こらぼでほすと 年末風景6
「そうだな。おまえさん、働きすぎなんだから、ぐうたらすればいいさ。どうせ、二日の初詣から、年少組も合流するんだし。」
「そのまま別荘へ移動しますから、あちらで凧揚げとか羽根突きをやります。あと、カルタを改良いたしました。」
「え? 」
過去、日本語が読めなくて、カルタは失敗したのだが、リベンジしたらしい。カルタの取り札の文字を数字、英字にしたものを作らせたとのことだ。
「坊主メクリでいいんじゃないか? 」
「いえいえ、ママ。カルタも楽しいんです。というか、ご覧になれば楽しいですわ。たぶん、シンとキラが本気で激突しますから。」
全員が読めるスタンダードにすれば、誰だって取れる。それに、場所を広範囲にしてしまえば、探すのも手間がかかって盛り上がるだろう。
「まあ、いいけどな。」
「リジェネ、二日は特区の正装で初詣をいたしますよ? とても可愛いので、ママを喜んでくださいます。」
「正装? 着物ってヤツ? 」
「ええ、着物です。今年は、女の子がいなくて残念に思っていたので、あなたがいてくださって助かりました。」
「こらこら、ラクス。おまえ・・・」
「だって、ひとりぐらい振袖がいないと盛り上がりませんもの。ママ、リジェネの介助をしてあげてくださいね? うふふふふ・・・・可愛い柄です。」
「う? ママは着物じゃないの? 」
「そうですね、ママも着物をお召しいただきましょうか。」
「俺、公衆の場所で女装とかイヤだ。」
「ママのは、男物にいたしますわ。そうでないと、リジェネが助けられません。」
「え? ちょっと待って、ラクス。僕、女装? 」
「いいじゃありませんか、リジェネ。振袖は若いうちにしか着られないものなんです。それに、特区の正装は、どちらにせよ、着物です。綺麗な柄のものは、振袖になるんです。キラも着ますから。」
どうやら、歌姫様は何人かは振袖を着せるつもりで手配しているらしい。まあ、正月だから、そういう遊びもいいか、と、ニールも止めない。
「もっと腹に溜まるものを用意しようか? それとも呑むか? 」
「いいえ、お風呂で温まって、ゆっくり眠りたいです。今日は、隣の部屋に布団を用意してもらいました。三人で一緒に。」
「・・・わかった。じゃあ、風呂入って来い。俺らも、こっちの風呂を使わせてもらう。」
ラクスは、自分の部屋に専用の浴室がある。ニールたちは、客間のほうにある浴室を使って、さっさと入浴してしまうことにした。すでに、年明けして三時間近く経過している深夜だ。
和室の布団に転がると、全員が、ほっと息を吐いて目を閉じる。歌姫様は、うふふふふ・・・と、楽しそうに笑い声を上げた。
「ああ、いい年明けですわ。明日は、パジャマでグウタラデーです。」
「好きにしてればいいさ。」
「僕、ゲームするからね。」
「何してもいいんですよ、リジェネ。お腹が空いたら食べて、眠くなったら寝て、グウタラとは、そういうものです。」
「わかった。ふあーもう、ダメ。・・・・・おやすみ。」
「おやすみなさい。」
「おやすみ。」
三人が挨拶して、照明を落とすと、すぐに寝息に変わる。ぐっすりと寝て、起きたらお正月が待っている。
作品名:こらぼでほすと 年末風景6 作家名:篠義