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こらぼでほすと 年末風景5

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 関係のない会話に退屈していたリジェネは、自分の名前で顔を上げる。なんじゃらほい? と、ニールの顔を眺める。
「ティエリアと同じ花が欲しいんだろ? あれ、ショッピングモールの花屋なんだ。」
 そう言われて、リジェネも思い出した。ティエリアが誕生日に貰った枯れないバラの花と同じものが欲しいとねだったのだ。ただ、ニールの体調が不安定で、なかなか外出できなくて、今に至っている。年内のことは年内のほうがいいだろ? と、言われて、リジェネの見えない耳と尻尾が、パタパタと揺れている。
「うんっっ、うんっっ。あれ、欲しいっっ。ティエリアと色違いのっっ。」
「・・・ということなんです。」
「いや、意味わかねぇーよ、ねーさん。リジェネに何か買ってやるってこと? 」
「こいつの誕生日の祝い。ティエリアと同じ日に言葉だけは贈ったんだけど、贈り物は、まだ、なんだ。今年のうちに用意してやりたくてさ。あそこなら、近いし、ついでに正月の飾り花も買って来ようと思う。」
 トダカ家は、男所帯なので、そういう装飾関係は、ほとんど用意されない。特区では、決まった正月用の花があって、それぐらいは飾ったほうが、正月らしいだろうと、ニールも思っていたらしい。
「それ、うちのかい? 」
「ええ、そうですよ、トダカさん。そういうのは、用意してないでしょ? 寺のほうは八戒さんが用意してくれるんですよ。」
「うちは、花への感心は皆無だからね。・・・そういうことなら、みんなで、食後の散歩がてらに行こう。とりあえず、アマギに迎えに来させる。」
 トダカが、携帯端末でアマギを呼び出したら、すでにホテルのロビーで待機しているとの返事だ。会計をするトダカを、店の入り口で待つ間に、ニールが、シンとレイにも勧める。
「シンとレイにも買ってやろうか? 」
「花なんかいらねぇーよ。それなら、団子か饅頭がいい。」
「じゃあ、それも用意しよう。レイは? 」
「俺は、欲しいです。」
「わかった。リジェネと一緒に色を選んでくれ。」
「ママ、僕ね、ティエリアと同じ色か、あれより青いのがいいっっ。」
「はいはい、いろんな色があったから好きなのを選んでくれ。」
「ママは、いらないんですか? 」
「俺は、別に欲しいものはないな。・・・今回のは、お年玉代わりだよ、レイ。だから、お返しするなよ? ああ、その代わり、正月花は三人で折半にしようぜ? 」
「うん、それでいいぜ、ねーさん。じゃあ、豪華なのにしよう。」
「そう言えば、トダカ家には、花を飾るという習慣がありませんでした。」
 男ヤモメの家に、そういうものはない。普段から家庭を預かっているニールだから気付けるものだ。基本的に、西洋では年越しと年明けというのは、クリスマスの延長上にあるので、それほどイベントとして派手ではないから、ニールも、こちらに落着くまで知らなかったことだ。



 ショッピングモールまで、アマギたちに送ってもらい、花屋へ行って、リジェネは、ティエリアより少し青が強い紫のバラを、レイは若草色のバラを選んだ。リジェネにとっては、初めての誕生日プレゼントだ。
「遅くなって、ごめんな? リジェネ。おめでとう。」
「ありがとう、ママ。大切にする。」
 ハガキサイズの箱に入った綺麗なバラだ。これなら、どこへでも運べるし飾ることもできる。レイも、それを手にして微笑んだ。ママの瞳の色に合わせたので、いい思い出になる。
「なあ、もうセッティングされてるのにしようぜ、とーさん。」
「そうだな。松に梅、竹と・・・これぐらいかな。」
 トダカとシンは、正月花のほうを選んだ。ちょうど床の間におけるサイズの派手なものにした。代金は、シン、レイ、ニールの三人で折半だ。それは包装してもらうと、すかさず、アマギたちが運んで行く。
「後は、シンの団子だな。リジェネも欲しいものはないか? 」
「僕も、団子。」
 ショッピングモールは、思っていたほど混んでいなかった。そろそろ、みな、自宅で寛ぐ時間なのだろう。ぶらぶらとスイーツの店が並ぶほうへ、五人で足を進める。和菓子は日持ちするから、適当に買出しておけば、正月の間のおやつにもなる。
「トダカさん、他に買出しは? 」
「そっちは、うちのがするさ。それより、疲れていないか? 娘さん。」
「帰ったら、ちょっと横になります。久しぶりに、こんなとこをブラブラすると楽しいですよ。」
 長いこと、ウインドウショッピングなんて、ニールもやっていない。倒れる前から、あまり外出はしていなかったので、ブラブラするのも久しぶりだ。
「あ、あれ、あれがいいっっ。お菓子っっ。」
 リジェネがスイーツの店の前で立ち止まった。ニールの腕を掴んでいるから、同時にニールも止まる。リジェネが目を留めたのは、生のイチゴがふんだんに使われたケーキだ。イチゴを並べて、その上からゼリーで固めてあって、宝石のように光っている。
「あれは、団子じゃないぞ? リジェネ。」
「でも、おいしそー。あれ、食べたい。」
「ホールで買おう。おまえらだって食うだろ? 」
 ホールで買っても、消費できるので、ニールが、それを注文する。それが終わってから、シンの希望の和菓子屋にも立ち寄った。
「どれだけ食べるつもりなんだ? シン。」
「三日もあれば片付くぜ? とーさん。レイもいるし、アマギさんも甘いもの好きだしさ。リジェネ、ちょっと持って行けよ、これなら、オーナーも食えるからさ。」
 山ほど注文して、シンはリジェネにも消費を命じる。姉と紫猫は深夜に、オーナーのところへ移動するので、その手土産にもするつもりだったらしい。だから、金は俺が払う、と、ニールがカードを出すのを遮った。
「たまには、俺にも買わせろ。」
「それなら、ママ、俺が焼き菓子を用意しますから、それも持って行ってください。」
 シンが、そういうのなら、と、レイも近くの美味しい洋菓子屋に走る。いや、あっちには、すでに準備されているはずだけど、と、ニールは思ったのだが、まあ、いいか、と、思い直した。こうやって、目に入ったものを選んで買うのは楽しいことだからだ。