トータル・イクリプス Side Story
「あなたには関係ない。」
「なんだと~!」
タリサ×クリスカ。
もうこの2人は…
「ユウヤは…やっぱりナタリーの?」
場を取り繕うためステラが助け船を出す。
「ああ。やっぱり、色々と世話になったしな。」
「そう…ほらタリサも止めなさい。ナタリーに失礼よ。」
「ああ!?…分かったよ。」
タリサとイーニァのバトルが終わるとイーニァはユウヤの後ろに隠れた。
「にしてもなんだァ?ユウヤ、紅の姉妹とナニやってんだ?」
色男、ヴァリレオがユウヤに話しかける。
「たまたま格納庫で会ってな。ちょっと歩いてたんだ。」
「おいおい~唯依姫がいないからってそれはナイんじゃねぇか~?」
「あ?何の話だよ。」
「トボけんなよ~デートかおい~」
「VG?ユウヤよ?」
「…あー。」
「いや何に納得してんだ!?」
ステラの一言に納得するヴァリレオ。対して全く状況の掴めないユウヤ。
「ま~なんだ?俺達は基地戻るがユウヤはどうすんだ?」
「そうだな…」
クリスカとイーニァを振り替える。イーニァが少し寂しそうな表情をしているのは分かる。
しかし、不思議なことにクリスカまでもがイーニァと同じ顔をしている。
ユウヤとしてはこのまま2人と別れるのも構わないのだが、2人の顔が判断を変えた。
「いや、もう少しこいつらと話してから戻る。」
「ほっほ~。やっぱりデートかァ~?」
「ユウヤ!!お前~!」
「分かったわ。じゃあ先に戻ってるわね。ほら、2人とも行くわよ?」
ヴァリレオとタリサを宥めたステラだったが、何故か彼女までが冷めた表情でユウヤを見つめた。
3人が去ると、クリスカが口を開いた。
「ブリッジス…その、良かったのか?」
「ああ。何だかお前とイーニァが悲しそうな顔してたからな。」
「なっ…!私は別にっ…!」
「良かったね、クリスカ。」
「それと…いつまで俺の事、ファミリーネームで呼ぶんだ?」
「どういう事だ?」
唐突なユウヤの疑問に、クリスカは眉をひそめる。
「俺のこと、ユウヤって呼んでもいいんだぜ?イーニァだってそう呼んでるしな。」
「…!」
驚くようなクリスカの表情。
説明するようにユウヤは続ける。
「お前、あの時だってユウヤって呼んでたじゃねぇか…」
クリスカが半狂乱になっていた時。確かにクリスカはユウヤをファーストネームで呼んでいた。
「だから…良いんじゃねぇか?もう。」
「…そうか。なら私もファーストネームで呼ばせてもらおう。…ユウヤ。」
「なんだか固いな…まぁいいか。」
「ふふっ。クリスカ、嬉しいね。」
「なっ…イーニァ!?」
クリスカは誤魔化そうとしたものの、何せイーニァには"色"が見えている。誤魔化す事が出来たのは、"その辺"の所に疎いユウヤだけだった。
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数分後。
某所
ユウヤとクリスカ、イーニァは歓楽街を離れ、何時かユウヤが米軍時代の話をクリスカにした野原に佇んでいた。
「そういえば、ここでクリスカに俺の話を聞いてもらったこともあったな…」
「そうだな。」
「あの時はお前達に遭えてよかった。俺もあの時に燻ってたしな。」
「そんな礼を言う必要はない。私が好きで居たことだ。」
気付くとイーニァは草の絨毯に寝転んで「気持ちいい~」と転がっていた。
「そうか…でも俺は助かったよ。」
「ユウヤ!寝転んでみて!気持ちいいよ!」
「ああ。確かに気持ち良さそうだな。俺も…っと!」
仰向けになるユウヤ。
「クリスカも横になってみて!ほらほら!」
「イ、イーニァ!?ちょっ…」
急かされるように横になるクリスカ。
川の字の完成である。
「お空、綺麗だね。」
「ああ、そうだな。それに、広い。」
「うん。」
「クリスカは?」
「ええ。本当。どこまでも蒼くて…広いね。」
暫く3人は無言で空を仰いだ。
「なぁ…クリスカ。」
「なんだ。」
「お前…いや、お前とイーニァ、前に俺の世界を守る、って言ってくれたよな。」
「…」
「俺もさ、お前とイーニァの世界を守りたい。」
「…どういう意味だ?」
ユウヤを見るクリスカ。だがユウヤはクリスカではなく、空を見ながら続ける。
「お前達が党とか祖国のために生きるってのはもう否定しない。だが…お前とイーニァが一緒に笑ったり、飯食ったり、寝たりする位は許されるだろ?なんていうか…そういう幸せみたいなのを俺は守りたいんだ。」
「ユウヤ…」
「お前達は2人で1つ。でも2人の家族だろ?その幸せを大切にしてもらいたいからな。」
「ううん。2人じゃないよ、ユウヤ。」
「ああ、ミーシャもか。」
笑いながらユウヤが応える。
「ミーシャもだけど…ユウヤも私達の家族、だよ。ね?クリスカ。」
「な…家族って。」
困ったようにクリスカを見るユウヤ。
そうね。私達4人、家族ね。」
ユウヤはその時、初めてクリスカのあどけない笑顔を見た。
イーニァも笑う。
ユウヤもそれにつられた。
「…そうか。なら、俺逹の世界、一緒に守ろうな。」
「ああ。」
「うん。」
一片の花片が3人の前を過ぎる。
ユーコンにも、新しい季節がやってきた。
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Muv-Luv
Alternative
Total Eclipse
Side Story
END
作品名:トータル・イクリプス Side Story 作家名:Sepia