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とある二人の無能力者

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少し歩いた所で2人は簡単な自己紹介を済ませる。
本来なら最初の時点で済ませておくべき会話なのだが、そういう訳にもいかなかった。
理由は単純。

(男の人におんぶされるなんて・・・初めてだな)

なんていう乙女心全開の思考が頭の中を駆け巡っていたからである。

(それに・・・上条さんの背中って広い・・・)

自然と顔をうずめたくなるが流石にそれはやめた。


ちなみに。
これはおぶっている側、上条にも当てはまっている。

(うわわわ・・・思ったままに行動したけど・・・何か恥ずかしいな)

背中で佐天の鼓動を感じながら上条もまた、赤面していた。

(それに、たぶんこの柔らかい感触は・・・あれだよな)

こちらもこちらで青春真っ盛りの少年なので仕方ないと言ってしまえば仕方ない。
そういう事があって両者ともなかなかその話を切り出せなかったのだった。


「あの・・・上条さんには兄弟はいるんですか?」
「ああ、妹が1人。学園都市の外にな」
「私も学園都市の外に弟が1人いるんです」
「そうなんだ。っていうことはお互い長男長女ってことだな」
「そうですね。ちなみに私ここに来るときすごく弟が心配だったんです」
「心配?」
「両親が共働きで帰りが遅くなるんで弟のことも含めて家事とかはほとんど私がやってたんですけど」
「それはすごいな」
「えへへ・・・今年に入って私の学園都市入学が決まってからこれから弟が家のことを出来るかが、すごく心配で」
「・・・優しいお姉ちゃんなんだな」
「えっ!?そ、そんなことないですよ!」
「だってそうだろ?自分の心配じゃなく、学園都市の外にいる弟の心配が出来るなんてすごいじゃないか」
「はい・・・」

男の人にこんな事を言われたのも初めてだ。
ますます赤面する佐天に上条は言う。

「佐天はいつもあの公園を通って学校行ってるのか?」
「いえ、買い物した帰りに通ってるんです。ちょうど私の行きつけの商店街からだとあの公園を突っ切るのがすごい近道なんで」
「へ〜、じゃあ俺と一緒だ」
「え?上条さんもなんですか?」
「うん。俺もスーパーで買い物をした帰りだとあの公園を通るのがすごい近道なんだ」
「じゃあ、2人とも同じ理由であの公園を通ってたんですね」
「だな」

先程の緊張感もいつの間にか消え、すっかり打ち解けた2人。
とは言ってもすでに10分くらいが経過しており、

「あ!あそこが私のマンションです」

佐天としてはもう少し話していたかったのだが、これ以上彼に迷惑をかけるのは気が引ける。

階段を上り扉の前までおぶってもらったところで下してもらう。

「今日は本当にありがとうございました」
「どうってことないさ。足は大丈夫か?」
「もうだいぶ痛みも引いてきたんで大丈夫です」
「そっか・・・それなら良かった」
「はい」

扉を開け玄関に入ったところまで見届けた上条は、

「そんじゃ、またな」
「はい、さようなら」

自分の部屋に入りかばんから携帯を取り出した佐天は、

「あっ!!」

まだ少し痛みのある足に構わず急いで外にでる。
すると大通りを走って行く上条の背中が目に入った。
佐天は残念そうに、

「もう・・・メールアドレスとか聞きたかったのになー」

そう呟いた。













マンションの階段を上りながら上条は先程のことを思い出す。

(それにしてもびっくりしたな〜・・・まさか上から降ってくるなんて)
ここまで印象に残っていのは、ただ単に上から降ってきたことだけではない。
彼は<覚えて>いないが、現在居候中のインデックスが佐天と同じ状況下で降ってきたということを、
彼の記憶の断片がそう印象づけているのかもしれない。
不思議な感覚に包まれながらも無事自宅に到着した上条は、扉を開けまず見たのは、

「とうまのばかーーーー!!!!」

インデックスの巨大な口だった。

「ひぃぃ!!??インデックスさん!?ちょっ、ちょっと落ち着いて下さい!!」
「これが落ち着いていられるわけがないんだよ!インデックスがお腹を空かして待ってるっていうのにとうま一体どこをほっつき歩いてたの!」
「そ、それはその上条さんにも事情がありまして・・・」
「とうまはいつもそればっかりなんだよ・・・でもまぁ今日は許してあげる」
「おお!!さすがイギリス清教に仕えるシスター!!」

久々のインデックスの優しさに感動する上条。

「とうまとうま。ところでアイスは?」
「ああ、そうだったな。見よ、これが姫にと汗水流して入手した献上・・・ん・・・?」

おかしい。
アイスクリームの入った袋がない。

「とうま・・・アイスは?」
「え・・・あ、あの」

冷汗が上条の首筋から垂れる。

「結局とうまは私を待たせただけじゃなく、そのアイスまで忘れたんだね」
「ま、待ってくれ!確かにさっきは手に」
とそこで気付く。

「あああ!!!佐天が降ってきた時に!」

何故今まで気づかなかったんだと、自分を問い詰めたいところだが今はそれどころではない。
目の前の邪悪なオーラを放つ少女をどうにかせねば。

「インデックスさん!ほほほ本当に申し訳ありませんでした!!」
「・・・・・・」
「インデックスさん?」

しばらく口をつむいでいたインデックスはようやくその口を開いた。

「とうま」
「な、何でせうか!?」
「本当は言いたいこと聞きたいことがたくさんあるんだけどとうまは疲れてるみたいだから今日は1つだけ」
「ん?」

インデックスははぁーと意気を吸い込み、

「ばかーーーー!!!!」(ガブリ)
本日二度目の噛み付きが炸裂した。


「ぎぃぃやぁぁーーー!!!結局こうなるのかよ!!ふ、不幸だーーーーー!!!!」


今日もまた、日の沈む学園都市の空に彼の叫び声が響く。










「はぁぁ、今日は疲れたな〜」
お風呂に入り髪の毛をとかした佐天はそのままベッドに身を投げる。
しばらくぼーっと天井を眺めていた佐天はぼそっと、

「上条・・・・当麻さんか・・・」

今日は初めてのことが多すぎてびっくりの一日だったせいか、
上条の顔が頭から離れない佐天。

「いい人だったな・・・」

机の上で携帯がブルブル震えているのにも気づかず。

「また・・・会えるかな〜」

そんな願いを胸に、
無能力者・佐天涙子の一日が終わる。
作品名:とある二人の無能力者 作家名:ユウト