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とある二人の無能力者

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それのせいか、いつもより陽気な気分になっていた佐天はいつもなら避けて通る、ガラの悪い集団へと知らず知らずのうちに近寄ってしまっていた。

「おう、なんだ君1人?」
「浩二どうした?おっ、めっちゃ可愛いじゃん」
「おいおい中学生だぜ?」
「そこがいいんじゃないかよ」


男達はまるで舌舐めずりするような視線で佐天を見る。

「あ・・・あの、私急いでるんで・・・」

そばを通ろうとそのまま横切ろうとすると、

「ちょっと、待とうぜ」

佐天の腕を掴んできた。

「ちょっ、離して下さい!」
「まぁまぁいいじゃんかよ」

手に力を入れるが離してくれる様子はない。

(どうしよう・・・このままじゃまずいよね・・・)

そう判断した佐天は好機を窺うことにする。

「暇ならどっか行こうぜ?」
「おい、俺が声かけたんだぜ」
「関係ないだろ。それにお前には彼女がいるだろうが」
「あいつは遊びだよ」
「遊び?お前が遊ばれてるんじゃねーのか?」
「何だと!!」


(今だ!!)



言い合いを始めた男達を見て、佐天は掴まれている方の腕に力をいれると思いきり振りほどく。

「お、おい!」

そのまま急いで駈け出した。

「ちくしょう逃げられた!おいお前ら!あいつを追え!!!」


佐天は左に曲がると正面に草むらがあるのを見てそこに飛び込みなおのこと走り続ける。
追ってきているかは分からないがひたすらに走る。
視界があまりにも悪いせいもあって緊張感だけが、異常な程に残る。


「はぁっ、はぁっ」

息も切れ切れになりそろそろやばいんじゃないかと思ったところで、
急に視界が明るくなった。

(抜けた!?)

と、思ったその時。
腰のあたりに棒状の何かがあたりそのまま前のめりになる。
彼女の視界に映っているのは、きれいな夕暮れと若干下の方に見える木々。


(え?あっまずい!?)

そう思った時には時すでに遅し。
手すりを越え、佐天は下へと落下した。















時は10分程さかのぼる。
インデックスに頼まれていたものを購入した上条は、途中で帰宅途中だったのかは知らないが反対車線の方から来たビリビリに突然、電撃を浴びせられるというアクシデントに遭い近くの公園へと避難していた。

「はぁ、全くあいつは・・・・何でいきなり電撃なんか浴びせてくるんだ」


毎日御坂から電撃をあびせられている上条だが今回は訳が違う。
今日の上条は自宅で待ちわびている姫様の献上品を運んでいるわけで、
あまり遅くなってもいけないし献上品に何かあったとなれば明日を拝めるかすら分からない。
そもそも上条はこれといって何かしたわけではないのにこうなるのが日常だ。
そしてそれが自らの不幸体質によるものだというのも自覚している。

「うわっもうこんな時間かよ!?早く帰らないと俺の命がない・・・つーかアイスが溶けかけてるじゃねーかよ!?」

姫様の献上品の異変に気付いた上条は走り始める。

(え〜と・・・確かここの道を真っすぐ行って・・・)

真っすぐ進んだ先には左手が森林、右に高い壁があった。

(ここだここだ。この道を行くと近道なんだよな)

こうして買い物をした帰りには、ここの公園の近道を普段から利用しているので、
すぐに目的の場所へと行きつく上条。

そのせいか少し陽気な気分になっていた彼は、




「きゃあああああああああああーーー!!!!?????」

という突然の声に腰を抜かしぺたんと座りこんでしまった。

(なんだ!?)

急いで上を確認しようと上を見ようとした彼に向かって彼女は狙ったかのようなタイミングで落ちてきた。













(駄目だ!!)

目を瞑り次の衝撃に備えていた彼女が最初に感じたのはグシャリという柔らかい感触だった。

(・・・え?)

全く想定外のことだったので、しばしそのまま固まる佐天。
ぼーっとした時間が続き、

「ん・・・うぅ・・・」

という誰かの呻き声で我に帰った。
下を見ると仰向けになった少年がそこにいた。

「わっわわわわ!ごめんなさいすいません本当に申し訳ありません!!!」

急いで飛び退くとよろよろと立ちあがる少年に謝罪を述べる。

「う〜ん・・・あれ?」

立ち上がった少年はじーっと佐天を見てくる。

「あの・・・本当に大丈夫ですか?」

いよいよ本当に心配になってきた佐天は彼の顔を覗き込むように尋ねた。
するとようやく我に帰ったのかそれらしい返答が返ってきた。

「ん?ああ大丈夫だ」
「そうですか・・・良かった」
「そういえば君は大丈夫?」
「あ、はい。おかげ様で」

予期せぬ質問に驚きを感じる。

(迷惑をかけたのは私なのに・・・)

「そういえば・・・」
「?なんですか?」
「何であんなところから落ちてきたの?」
「あぁ・・・その、不良の人達から逃げてたら気づかなくてそれで」
「そうなんだ・・・まぁこの公園は不良が多いからな。気をつけた方がいいぞ?」
「はい、ありがとうございます」

初対面の人だが自然に好感の持てる人だなと佐天は素直にそう感じた。
ふと、片端に落ちている自分のかばんに気付きそれを取ろうと一歩踏み出したその時。

「っ痛!」

右足に痛みを感じた佐天はその場にうずくまってしまう。

「おい!大丈夫か?」
「あ、すいません。大丈夫です」

あまり心配をかけないようにと言ったがその様子から大丈夫ではないのはバレバレだった。
手を伸ばしかばんを手にするとゆっくり立ち上がり彼に向きなおった。

「今日はありがとうございました」
「家は近いの?」
「え?」
「家ってここから近いの?」
「そんなに離れてませんけど・・・歩いて10分くらいですかね」
「そっか・・・」

彼しばらくポケットから取り出した携帯の画面に視線を落とし、
それからパチンと閉じるとこう言った。

「その足じゃ心配だから家まで運んでやるよ」

そう言われて佐天は自分のかばんに視線を落としそれからまた彼に視線を向ける。

「そんなに重くないですから大丈夫ですよ」

ぎこちなく笑ってみせるが彼は別の反応を示した。

「いや、そうじゃなくて・・・」
「?」

頭にはてなを浮かべる佐天に少年は、
「ほら、かばん横に持って」
「え、はい」

意味を理解できない佐天はいわれるがままにし、

「よい・・・しょっと!」
「ふぇ!?」

我ながら情けない声を出したと思ったがそれ以上に彼がした行為の方に呆気に取られてしまっていた。
それもそのはず。
前にいた彼がいきなり背を向けたかと思うと突然おんぶをしてきたからだ。


「そんじゃ、行くか」
「ええええええと!あの・・・だ、大丈夫ですから」
「何言ってるんだよ。怪我してる女の子見てほっとけるほど俺は非情じゃないんだよ」
「でも・・・」
「いいから任せろって」
「・・・は、はい・・・お願いします」
「おう!んじゃ行くか」

ちなみに彼、上条は背中で少女が顔を真赤にしていることにはもちろんのこと気付いていない。





「そういえば自己紹介がまだでしたね」
「そういえばそうだな。俺は上条当麻。高1だ」
「佐天涙子です。中1です」
作品名:とある二人の無能力者 作家名:ユウト