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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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第10Q だから俺のシュートは、落ちん!

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秀徳のPGが相手を抜き、レイアップを構える。すかさず相手Cが跳ぶも、PGはそこから奥にいたCにパス。
秀徳C・大坪は、そのまま振り返り、ゴールに入れた。
「第二Qの残り四分でもう30点差……」
「王者、か。さすがですね」
マネージャー視点なのか、リコと紺野は呟いた。俺たち男子は静かに見守る。
そのうち、一年の降旗も呟いた。
「でも、やってることは俺らとあんまり変わらないのに、なんかすげぇ簡単そうにバスケをやってるみたいな」
俺はコートから顔を動かさずに、答えてやる。
「それはミスがねぇからだよ」
伊月が続く。
「バスケってのは、常にハイスピードでボールが行き交うスポーツだ。ただパスを捕るのにも、ファンブル、捕り損ねるのは珍しくない」
「けど、強いところは例外なく基本がちゃんとできている。だから、簡単そう、なんて思うんだ」
「だが、ま、あくまでも基本だ。それ以上の理由は当然ある。それは、」
大坪がリバウンドを勝ち取り、一度溜めてから、また跳び、
バンッ
周りの選手が圧倒され、転けてしまった。
それに手を差し出したのだった。
「あんな、圧倒的得点源、スコアラーがいることだ」
一年は彼を見て、興奮し、
「すげぇダンク!!」
「マジあれ、高校生!?」
などと喚く。
隣でリコはボソッと言った。
「まーた一段と強くなってるわね」
「あいつ一人でもダメだったのにな」
と、俺も冷や汗ものである。
――インサイドの大坪が主力、外は普通。
それが去年の秀徳だ。
だが、
「フンッ、五本中五本、か。今日、緑間ってやつ、調子いいんだな」
火神が緑間を見ながら言う。
「そうですか?」
と気のない返事をしたのはもちろん黒子である。
「いや、知らねぇよ。つか、お前や紺野のほうが分かってんだろ!?」
「はいはーい、バカ神くん、ドウドウッ」
「そこまで怒ってねぇ!」
「ごめんごめん。おは朝魔くん見てたら、弄りたくなって」
「なんでだよ!?」
「いやあ、天然を弄るより、バカを弄るのが気が楽になるときってあるでしょ?」
「流れで俺をバカ呼ばわりしてね?って、話脱線しすぎだろ!!」
「はいはい。彼は、緑間くんはね、」
紺野の茶々のうちに、インサイドに固めた相手に対して、ボールを持った緑間は言った。
「ある程度仕方ない?だから、お前らはダメなのだよ」
シュートフォームからボールを高らかに放る。ホント、観客席なんか優に越す高さまで。
って、マジなんなんだ、この異常なループの高さ!普通、そんなんじゃ距離感なんて掴めねぇぞ!
と、同じシューターとして思う。
その間に、緑間とPGが自陣に戻り始めた。
なにやってんだ?
ちょうど俺たちの前に来て、言っていた。
「俺は運命に従っている。そして人事は尽くした。だから、俺のシュートは」
パンッ
「落ちん!」
高らかに舞い上がっていたボールはようやく、リングを掠りもせずにくぐった。
それに合わせて、紺野が続けた。
「彼は、フォームを崩されない限り、100%決める。それが『キセキの世代』No.1シューター・緑間真太郎よ」
会場にどよめきが渡る。
まあ、あんなありえないものを見せられて、なにも思わない奴もいないだろうが。
リコは目を細め、苦し気に言う。
「えげつないシュートね。着弾までの時間が異常に長い。精神的にも来るわね…そして、入る前に彼がDFに戻れるなら、カウンターの速攻もできない、か」
確かにすごい。すごい、が、なにか違和感がする。もしかして、緑間はまだ、もっととんでもない力を隠している気が、俺はした。
瞬く間に試合は終了。
153ー21。圧倒的すぎる。
「うわあ……外はもはや弱点どころか、中より驚異ね。去年までが可愛く見えちゃうわ」
リコはそう苦笑する。
と、緑間が振り返った。
どうやらルーキー同士の視線の会話があり、その後すぐさま俺たちは一度体育館をでた。

5-紺野舞
体育館を出て、小金井先輩と日向先輩は伸びをし、
「よーし、じゃあ帰」
「るなー!!」
それを相田先輩がどついた。
「今日、もう一試合あるのよ!バカか!?バカなのか!?」
怒りのマークを掲げ怒鳴り散らす先輩に、苦笑しながら日向先輩は応じる。
「じょ、冗談だよ。暗いムードだったからさー」
私はただただ先輩らが失念しているかと思ってハリセン構えていたが、遅かったか。代わりに、
「え、マジ?」
と答えたバカ神くんに放った。
「やっぱりバカか!!バカ神か!?ちゃんと表見とけ!!」
「うぅす。っつか、紺野いてぇんだが……」
「自業自得」
やっぱりバカか。はあ。
同じくため息をついた相田先輩は「いい?」と口を開く。
「予選四回戦と最終日は、二試合ずつやるの。5時から五回戦だからね」
バカ神くんをやや睨みながら言い、締めた。
そこからポツポツと先輩らから愚痴が漏れる。
「でも改めて考えると、二試合を1日でこなすとか無茶だよな。時間空くって言っても、疲れは残るし」
「まあな」
バカ神くんがおもむろに表を見た。
「準決勝と決勝も1日でやんのか」
「体力つけなきゃね」
「まあな。ん?てことは、秀徳の前に1試合あんのか」
え、まさか、確認してなかったの?
と呆れた顔をするも、バカ神くんは気にせず聞いた。
「なあ、三大王者って」
「秀徳、正邦、泉真館よ」
「これって……」
「そういうことよ」
「ん?どうした、火神に紺野?」
日向先輩が近づき、見た。
「ん?は?ちょ、カントク、これって……」
「なに?二年生も気づいてなかったの!?」
「いや、だっていつも違うブロックだから、目に入ってなかったわ」
また盛大なため息をついた後、相田先輩は確認するように告げた。
「最終日はおそらく、準決勝は正邦、決勝は秀徳よ!北と東の王者二連戦!!」
男子たちの顔はひきつり、口々に言葉を発した。
「マジかよ!?一時に準決勝、5時に決勝?死ぬし!!」
「ちょっと、これ、なんか弱音吐きそうだぞ」
「弱音どころか無理じゃないっすか!!」
「強いところは人数も多くて層も厚いし……うちほとんどベンチじゃん」
弱々しく嘆く彼らを他所に、バカ神くんは笑みをこぼして、
「ハッ、1日に二試合できて、両方強いんなら、願ったり叶ったりじゃねぇか」
とのたまわった。
それに対し、一年三人は慌てて、
「いや火神、さすがにこれはないって!」
「そもそも準決勝にさえ勝てるかも分かんないのに」
「どんな強がりだよ、なあ、紺野」
「ダサッ」
「はあ?!」
「どうせぶち当たる壁なんだし、わかってるだけマシじゃん。気合いいれていくしかないわよ」
「そ、それはそうだけどよ……なあ、黒子?」
うわ、助け船求めやがった。
ホクロくんは顔をポリポリ掻いて言う。
「すいません、ちょっと楽しみです」
一瞬唖然としてから、三人は慌てたように聞いた。
「はああ!?黒子、まさか火神菌が?」
「なんだよ、火神菌って!」
「それはなんか嫌です」
「否定のしかたムカつくな、おい!!」
「だってバカ神菌だよ」
「最悪です」
「二人ともシバくぞ!!」
それに少し微笑んでから、ホクロくんは当然のように言った。
「でも、ピンチって、なんか燃えません?」
と。
その言葉に先輩たちは揃って笑みをこぼしたのだった。