こらぼでほすと 年末風景3
クルマで二十分のところに、健康ランドはあった。まあ、これぐらいなら、今度から、みんなで来られるなーと、ニールがクルマから降りてエントランスを通り抜けたら、とんでもないのが、とんでもない格好で待ち構えていた。ずらりと、並んでいる体格の良い男たちは、揃いのアロハのような湯上り服だ。一斉に、こちらに視線が来る。
「主賓の登場だ。」
その中から、するりと出てきたのは、カガリの側近でもあるキサカだ。こちらも、鮮やかな水色のピンクの花が描かれたアロハと短パンだ。
「よく、言うな、キサカくん。そちらは午後から騒いでいたんだろ? 」
「ええ、ゆっくりさせてもらいました。貸切というのは、楽でいいですね。」
「まあ、そのために貸切なんだ。・・・・というか、おまえたち・・・仕事は、どうしたんだ? 」
トダカが呆れて、キサカの背後を睨んでいる。そこにもキサカぐらいの年齢の人間が並んでいる。実は、ウヅミーズラブの一桁組の末席から二桁組あたりの人間たちで、現在、現役でカガリの補佐しているメンバーたちだ。
「年に一度くらい、そのことは忘れてください、トダカさん。」
「キサカだけ参加では寂しすぎますので、我らも駆けつけた次第です。」
「カガリ様のほうには、残りのものがついております。」
「たまたま、我らも休暇でして・・・」
と、それぞれが言い訳しているし、キサカも、まあまあ、と、取り成している。トダカが大々的に忘年会をするというので、強引にオーヴから遠征して来たらしい。来てしまったものは、しょうがない。好きにしなさい、と、言い置いてエントランスを入る。それに続くように、その集団も追い駆けて行ったから、寺組は取り残されていたりする。
「やあ、ニールくん。」
で、唯一、残っていたキサカが、案内を買って出てくれた。なんだか、予想に反して大事なので、ニールもびっくりだ。なんせ、健康ランド内には、かなりの人数がいたからだ。
「あの、俺たちが邪魔しても大丈夫なんですか? キサカさん。」
「ああ、二百人くらいいるから、全然、大丈夫だ。きみの顔を拝みたいっていうのも多数居るからね。」
「は? 俺?」
「だって、きみ、トダカさんの掌中の玉だから。写真では見ているけど実物に逢いたいと言ってたのもいるんだ。」
というか、トダカが今回のユニオン叩きのめし大会を開催したのは、可愛がっている娘を拉致された報復だったわけで、それも、徹底的にやったから、どれほどの可愛い娘なんだ? と、あちこちの親衛隊では噂になっていたらしい。ついでに、特区のキサカの親衛隊やらの力も借りたので、そこいらの慰労もあって、他の親衛隊員も呼んだのだが、どっこい、そのトップも本国から押しかけてきたのだ。キサカは、最初から参加すると言っていたが、他のはサプライズのように参加した。かなりの大人数になったので、軍の輸送機をチャーターしたほどだ。実際は、三十路の男なのだが、まあ、綺麗ではあるから、みな、鑑賞したいとは考えた。
「そう言われても・・・」
「まあ、いいじゃないか。カガリ様から、みんなによろしくと言付かっているぞ。 さすがに、カガリ様は逃亡できなかったんで悔しがっておられた。」
あははは・・・・と、キサカは大笑いで、まず風呂のほうへ案内してくれた。ひとっ風呂浴びて、忘年会に参加してくれ、とのことだ。
八戒は、健康ランド貸切の意味がわかったので、納得はした。二百人ともなると、普通の宿泊施設を借りるほうが高いからだ。半数は特区に宿舎があるとしても、残り百人は、泊る場所が必要だ。それなら二十四時間営業の健康ランドは望ましいだろう。どうせ、飲んで雑魚寝するのだ。寝る場所だけあれば、野郎なんて、それでいい。それに貸切なら、どれだけ暴れても迷惑ではない。
「親衛隊が一部集合ってことだったんですね。・・・僕らには関係のないことですよ、ニール。とりあえず、さっぱりしましょう。」
招待してもらったのだから、のんびりと楽しめばいい。とりあえず、すっきりして宴会に参加させてもらおう、と、八戒が勧めて、全員で風呂に入ることにした。
「シンたちは、あっちに合流しなくてもいいのか? 」
「うん、俺は元ザフトの人間だからさ。オーヴのほうとは、あんま関係ないんだ。」
シンは、トダカが養父になっているが、籍としてはプラントにある。それに元は敵対したザフトの人間だ。いくらトダカの身内とはいえ、親衛隊としては、いい気はしないだろうから、こういう会合の時は外しているのが、いつものことだ。今回は、寺組と行動していればいいだろうとついてきた。レイは、ニールが行くからついてきただけだ。トダカが誘っても、こういう賑やかな場所は、あまり好まない。
大きな宴会場には、バイキング形式で料理が並べられていて、好きなように食べられるようになっていた。最初は、トダカの挨拶やらキサカの挨拶やら、忘年会お決まりの挨拶からになっているが、悟空たちは関係ないから、気楽に食事を盛り上げて運んでいる。全員が、同じデザインの湯上り服だから、誰だかわかんないという状態で、寺組も気楽なものだ。ばくばくと食事している。
トダカたちのほうには、ものすごい人が集まっていて、とても近づけるものではないし、今日は家族サービスできない、と、言っていたから、ニールも亭主の相手だけだ。勝手に遊んでていいから、と、トダカからも事前に言われている。
「これ、見てる限り、トダカさんて、すごいんだなあ。」
「艦隊指令なんかやってたらしいですから、ファンも多いんでしょうね。」
そうこうしていたら、トダカが舞台に上げられてカラオケを歌っていたりする。みんな、食事なんてそっちのけで舞台の周辺に集合しているから、八戒としても、そういう意見だ。
で、なぜだか、見慣れているトダカーズラブのメンバーが、ニールのところへ食事の配達をしてくれていたりする。ついでに、アマギまでやってきた。よっこらせ、と、ビールジョッキを手にして席に着いている。
「アマギさん、いいんですか? 」
「企画と手配はしたから、今日は何もしなくていいんだ。・・・それに、普段はトダカさんと触れ合えないメンバーが多いから、今日は遠慮しないといけないんだよ。」
まあ、アマギは普段は、トダカの側近として常時、傍に居るから、こういう時は外れないと五月蝿いらしい。つまり、ニールのところへ顔を出しているメンバーというのは、特区組で、アマギと同じように遠慮している。あれもこれも、と、運んでくれるので、ニールの周りは料理だらけになっていたりする。
「もしかして、慰安旅行とかっていうのも、こういうもんなんですか? 」
毎年、トダカーズラブは慰安旅行というのがあって、一泊二日で出かけている。それも、こういうものなのかもしれない。何度か、ニールもシンたちと一緒に参加しているが、それほど大人数のものではなかった。
「これよりは少ないさ。うちの隊は、五十人弱だから、そこから行けるのだけ参加するから三十人ってところだ。今日は、いろんな親衛隊が集まっているからね。」
「これ、全部、とうさんのおごりってわけじゃないよね? アマギさん。」
「大部分はトダカさんだ。慰安旅行は代金徴収だぞ? シン。」
「主賓の登場だ。」
その中から、するりと出てきたのは、カガリの側近でもあるキサカだ。こちらも、鮮やかな水色のピンクの花が描かれたアロハと短パンだ。
「よく、言うな、キサカくん。そちらは午後から騒いでいたんだろ? 」
「ええ、ゆっくりさせてもらいました。貸切というのは、楽でいいですね。」
「まあ、そのために貸切なんだ。・・・・というか、おまえたち・・・仕事は、どうしたんだ? 」
トダカが呆れて、キサカの背後を睨んでいる。そこにもキサカぐらいの年齢の人間が並んでいる。実は、ウヅミーズラブの一桁組の末席から二桁組あたりの人間たちで、現在、現役でカガリの補佐しているメンバーたちだ。
「年に一度くらい、そのことは忘れてください、トダカさん。」
「キサカだけ参加では寂しすぎますので、我らも駆けつけた次第です。」
「カガリ様のほうには、残りのものがついております。」
「たまたま、我らも休暇でして・・・」
と、それぞれが言い訳しているし、キサカも、まあまあ、と、取り成している。トダカが大々的に忘年会をするというので、強引にオーヴから遠征して来たらしい。来てしまったものは、しょうがない。好きにしなさい、と、言い置いてエントランスを入る。それに続くように、その集団も追い駆けて行ったから、寺組は取り残されていたりする。
「やあ、ニールくん。」
で、唯一、残っていたキサカが、案内を買って出てくれた。なんだか、予想に反して大事なので、ニールもびっくりだ。なんせ、健康ランド内には、かなりの人数がいたからだ。
「あの、俺たちが邪魔しても大丈夫なんですか? キサカさん。」
「ああ、二百人くらいいるから、全然、大丈夫だ。きみの顔を拝みたいっていうのも多数居るからね。」
「は? 俺?」
「だって、きみ、トダカさんの掌中の玉だから。写真では見ているけど実物に逢いたいと言ってたのもいるんだ。」
というか、トダカが今回のユニオン叩きのめし大会を開催したのは、可愛がっている娘を拉致された報復だったわけで、それも、徹底的にやったから、どれほどの可愛い娘なんだ? と、あちこちの親衛隊では噂になっていたらしい。ついでに、特区のキサカの親衛隊やらの力も借りたので、そこいらの慰労もあって、他の親衛隊員も呼んだのだが、どっこい、そのトップも本国から押しかけてきたのだ。キサカは、最初から参加すると言っていたが、他のはサプライズのように参加した。かなりの大人数になったので、軍の輸送機をチャーターしたほどだ。実際は、三十路の男なのだが、まあ、綺麗ではあるから、みな、鑑賞したいとは考えた。
「そう言われても・・・」
「まあ、いいじゃないか。カガリ様から、みんなによろしくと言付かっているぞ。 さすがに、カガリ様は逃亡できなかったんで悔しがっておられた。」
あははは・・・・と、キサカは大笑いで、まず風呂のほうへ案内してくれた。ひとっ風呂浴びて、忘年会に参加してくれ、とのことだ。
八戒は、健康ランド貸切の意味がわかったので、納得はした。二百人ともなると、普通の宿泊施設を借りるほうが高いからだ。半数は特区に宿舎があるとしても、残り百人は、泊る場所が必要だ。それなら二十四時間営業の健康ランドは望ましいだろう。どうせ、飲んで雑魚寝するのだ。寝る場所だけあれば、野郎なんて、それでいい。それに貸切なら、どれだけ暴れても迷惑ではない。
「親衛隊が一部集合ってことだったんですね。・・・僕らには関係のないことですよ、ニール。とりあえず、さっぱりしましょう。」
招待してもらったのだから、のんびりと楽しめばいい。とりあえず、すっきりして宴会に参加させてもらおう、と、八戒が勧めて、全員で風呂に入ることにした。
「シンたちは、あっちに合流しなくてもいいのか? 」
「うん、俺は元ザフトの人間だからさ。オーヴのほうとは、あんま関係ないんだ。」
シンは、トダカが養父になっているが、籍としてはプラントにある。それに元は敵対したザフトの人間だ。いくらトダカの身内とはいえ、親衛隊としては、いい気はしないだろうから、こういう会合の時は外しているのが、いつものことだ。今回は、寺組と行動していればいいだろうとついてきた。レイは、ニールが行くからついてきただけだ。トダカが誘っても、こういう賑やかな場所は、あまり好まない。
大きな宴会場には、バイキング形式で料理が並べられていて、好きなように食べられるようになっていた。最初は、トダカの挨拶やらキサカの挨拶やら、忘年会お決まりの挨拶からになっているが、悟空たちは関係ないから、気楽に食事を盛り上げて運んでいる。全員が、同じデザインの湯上り服だから、誰だかわかんないという状態で、寺組も気楽なものだ。ばくばくと食事している。
トダカたちのほうには、ものすごい人が集まっていて、とても近づけるものではないし、今日は家族サービスできない、と、言っていたから、ニールも亭主の相手だけだ。勝手に遊んでていいから、と、トダカからも事前に言われている。
「これ、見てる限り、トダカさんて、すごいんだなあ。」
「艦隊指令なんかやってたらしいですから、ファンも多いんでしょうね。」
そうこうしていたら、トダカが舞台に上げられてカラオケを歌っていたりする。みんな、食事なんてそっちのけで舞台の周辺に集合しているから、八戒としても、そういう意見だ。
で、なぜだか、見慣れているトダカーズラブのメンバーが、ニールのところへ食事の配達をしてくれていたりする。ついでに、アマギまでやってきた。よっこらせ、と、ビールジョッキを手にして席に着いている。
「アマギさん、いいんですか? 」
「企画と手配はしたから、今日は何もしなくていいんだ。・・・それに、普段はトダカさんと触れ合えないメンバーが多いから、今日は遠慮しないといけないんだよ。」
まあ、アマギは普段は、トダカの側近として常時、傍に居るから、こういう時は外れないと五月蝿いらしい。つまり、ニールのところへ顔を出しているメンバーというのは、特区組で、アマギと同じように遠慮している。あれもこれも、と、運んでくれるので、ニールの周りは料理だらけになっていたりする。
「もしかして、慰安旅行とかっていうのも、こういうもんなんですか? 」
毎年、トダカーズラブは慰安旅行というのがあって、一泊二日で出かけている。それも、こういうものなのかもしれない。何度か、ニールもシンたちと一緒に参加しているが、それほど大人数のものではなかった。
「これよりは少ないさ。うちの隊は、五十人弱だから、そこから行けるのだけ参加するから三十人ってところだ。今日は、いろんな親衛隊が集まっているからね。」
「これ、全部、とうさんのおごりってわけじゃないよね? アマギさん。」
「大部分はトダカさんだ。慰安旅行は代金徴収だぞ? シン。」
作品名:こらぼでほすと 年末風景3 作家名:篠義