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氷雲しょういち
氷雲しょういち
novelistID. 39642
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第11Q この試合、絶対勝ちたいです

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1-相田リコ
秀徳の試合を見たあと、IH予選5回戦、白稜高校。
第4Q、8分経過。火神くんらの増強もあってか、点は83-83で同点。
「行け行け誠凛!押せ押せ誠凛!!」
ベンチの声は大きく、隣で紺野さんは肩を大きく上下させ、息を整えていた。
コートでは、黒子くん、火神くん、伊月くんに日向くん、あと小金井くんが出ていた。
「うおっ!」
相手のPGを避け、ペネレイトに踏み込む伊月くん。だが、
ドッ、ドドンッキュッ
「レフェリー、タイム!」
日向君の声が響き、私も伊月くんのもとへ駆け寄った。
「足っつった……」
「大丈夫かよ!?」
「伊月くん、交代す」
「いや、大丈夫……せいぜいあと2分ちょいだろ」
なんとか足を持ち上げ、彼は無事をアピールする。
「それに」
日向くんの目を見て、言った。
「鶴もよく足つるらしいし」
「ダイジョウブダイクゾ。スイマセンレフェリー、サイカイオネガイシマス」
「棒読み早口って、厳しっ!!」
いつものダジャレとスルーをこなす二名である。
しかし、5人全員、滝のように汗が吹き出し、息は絶え絶えである。
やっぱり、一日に試合は半端ないわね……みんな、相当疲れてる。
「ダアホ!!!全員声出てねぇぞ!!!!」
叫んだのは主将である日向くん。
「疲れてんのは相手も一緒だ!!!おとなしくなる前にもっとマシな言い訳考えろ!!!どいつもこいつも草食男子か、バカヤロー!!!!!」
勝負どころのあの掛け声、さすが主将だな、と感心する。
彼の言葉に、火神くんらが呻いた。
「草……おうっ!!」
パスを転換させ、小金井くんに回す黒子くん。しかし、
「うおっと!」
ギリギリのキャッチだ。黒子くんの精度も落ちてる、か。
伊月くんがシュートを撃つが、
ゴガンッ
リングに嫌われた。それを火神くんが押し込む。
「うおぉぉ決まった!!」
「試合終了ーー!!」
89-87。私たち誠凛は、準決勝に進出した。

2-黒子テツヤ
前の席の住人・火神くんがどっさりとパンを置く。そのうちの一つを彼は頬張った。
モギュモギュモギュモギュ
「いつにも増して食べますね」
僕が声をかけ、隣の紺野さんも同意を示した。
「ダメだ、吐きそう……」
それに対して、火神くんは少しの冷や汗を流しながら、僕らを見た。
「むしろ、お前らの方がよくそれだけで足りるよな。昨日に試合してんだぞ。腹減ってしょうがねぇ……」
「何言ってるんですか、ちゃんと筋肉痛です」
「ちゃんと、ってなんだよ。俺もだが」
「私もよ。カッコ笑い」
「なんだ、その言い方」
「なんとなくよ」
いつものようにため息を出す。そして手を挙げ、ピクピクする指を見た。
「けど、昨日の相手は両方共同格か、それ以下だったくせに、ギリギリだった。これじゃ、次の二試合は相当ハードだろうな」
そんな苦言を並べている間に、一年のドアからカントクの声が来た。
「火神くん、黒子くん、ちょうどいいわー。ちょっと来てー」
「私はどうします?相田先輩」
「うーん、一応カモンッ」
「はーい」
と、4人で廊下を歩き始めた。男子二人にDVDが入った大きなダンボールを抱えさせて。
「ちょっと、筋肉痛なんですけど……鬼か!」
「ちょっとー、乙女に荷物持たせるの?そこは頼むよ、おっとこの子~」
「乙女なんて、どこにもいねぇ」
ズドッ、ゲシッ
カントクと紺野さんが、同時に腹と頭を殴り飛ばした。
「痛い!!!」
哀れ、とはもう思わないでおこう。
「っつか、これなんだ?ですか?」
「部室にあった去年今年の試合のDVD。スカウディングにね。なんたって、王者二連戦よ。分析しすぎなんてことはないわ。それで、はっきり言って、正邦・秀徳、10回やったら9回負けるわ。でも、勝てる一回を今回持ってくりゃいいんだからね!」
そういって抱えて視聴覚室に持っていったのだった。

3-緑間真太郎
夕日が鮮やかに空を染める頃、視聴覚室に来た。――俺と高尾で。
ちなみに、ここまでに至るのに、
〈DVD?〉
俺はポケットに手を突っ込んだまま、歩いていた。
〈昨日、撮影部隊が撮ってきたのな。正邦の。俺らだけ一年でレギュラーだからなんも知らねぇしよ〉
〈興味ないのだよ〉
〈アイツらいないからってそーゆーこと言っちゃダメだぞ、真ちゃん。決勝は正直こっちが本命なんだしさ〉
高尾は俺に指をさしながら言う。
〈今日オフだし、帰っても暇だろ〉
〈いや、〉
〈決まり!〉
〈おいっ〉
という流れである。
で、DVDの映像は正邦と北和田の試合だった。
茶坊主の彼がボールを弾き、二人で囲み、レイアップ……
39-8という状況にまで至っている。
それを見て、呟く。
「確かに王者と名乗るだけはある。DFは特に硬いな……ただ、動きが変、いや、リズムが違うのか?違和感を感じるのだよ」
「んー、忘れちまったけど、この学校の練習は特殊なんだと。どうやってっかはわかんねぇけど、機動力がやけに高い。DFなら、東京最強だとさ」
「そうか……」
「って、なんかこの坊主頭、しつけぇな」
高尾の言葉をスルーしようかと、一度黙るが、やはり告げた。
「彼は知っている」
「はっ?なんで!?」
「中学時代、対戦した。当時はまだ初めて間もないとはいえ、黄瀬を止めたやつなのだよ」
「あー、あの誠凛との練習試合のマネっこか」

ピーッ
審判が笛を吹く。
〈24秒、オーバータイム!〉
〈ありっ?!!〉
黄瀬が慌ててこちらを振り返った。
〈黄瀬、テメェ持ちすぎだ、バーカ〉
〈すんませんッス〉
〈だからお前はダメなのだよ〉
〈酷いッス、緑間っち〉
〈死ねばいいのに〉
〈酷評にも限度ってものがあるッスよ、紺野っち?!!!〉
〈黄瀬くん……ちゃんとボール回してください〉
〈あうっ、黒子っちも怒ってる!?〉
〈黄瀬、お前だけだぞ。5人の中でノルマ達成してない奴は〉
〈すんませんッス、主将!でも、黒子っちと紺野っち、〉
〈二人は別だろ。というか、紺野はもう18点。十分だ〉
その言葉に紺野が軽く反発する。
〈試合では女子扱いしないでください〉
〈すまんな。まぁ、それくらい取れれば十分だよ〉
その二人を見て、黄瀬は悔しかったのか、茶坊主の彼に向かって問いただした。
〈くーーっ、名前は?名前!あんたのせいで、俺だけヤキ入れられるッスよ、もう!!〉
〈津川智紀だ。そうか、ヤキ入れられんのか〉
彼は輝く笑顔を振りまいて言った。
〈いやぁ、楽しいなぁ!人の嫌がる顔を見るのは本当に楽しい!〉
〈誰か、このドS坊主のマーク代わってほしいんッスけど!!!!〉
泣きながら黄瀬は言っていた。

「正直、俺も彼とはやりたくないな……」
「けんど、相手するならお前だぜ。DFなら全国クラス……ってか緑間も止められかねねえ……」
映像のなかでは終了のブザーがなり、点数が出た。71-12。
「あららぁ、終わったな。誠凛じゃ、この鉄壁は崩せない。残念だけど、決勝はやっぱこっちっしょ。ちゃんと考えとけよ」
「……わかっているのだよ」
ややイライラしながら俺は呟いたのだった。

4-紺野舞
「ソーエイッ!」「オウ!」「エイ!」「オー!」
体育館に、覇気のある声、バッシュの擦る音、ボールをつく音が木霊する。
ただいまアップをしている最中である。