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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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第10Q だから俺のシュートは、落ちん!

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1-相田リコ
練習試合で、私たち誠凛は黄瀬涼太を率いる海常高校に辛くも勝利。
続いてIH初戦では、苦戦するかと思われた新協学園を前に、うちのエース火神くんが留学生パパを凌駕し、勝利した。
そしてIH予選4回戦。福田くんらが「広ぇ~。ここ、本当に学校の体育館か?!」と呟く。
それに対し、
「都内有数のマンモス校だからね。――おかげで今日はすごいもん見れるわよ」
「へ?」
一年坊主たちがはてなマークを挙げている。日向くんがそれに説明する。
「決勝リーグを経て選ばれる東京都代表の三校は、ここ十年、ずっと同じ三校しかない。それらは王者と呼ばれるんだ。東は秀徳、西は泉真館、北は正邦だ。一位は毎年変わるが、力は拮抗しているから、四位以下は寄せ付けない、東京都不動の三大王者だ。今日ここは、2会場分試合をやるから、隣のコートにシード校……つまり『キセキの世代』緑間真太郎が加入した秀徳高校が来る!!」
それを聞いて慌てたように河原くんが言う。
「けど……先輩たちも去年決勝リーグまで進んだんですよね!?」
「まぁ、手も足も出なかっけどな」
日向くんたちは当時でも決して弱くはなかった。彼もいたし。
それでも決して敵わなかったのだ。だけど、だからこそ、
「その雪辱を果たすために、一年間練習してきた!新戦力もある!――今年は、必ず倒す!!!」
日向くんがそう叫んでだのだった。
「とはいえ、何よりまずは目の前の敵だ!集中して、」
言いかけたところで、日向くんの後ろから相手の選手らしい男子たちが歩いてきた。
「おいおい、今日の相手って誠凛だろ?ヨユーだよ!去年の決勝リーグでボコボコにされたじゃん!いくら王者って言っても、あれはねぇよ!新設校が偶然勝ち進んだだけっしょ!!」
うっわー、バカみたいな奴らだわ。
「んん?」
「あれは……」
「うっわあいつら……ぶっ」
火神くん、黒子くんがなんか呟いて、紺野さんが吹き出していた。
「今年もそうならねぇように俺らが代わりに、」
そのうち火神くんに男子の一人がぶつかった。
「ボコボ……って?!!!」
男子が顔を上げ、驚いていた。上から火神くん、横から黒子くん、紺野さんは言った。
「よう、また会ったな」
「こんにちは」
「おひさ~」
なんか、知り合いっぽい。
「ってか、なに、この既に勝ってるみたいな空気?!」
ってな具合で、
こーーーん
明常学院、なぜか引け腰のまま108対41で瞬殺であった。

2-紺野舞
明常との試合が終わった直後、会場がどよめいた。
「おいっ、あれ……来たぞ!?」
どうやら私たちに対するものではなさそうだ。
試合には出なかった私は、――いやだって、あれが相手なら勝てるだろ、絶対!!(爆)みたいに思いながらいた私は振り返った。そう、そのどよめきは、
「今年は特にすげーってよ、三大王者の一角、東の王者、秀徳高校!!!!」
おは朝魔くんを擁した秀徳であった。
不撓不屈のスローガンを掲げ、大きな歓声が体育館に響く。
「来た、か」
二年たちは息を飲みながら見つめる。バカ神くんは、言った。
「ちょっとルーキー同士、挨拶してくるわ」
「ああ……ああ゛?!」
先輩らが止める間もなく、バカ神くんはおは朝魔くんと相対した。
「よう、お前が緑間真太郎だな?」
「……そうだが、誰なのだよ、君は?」
ぬいぐるみをぶら下げたまま、疑問を投げかける。なんかシュールだ。
隣で同級生らしい男子が笑みを浮かべている。
というところで、バカ神くんが手を出した。握手でもするのだろうか?おは朝魔くんも手を出す。
と、流れるように逆の手でペンを出して、サラサラとなにかを書いていた。
遠目で見て察するに、『せいりん10ばん 火神大我』とあった。って、百歩譲って『誠凛』はいいが、『番』くらいは感じで書けよ、と思った。小学生か!!!
書き終わった時、予想通りおは朝魔くんは唖然としていた。
「…………なっ?!!!!」
そりゃ驚くわな。
「普通に名乗っても、いかにも『覚えてない』とか言いそうなツラしてるからな、お前。先輩たちの雪辱戦の相手には、きっちり覚えてもらわねーと」
「子供か、お前は」
最後のは私の呟きね。
おは朝魔くんは、メガネを上げ、怒った顔のまま言う。
「フンッ、雪辱戦?随分と無謀なことを言うのだな」
「あ?」
「誠凛さん、でしょ?その先輩から何も聞いてねぇの?」
笑っていた横の同級生がおは朝魔くんに連なってこう続けた。
「誠凛は去年、決勝リーグで三大王者全てにトリプルスコアでズタズタにされたんだぜ?」
と。
息が止まるバカ神くん、静まる先輩たち。
「息巻くのは勝手だが、俺たちとお前たちとの差は圧倒的なのだよ。仮に決勝で当たったとしても、歴史は繰り返されるだけだ」
その時、ふと手が滑ったのか、おは朝魔くんはぬいぐるみを落としてしまった。
「落ちましたよ」
それを、いつの間にか横に来たホクロくんが拾う。
「過去の結果でできるのは予想までです。勝負はやってみないと分からないと思います。緑間くん」
「黒子……そして紺野か」
私たちを上から睨む。私は手を振る。
まあ、睨みは主にホクロくんに対してだろうけど。
「やはりお前は気に食わんな、黒子。お前の目は何を考えているか、分からん」
次は私を見て続ける。
「言いたいことは山ほどあるが、ここで言っても虚しいだけだ。まずは、決勝まで来い」
またメガネを支える。
「入った理由はともかく、バスケを続けるなら、お前らの考えがどれだけ甘いか教えてやる」
秀徳らのバッシュの音がするなか、私とホクロくんの間に、先程の同級生が来た。ホクロくんの肩を組んで言った。
「いやあ、面白いな、二人とも。あれっしょ、キミ、真ちゃんの同中っしょ?」
ゲラゲラ笑いながらおは朝魔くんを見てから続ける。
「気にすんなよ、アイツ、ツンデレだからさ!」
おは朝魔くんはため息をついてから「いつも適当なことを言うな、高尾」と呟く。
そして秀徳の主将らしき人が二人を呼んだ。
おは朝魔くんは私たちを一瞥してから無言で去り、
「んじゃね!」
と高尾くんは手を振ったのだった。

3―緑間真太郎
バッシュとボールの音が協和音を奏でるなか、俺は言った。
「キャプテン、やはり今日、スタートから出してください」
大きな大坪先輩が振り向き、応じる。
「は?たしか、占いが悪いとかで出たくないんじゃなかったか?」
「いえ、」
理由を告げようとしたところで横から高尾が茶々を入れる。
「あれだろ?昔の友達に会ってテンション上がっちゃったんだろ?真ちゃん、おもしれぇ!!」
「的外れな勘繰りはよせ、高尾。――ちょっとシュートタッチを確かめたくなっただけです」
先輩はため息をついて、
「いいけど、監督から許されるお前のワガママは1日三回までだかんな。あと2回言ったら、」
ゴゴゴゴッという効果音付きで、
「キレっから」
と告げた。一瞬、ビクッたのだよ。
「まあ、」と普通に戻ってから先輩が続ける。
「いつもみたくシュート決めりゃ文句はねぇが、占いが悪いからなんて、言い訳にもなんねーからな!」
と。
俺は左指の細めの包帯を緩めながら言う。
「落ちるわけがない。ラッキーアイテム・クマのヌイグルミで補正されているのですから」
と。

4―日向順平