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とある二人の無能力者

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「はい。初春は風紀員の仕事があるんでさっき別れました」
「そうだったんだ。私もさっきまでは黒子といたんだけど風紀員の仕事がって行っちゃったのよ」

そこで溜息をついた御坂に、

「御坂さん?どうかしたんですか?」
「いや・・・『あの類人猿がいつお姉さまを毒牙にかけるか黒子は心配で心配で風紀の仕事なんてやってられませんわ!!』って別れ際までずっとうるさかったからさ」
「類人猿?」
「ああ!!ええと・・その・・・ね!何でもないわよ!!」
「本当ですか?」
「ほ・・・本当だってば!あははははは!!!」

口の端を引きつらせながら、
慌ててそういう御坂にいくつか疑問点があるがあまり深入りはしないでおこう。

「と・・・ところで佐天さんはこのあとは暇?」
「私ですか?バリバリ暇ですよ」
「じゃあ一緒に回らない?」
「いいですね。いきましょう!」

こうして2人は賑わう商店街を回ることにしたのだった。



午後3時。
上条の通う学校も放課後となっていた。

「へ?今なんて?」

帰宅部の生徒は校門へ赴き部活動の生徒は活動の準備を始める。

「だからですねー、来週までにこの課題を提出してもらいたいのです」

そんな中、無能力者・上条は1人、職員室に呼び出されていた。

「あの・・・何かの間違いかと思うんですけど」
「?何がですか?」

それに応えるのは上条の担任・小萌先生だ。
どうもても小学生にしか見えない身長を持つこの人は、超ヘビースモーカーのれっきとした大人である。

「ぱっと見ても夏休みの宿題レベルはあるんですけど」
「そうですね、上条ちゃんは夏休みの宿題を半分以上提出していない上に、単位の足りていない教科もありますからこれでも少ない方ですよ?」

実際夏休みの宿題に関しては仕方のない理由が存在するのだが、
説明したところで信じてはくれないだろう。
いや、むしろこの先生だからこそその話はしたくない。
生徒思いの優しいこの先生だからこそ。

「うぅ…どうにかなんないですか?」
「先生も減らしてあげたいのはやまやまなんですけど…まぁでも上条ちゃんを思っての結果ですから頑張って下さいね」
「・・・先生実は俺、前から不思議に思ってたことがあるんですけど」
「?何ですか?」

急に話題展開を入れる上条。
ただこれは上条が意図してやったとかそういう類のものではなく、ただ単純に何故か今更疑問に思ったからである。

「補修してる時も思うんですけど・・・」
「はわっ!!?か、上条ちゃん・・・それはもして先生に対するボイコットなのですかっ!?」
「え?あの、先生ちょっと落ち着いてくださいって!そういうことじゃなくて!」
「そうなんですか・・・?」

何だかちょっぴり涙目の先生に若干ドキドキしつつも(だーーっ!!?何で俺はいたいけな年下の女の子に・・・じゃなくて年上の先生に対してドキドキしてんだー!?)、小萌先生の顔をしっかりと見据えて問いただす。


「俺はもうこれは学校の七不思議に登録されてもいいんじゃないかと思ってるんですけどね」
「上条ちゃん、あんまり長くなるなら」
「いーや先生。大事なことなんで聞いてください」

この疑問が浮上したのはいつ頃だったか。
具体的に言うと夏休みじゃない夏休みを送り始めたあの夏から。
さらにもっと具体的に言うとクラスメイトで同じ寮の隣に住んでいる土御門元春が魔術師で学園都市やらイギリスやらとあちこちを駆け回っていると知った時から。
ただひたすらに疑問を感じていた。


「先生!どうして!」

打ち明けるには今しかない!!

「どうして土御門こういう宿題も補修もないんですか!?」

10秒程度目をパチクリさせていた小萌先生はふぅーとため息をつくと、

「上条ちゃん、それはですね」
「!はい!」

真剣な顔つきの上条に向って笑顔でこう答えた。


「上条ちゃんが彼よりもおバカさんだからですよ」
「・・・・・・・」

目が点になるという表現はまさに今の彼に当てはまるべき言葉であろう。


「ちょっ、ちょっと待って下さいよ!それって土御門の話となんの関係が!?しかも語尾のハートが付いてるっぽい声色は何ですか!!?」
「う〜ん、上条ちゃんのためにわざと遠まわしに言ったんですけどね」
「だからそれってどういう意味」
「上条ちゃん!」
「はい?」
「宿題頑張って下さいね」
「先生頼みますからさっきの質問に答えて下さい!」




結局この後、小萌先生に上手く丸め込まれた上条は渋々、課題の受け取りを承諾したのであった。








「御坂さん、この服どうですか?」
「それもいいわね…あっ、でもこれもいいかな?」
「私はやっぱりこれがいいかな〜」
「佐天さんに似合ってる色ね」
「えへへ、そうですか?」

1時間程商店街を回った2人は商店街の隅にある主に女性用の服を取り扱っている店の中にいた。

「これもいいけど…今月は残り少ないから駄目かな」
「そうね、私も一週間前に黒子と買い物行って結構使っちゃったからな〜」
「御坂さんの言う、結構使っちゃったからな〜って想像出来ないですよ」
「そう?まぁ大体、4…5万くらいかな?」
「そんなに使うんですか!?いいなー御坂さん」
「そ、そう?」

御坂はともかくも佐天は無能力者な為もともと援助金が少ない。
援助金と言っても普通に暮らせる程度のものなので、少しでも贅沢をしようものならすぐに貯金が底を尽きてしまうだろう。
そんな彼女だが、そうなると休日や暇な時は、自宅にいることが必然的になってしまう。
しかし実際のところ、佐天が自宅にいることはほとんどない。
なぜなら、

「それにしてもよくこんな所知ってたわね」
「まぁここの商店街は行きつけですからね」
「行きつけ?」
「はい。週に4回くらいは来てますかね」


常日頃、そうした暇な時間をウィンドウショッピングに充てているからである。


「学校が終わって初春と別れた後は、たいていここの商店街に来てるんですよ」
「そうなんだ。あきたりしない?」
「そうですね〜、新商品の入荷具合で行くか行かないか決めてたりしますけど・・・ここ以外の商店街も行ったりしますからあきることはありませんね」
「なんかすごいわね」
「御坂さんはどうなんですか?」
「私は・・・黒子と月に3・4回くらい買い物に行ったり、たまにだけどウインドウショッピングをしたり・・・後は色々してる内に潰れちゃうわね」
「へ〜そうなんですか」

御坂の言う色々の大部分はとあるツンツン頭の少年を探索もしくは追いかけているのに費やしているわけだが。
この後、用事があるという御坂と別れた佐天は自宅へと向かった。

途中公園を突っ切るという道で帰るとすごく早く帰宅出来るというのは調査済みなので、
佐天は比較的大きい公園へと入っていく。

「今日は久しぶりに誰かとウィンドウショッピングしたな〜」

たいてい1人なので今日のようなパターンは彼女にとってはすごく嬉しかったりする。
同じ中学に通う友人と一緒にまわることがよくあっても初春や御坂とまわる機会は無いのでより一層だ。
作品名:とある二人の無能力者 作家名:ユウト