Wizard//Magica Wish −5−
ミサは右手で彼女をいとも容易く簡単に まどか へと向けて乱暴に投げた。マミは咄嗟にリボンを展開させ簡易なハンモックを作成し ほむら に衝撃が伝わらないように受け止めた。まどか はすぐさま彼女を抱き寄せる…魔法少女の姿で長期間戦っていたのか、服はところどころ引き裂かれ、そこから血が滲みだしている…口からは大量に吐血した後があり、かすかに息はしている。しかし素人の目でもこれはわかる…このままでは ほむら は死んでしまう!!
「ほむらちゃん!ねぇやだよ!!目を開けてよ!!ほむらちゃん!!」
「大変!今すぐ処置しないと!!」
「ねぇマミさん!!ほむらちゃん死なないよね!?」
「落ち着いて鹿目さん!!美樹さん、今すぐ暁美さんの治療を!!」
「わかってます!!まだ死なないでよ、転校生…ほむら!!」
さやか は魔法少女に変身し、ほむら に治癒魔法を使用し始めた。だがよほどダメージが大きかったのか中々傷口がふさがらない…むしろさらに血が流れ落ちていた。まどか の制服は ほむらの大量の血で真っ赤に染まっていた。
「やだよぉ…こんなの酷いよぉ!!あんまりだよぉ!!!!」
「マミ、ほむら と二人を頼む…」
「佐倉…さん?」
杏子は手から血が流れるぐらい強く握りミサを睨む…声が震えている。相当気がたっている証拠だ。それはハルトも同じだった。
「あら、あなたもそこの人形と一緒になりたいの?」
「お前か…ほむら をこんな目に合わしたのは…絶対許さねぇぞッ!!!!この野郎ぉッ!!!!」
「『ドライバーオン』プリーズ!」
「ミサ、覚悟はできているな?少し、調子に乗りすぎたな…」
「あなたたちに私が倒せると思っているの?この…私に!!」
その瞬間、ミサから強烈な魔力の波動が溢れ始めた!!それと同時にミサの後ろから巨大な黒い物体が現れた…それは、魔女…今まで見たことのない魔女、よく中世の絵師の手によって描かれた大きな帽子を被り黒いローブを纏った『魔女』の姿をした魔女だ。
この時マミは気付いたのだ。
何故、ミサという女性は後ろに魔女が現れたのにもかかわらず警戒をしないのか。
いや、根本的にその考えは違う。
あの魔女は彼女を襲うつもりなんてないのだ。
だとすれば…今まで倒してきた魔女を生み出していたのは…!!
「まさか…あなたが魔女を…生み出しているっていうの?」
「魔女、いいえ、違うわ…この子たちは私の手によって作られた『幻影魔女』…名はファントムよ。覚えておきなさい」
「んなことどうでも良い!!落とし前つけさせてもらうぞ!!」
「『フレイム』プリーズ!『ヒーヒー!ヒーヒーヒー!!』」
「さあ、…ショータイムだ…ッ!!」
ハルトと杏子は変身し、ミサへと向かい突っ込んでいく、だが彼女は一歩もその場から動かない…それどころか、どこか余裕そうなのだ。
「…甘いわね」
「ッ!!」
「なっ…!」
瞬間、二人はミサから放たれた風圧で吹き飛ばされ再び地へと戻されてしまった。あの実力は間違いない…彼女は魔法少女としての力を超越している!!
「あなたたち…なにか勘違いしているわね…私は『魔法少女』ではない」
「っ!」
その時、ミサは人間の姿からなにやら『異型』の姿へと変わり始めた。ハルトは察した。やはりあの時感じた違和感は当たっていたのだ。
彼女は人間ではない。
ミサはの姿は大きく変貌した。
それをみた杏子が目を大きく見開く程強烈だったのだ。
その姿は、魔女よりも恐ろしかった。
身体はまるで怪物のようにゴツゴツとした姿へとなり、頭からは無数の蛇が髪が風になびくかのようにうようよと動いている。
ミサの姿を見た魔女はまるで彼女に従うかのように彼女に頭を下げる。
間違いなく、あの魔女はミサの配下なのであろう。
「もう一度聞く…お前は一体何者だ!」
「私の名前はミサ…しかしそれは仮の名前…本当の名は…」
ミサ…いや、怪物は手を大きく広げる。
ウィザードと杏子はいつの間にか身体を震わせていた。
威圧が凄いのだ。それほど彼女はとてつもない力を持っている。
まるで…自分たちが手も足も出ない程…強力な魔力を。
「私は魔女の中の魔女…魔女の頂点に立つ君臨する者…『魔女王メデューサ』」
さぁ、ショータイムよ・・・指輪の魔法使い。
本当の絶望を、教えてあげる。
作品名:Wizard//Magica Wish −5− 作家名:a-o-w