。集結ということは、そこいらもやってくるということになる。ホテルのバンケットルームで食事する程度ということだったから、いつもより多いぐらいの人数だと、シンとレイも考えていた。
「そういうことなら、確かに、これだけじゃ足りないだろうな。」
「そうだな。俺も全員の人数は把握してないけど、三十人は軽いよな。」
 なるほど、大鍋一杯のカレーなんか綺麗になくなりそうだ。ニールは事前に、トダカから聞いていたから、ハイネが寺にいる間にアッシーしてもらって材料は調達した。本日から、ハイネはラボの留守居で出かけたので、そろそろ作ろうと用意していたらしい。
「ハイネ、阻止しとけよっっ。」
「いや、ハイネは怒ってたんだけどな。強引に買出し手伝わせたんだ。」
 ハイネも、大概にニールには甘い。それに、どうせシンたちか顔を出すことも計算のうちだったのだろう。正月、コテンパンに叩きのめしてやる、と、シンとレイは目で合図して作業にかかる。
「うわぁー、もう始まってんのかよ。リジェネ、もうやってるぞっっ。」
 墓所の掃除をしていた悟空がリジェネと引き返してきた。シンとレイに、「悪い。」 と、片手を上げて挨拶して、こちらも作業の手伝いに参加する。
「ああっ、ママ。ニンジンは、僕がするって言ったでしょ? 」
 リジェネも玄関から走って来て、ニールのピーラーを取上げる。リジェネも寺での生活に慣れてきて、ニンジンぐらいならピーラーで剥けるまでには成長した。
「ごめんごめん、リジェネ。じゃあ、これ、やってくれ。」
 食卓の椅子で作業していたニールが席を譲って、冷蔵庫に手をかける。他の食材の準備だ。ついでに、晩御飯の下ごしらえもしておくことにした。
「待てっっ、ねーさんっっ。ほいほい、動くなっっ。」
「ママ、昼寝してくださいよ? 材料は俺らがやっておきますから。」
「ああ、目処だけ立てたら、ちょっと、そこで横になる。」
 冷蔵庫から取り出されたのは、薄揚げとゴボウだ。トン汁の材料らしい。で、いつもなら脇部屋で昼寝なのだが、坊主が本職で出たり入ったり忙しいから、居間のこたつで適当に横になっているのだ。帰ってきて、お茶と労いの言葉ぐらいは用意しとけ、と、坊主がおっしゃったからのことらしい。
「悟空、あのさ。」
「うちの親父、おかんがいねぇーと機嫌が悪くなんだよ。だから、それはしょーがねぇー。」
「これを剥いて、炒めてルーを投入だよな。・・・夕方までかかりそうだな。ねーさん、晩飯どーすんだ? 」
「中華風の寄せ鍋にする。それなら、材料が被ってるからさ。」
 どっこいせ、と、食卓に、まな板を設置して、ニールのほうも、違うものを刻んでいる。大人数の料理は作りなれているから、それほど大変ということはない。手抜きできるところは、手抜きにする。餅巾着は市販のものだし、ルーも市販のブレンドだ。これだけ手伝いがいると、作業も早い。二時間もすると、下準備は完成する。
「後は、肉を炒めて根菜投入すりゃカレーも終わり。トン汁も具材を放り込んで煮ればいい。えーっと、寄せ鍋のほうも、これでいいな。」
 食卓やらこたつの上には、刻まれた具材がボールに山盛り用意されている。よしよし、と、それを確認すると、ちょっと休憩、と、ニールが、みんなにミルクティーを振舞う。
「こっからは、俺らだけでできるから、ねーさんは横になれ。」
「そうだな。ちょっと休ませて貰うよ、シン。リジェネ、クッキー食べるか? 」
「自分で取ってくる。ママは動かないっっ。」
 乾物の貯蔵場所に、お菓子も置いているから、そこからリジェネが、クッキーの箱を持って来た。
「忘年会って、どこでやるんだ? シン。」
「どっかのホテルの宴会場だって、アマギさんは言ってたが、場所までは聞いてない。」
「でも、本国からの遠征組も居るんだろ? その人たちは泊まりは、どうするんだ? 」
「俺に言われても知らねぇーよ。アマギさんのことだから、こっちの宿舎に寝泊りさせるんじゃね? 」
 この師走も押し迫った時期では、ホテルは満室だろう。以前から予定されていたといっても、ホテルなんて半年前から予定が埋まっているはずだ。逆に言えば、ビジネスホテルなんかは空いてるかもしれない。

 そんなところへ、スクーターのエンジン音がして、坊主が戻って来た。居間に入ってきて、こたつの上の現状を、ざっと見渡して女房に、「このオオバカ野郎っっ。」 と、怒鳴っているところを見ると、坊主も知らなかったらしい。
「なんもすんなっって、俺は命令したぞっっ。」
「まあまあ、明日、温かいものを、ちょっと用意してるだけですから。あんたも、ミルクティーでいいですか? 」
 そして、女房のほうは罵声なんぞ、どこ吹く風と、お茶の種類を尋ねてつつ、亭主のコートを脱がせている。
「コーヒーにハチミツ。」
「はいはい。とりあえず温まってください。」
 コートを衣紋かけにかけて、女房はお茶の準備だ。まったく、と、坊主も怒鳴れば、それで済むらしく、こたつに入って、タバコに火を点けている。
「もう終わりそうか? 三蔵。」
「いや、これから九軒だ。暗くなるまでには片してくる。サル、あれ、ちょっと殺しとけ。」
「了解。三蔵が出かけたら、寝てもらう。」
「お腹は大丈夫ですか? おにぎりでもしましょうか? 三蔵さん。」
「菓子パンねぇーか? 」
「ありますよ。ジャム? クリーム? 」
「ジャム。」