二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

とある二人の無能力者

INDEX|1ページ/4ページ|

次のページ
 

?彼?にはかつて愛した世界があった。
穢れなくどこまでも透き通っていて永遠の幸せを約束してくれる。
そんな世界。
?彼?にはかつて愛した人がいた。
ひたむきに自分だけを見つめてくれ理解し通じ合えるたった一人の存在。
そんな人。
愛することで、そして愛されることで手に入れられる物があることを信じ、愛した世界と愛した人と共に時を過ごした恐れを知らず穢れを知らずどこまでも純粋な?彼?は。

ある時、



愛した世界に、愛した人に裏切られた・・・


全てに絶望した?彼?はその時初めて知った。
愛した世界がどれだけ穢れていたかを。
愛した人がどれだけ穢れていたかを。

胸中に芽生えた新たな想い。
?彼?はひたすらにその時を待ち続けている・・・・・













深夜の学園都市。

そんな時間帯にも関わらず相変わらず蒸し暑いこの夜に耐えかねた、
黒髪ツンツン頭の少年・上条当麻はむくりと起き上がるとキッチンに足を運んだ。
彼の目的はただ一つ・・・。

「よし・・・インデックスは起きてないな・・・」

冷凍庫の奥深くに眠るアイスクリームだ。
彼がこんな時間にアイスを食べなくてはならないのも、
本来上条が寝ているはずのベッドの上で気持ちよさそうに寝ている銀髪シスター・インデックスの
暴飲暴食の結果である。

しかし、つい先日・・・彼は冷蔵庫内の彼女の死角を発見するという偉業を達成したのだ。
おかげでこのアイスクリームは彼女の毒牙にかからず安全だったというわけだ。
フタを開けスプーンで純白のアイスをすくい上げる。
今思い出せば長い戦いだった・・・。

(ついに・・・ついにこの時が!!)

それを口に運び久々の至福の時をーー


「と〜う〜まぁ〜〜〜!!!」
「ひぃぃっ!い・・・インデックスさん!?」

後ろでドス黒いオーラを発している銀髪シスターを見て腰を抜かす上条。

「どうしてとうまは、私が寝ている隙をみてこっそりアイスクリームを食べようとしているのかな?」
「そ・・・それはですね!ええと深い事情が上条さんにもありまして」
「問答無用なんだよ!!!」
「ぎゃあーーーー!!?不幸だぁーーーーーー!!!!!」







同時刻。

とある学生寮で佐天涙子は提出物を必死になって進めていた。

「ああ〜・・・もう、今さら机の引き出しからこんなのが出てくるなんてなー」

週末という事もあって部屋の掃除をしていた彼女は偶然にも明日提出期限の課題を、
発見したのであった。
そもそも発見してから最初の10分程度はこれが何なのか気付かなかったくらいである。

「どうしよう・・・このままじゃ終わらないかも。初春に明日見せてもらおうかな」

始めてから1時間も経っていないのにも関わらずもう諦めモードに入る。
イスにもたれ掛かりふうとため息をつき、

「とりあえず初春にメールしておこっと」

机の隅に置いてあった携帯に手をのばす。









「はぁ〜…眠いなー」
四時限目が終わり昼休みに入って上条が始めに口にした言葉がそれだった。

結局あの後、インデックスに噛まれた傷が傷んで一睡も出来なかったのだ。
それに朝家を出る際、

「罰として今日同じアイスクリームを10個買ってくるんだよ」
「で、でもなインデックス。上条さんは家計的に絶賛絶望中であってだな」
「買って来なかったら分かってるよね?」
「はい、すいません」

などという約束を交わしてしまっているので尚更のこと、上条のやる気を奪っていくのであった。
そんなところに、

「コラ、上条当麻!」

机の上でぐたーっとしている上条にかけられる一つの声。
むくっと顔だけを上げるとそこには、巨乳と広いおでこがトレードマークの風紀員、
吹寄制理が腕を組んで立っていた。

「何でせうか?」
「何でせうか?・・・じゃない!!まだお昼だっていうのに貴様何でそんなダルそうにしているの?」
「いや〜上条さんにも色々と事情があるんですよ・・・ふぅあ〜〜・・・」
つい欠伸が出てしまう。
「上条に限ってはいつもこんな感じがするけど・・・」

まぁ、確かにほぼ毎日厄介事に巻き込まれている上条はいつもこんな感じだ。
吹寄は少し間を開けると、

「とにかく!昼間っからそんな顔されてると気分が悪くなるからとりあえず顔を洗ってきなさい」
「ええ〜、吹寄勘弁してくれよ・・・」
「今日許したところで、どうせまた明日もこんな感じなんだから変わらないでしょ。ほら立つ!!」
吹寄に腕を引っ張られながら嫌々立ち上がる。
「なんやカミやん昼間っから吹寄といちゃいちゃしよって」
「ついにあの吹寄にまでフラグを立てたのかにゃ〜?」

そこに青髪ピアスと土御門が来た。


「馬鹿か・・・これのどこがいちゃいちゃしてんだよ」

上条がダルそうに答えると、
青髪ピアスと土御門は顔を見合わせ、

「いやーなぁ?気付いててわざと知らないふりをしてるのか・・・」
「カミやんの場合はガチで気付いてないのかもしれへんな」
「何のことだよ?」

う〜ん・・・真剣に分からない。


そこに青髪ピアスが、

「いやだからな。そんなに密着してるからいいのかって言ってるんやけど」


密着?とそこまで言われて初めて吹寄との距離を確認する。
そこまで意識した上条の腕にふにゃりと柔らかい感触がはしる。

(こっ・・・これは!?バスト!?バストなのか!?)

やっとそれに気付き慌て始めた上条を横目に先程から無言だった吹寄がそうやく口を開き、
「本当に貴様らは成長、し・な・い・・・なっ!!!」

と青髪ピアスと土御門にそれぞれおでこを喰らわす。
ガシャン!と机を巻き込みながら吹き飛んだ2人を見届けると今まで組んでいた腕を吹寄が離し、
こちらに向き直る。

「うん?どうしたんだ吹寄?」
「貴様もだ上条!!」
「ええ!?なんで俺がぐふぅあああ!!!」

床を転がる上条に、

「とにかく早く顔を洗ってきなさい」
と言い放つと吹寄はどこかに行ってしまった。

「うう・・・不幸だ」











「もう・・・次は写さしてあげませんからね」
「あはは、分かってるよ」

とある中学校。
授業を終え帰宅路についた佐天は親友の初春とともに大通りを歩いていた。

結局佐天は朝早く学校に初春を呼び出し課題を写さしてもらったのだ。

「まぁ間に合って良かったですけど」
「ありがとうね、初春」
「そうですね・・・明日あのクレープを奢って下さい」
「えぇ・・・でもあそこのクレープって高いし」
「佐天さん、私は今日朝突然早く学校に来てほしいってメールがきたから心配して行ってみたら」
「分かった分かったよ。ちゃんと奢るからそれで許して」

なんとか、丸めこめた佐天は風紀員の仕事がある初春と別れ1人、近くの商店街を訪れた。

「今日はあのお店新作は出てるかな〜?」

そんな独り言をつぶやき佐天は賑わった商店街を歩く。
こうして空いた時間に商店街を回るのは佐天にとっては日常生活の内の一つだ。
少し歩いて行くと知っている後ろ姿を発見した。

「御坂さん!」

そう声をかけると向こうがこちらに振り向く。

「佐天さんじゃない。今1人?」
作品名:とある二人の無能力者 作家名:ユウト