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こらぼでほすと 年末風景5

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「おう、頼むぜ、レイ? ・・・・でも、キラさんかぁー荷が重いなあ。」
「そういう場合があれば、ってことだ。つまり、トダカさんは、オーナーも例外ではないとお考えなんですね? 」
 これは、キラに限ったことではない。アスランの父親だって、最初は独裁政権なんかではなかったし、レイの義理の父親だって、世界を掌握しようなんて考えていなかった。どこかで歯車が狂って、暴走したのだ。トップに立つものには、誰でも起こり得る可能性を含んでいる。
「そうだとも、レイ。誰だって、最初は綺麗なものだけを望んでいる。その望みを叶える過程で歯車が狂うんだ。・・・自分たちの未来について、しっかりとした考えがあっても、巻き込まれる場合もある。オーヴだって例外ではない。世界のどの国でも言えることだ。それを正せるものがあるかどうかが問題になる。」
 そういう意味では、『吉祥富貴』は理想的な集団ではある。出自も年齢も違うのが集っているから、各人の考えがある。目的が同じだから、同じように活動しているが、どこかで狂えば、誰かが正してくれる。今後、これに刹那たちの組織も参加するだろうから、さらに修正はしやすくなるはずだ。
「つまり、俺は俺の考えを、しっかり持ってないと、キラさんの暴走を止めることはできなくなるんだな? ・・・・まあ、無茶やりだしたら止めるけどな。全力でっっ。」
 ふむ、と、シンが力強く両手を握る。これから先、キラが存在する限り、シンはキラを監視しなければならない。かなり先の長い話だ。
「今どうこうってことではない。ただ、そういう可能性について考えておくべきだという話さ。・・・・堅い話になってしまったな。」
 すまない、と、トダカがコーヒーを口に含む。シンが独り立ちするまでは、先延ばしにしておこうと思っていたのだが、キサカが余計な茶々を入れてくれたから話すことになった、と、詫びた。いえいえ、と、他の者は首を横に振る。確かに、必要な話だ。
「キサカさんが、『種を蒔かなければ芽吹かない。』と、おっしゃってました。そういう意味では、同じです。」
「まあ、そういうもんだ。これから、十年二十年先の話だ。・・・・とりあえず、娘さんは、お父さんと暮らしてくれればいいからね? 亭主がうっとおしくなったら、さっさと帰ってくればいいので。」
「はいはい、三行半でしたね? まあ、それも難しいでしょうから、適当に行き来します。」
「おや、ラブラブだね? 娘さん。」
「およそ、うちでは該当しない表現だと思いますよ? お父さん。」
「そうかなあ、きみは、亭主にかかりすぎだと思うんだが? たまには、お父さんのほうも世話してくれないと拗ねるよ? 」
「トダカさんが拗ねたら、どうなるのかな。俺、ちょっと見たいてすよ。」
「とーさん、拗ねるってあるのか? 」
「そりゃあるだろう。だいたい、うちの娘さんは人気者過ぎて、里帰りすら短縮されるんだ。ちょっとは拗ねてみようと思う。」
 昨年辺りから、年末年始の里帰りすら、年末だけになってしまった。たまには、のんびりとニールと過ごしたいのに、なかなか時間が取れなくなっているのは事実だ。
「一緒に本宅へ行けばいいじゃないですか。ラクスは拒否はしませんよ? トダカさん。」
「でも、独占はさせてもらえないからね。・・・・年明けしたら、しばらく里帰りしたらどうだい? 」
「ダメですよ。悟空の学校が始まって、弁当しなきゃならないんだから。」
「ほら、嫁ぎ先が優先だ。」
「いや、そうじゃなくて・・・・連休に帰りましょうか? それぐらいなら、なんとかなるでしょう。」
「まあ、そこいらで手を打つか。ああ、間男はいらないからね。」
「それは当人に言ってください。俺が連れ歩いてるわけじゃありません。でも、リジェネは連れて帰りますよ? 」
「もちろん、孫は大歓迎だ。」
「いつか、婿舅戦争とか起こりそうだな? レイ。」
「いや、すでに起きてると思う。さらに、オーナーも参加するだろうからな。」
 三箇所がニールの取り合いをしているので、ニールも忙しい。歌姫様は長期の休暇が、あまりないから、それほど参戦しないが、婿と舅は、日々、取り合いをしていることには代わりはない。移動できるようになると、カガリも参戦してくるだろうから、さらにややこしくなりそうだ。
「じゃあ、ねーさんは、一番落着くのは、どこなんだよ? 」
「うーん、寺が一番、落着くかなあ。でも、トダカさんとこも、のんびりするには楽なんだよなあ。」
「でも、うちだと寂しいんだろ? 三蔵さんのあれ、これ、それがないと。」
「あーそうですね。トダカさんも、やってくれればいいのに。」
「先に娘さんがやってくれるから、頼むことがないんだ。」
「そうですか? というか、トダカさんは手がかからないのが、ちょっと寂しいかな。」
 ニールにとって、いろいろと用事を言いつけてくれる亭主は、暇を作らないから余計なことを考えなくて済むし、気楽なのは事実だ。それで、くだらない愚痴にも付き合ってくれるので、とても有り難い存在だとおっしゃる。
「シン、レイ、娘さんみたいな女房は貰っちゃダメだよ? ダメ人間になるから。」
「それ、わかるなあ。俺、寺に居候して自分んちに帰ると、ものすごく面倒になる。」
「俺も、ついついママのところへ居候してますね。」
「あれ? ママって、そういうものじゃないの? 」
「リジェネ、こんな世話焼きのおかんは、普通はいねぇーよ。だいたい、おまえ、いい年して、ねーさんに髪の毛まで拭かせてるじゃんか。あれ、ダメ人間一直線だ。」
「別にいいもん。僕にとっては、ママは一人だ。」
「シン、俺、三蔵さんの髪の毛は拭いてないぞ? 」
「当たり前だ。そこまでやったら、ナマケモノって呼ぶよ。」
「おまえら、誤解してるって。三蔵さん、自分のことは自分でやってるぞ? 」
「俺が寺で見ている限りは、ママが先にやってると思いますよ? だから、自分でやってるわけではないと思います。」
 坊主が何か言い出す前に、女房のほうが準備しているので、自分でやっているとは言い難い、というのがシンとレイの見解だ。そうかなあーと自覚のないニールは首を捻っているが、悟空も同意見だろうとは思う。
「別に、俺ができることをやってるだけだ。それでいんだよ。」
「まあ、それで家庭円満だから、いいんだろうけどね。・・・さて、そろそろ帰ろうか? 」
 話が一段落したので、トダカが腕時計を見る。すでに、二時間以上が経過している。フルコースで時間がかかったのもあるし、かなり真面目な話もしていたから、あっという間の感覚だ。
「トダカさん、寄り道してもいいですか? 」
 そうそう、と、ニールが言い出した。ちょっと思い出したことがあるので、その用件を片付けたい。
「遠出はさせたくないんだけど? 」
「いや、近くです。トダカさんちの近くのショッピングモールまで。」
「え? 今日は混んでるぜ? ねーさん。」
 大晦日ともなると、そういう商業施設は混みあっているはずだ。免疫力も落ちているニールは、あまり人手の多い場所は近寄らせないほうがいい。
「行き先は一箇所だから、すぐに終わるよ。俺とリジェネだけで行って来るから。」
「僕? 」