黄金の太陽THE LEGEND OF SOL
「兄ちゃん、気を付けてね」
年の離れた弟がジェラルドの前に出た。
「おう、行ってくるぜ」
ジェラルドは姉の手を握り、弟の頭を撫でた。
「では…」
「待って〜!」
ロビン達の出発は子供の声で止められた。
子供は小さな体には不釣り合いな物を抱えて息を切らしていた。
「どうしたんだい、オレに何かあるのか?」
ロビンは子供の目線になるようにしゃがんだ。
子供は息を切らしながら答えた。
「こ、これロビンのママから…」
子供は抱き抱えていた物をロビンに差し出した。
「こ、これは…」
長剣である。それも名をバスタード・ソード、相当な代物である。
「どうしてこんなものが…」
「ロビンのママが言ってたよ。これはロビンのパパが若い頃使ったものだって…」
この剣はロビンの父、ドリーの形見の品である。当然ロビンは、
「こんなもの、とても持っては…」
はねつけようとした。
「持っていきなさい、ロビン」
村長が言った。
「きっとキニーはその剣でロビンに無事に帰って来て欲しいと言うんじゃろう」
ロビンは村長の言葉に驚いた。
「帰ってきてもいいのですか?」
村長は答えた。
「当然じゃ、確かに旅立つ事が罰ではあるが、帰ってきてはならんとは約束しておらんじゃろ?だから、役目を終えたら、帰ってきてキニーを安心させてやりなさい」
ロビンは思わず涙が溢れてしまった。
ロビンはすぐに涙を拭い、バスタード・ソードを背負った。
「行こう、ジェラルド…」
ジェラルドはロビンの隣に立った。そして二人は声を揃え、叫んだ。
「行ってきます!!」
村人達も声を揃えた。
「行ってらっしゃい!!」
ロビンはきびすを返して走り出した。ジェラルドも後を追った。
その様子を村の高台より涙ながらに眺めている者がいた。
「行ってらっしゃい、ロビン、体に、気を付けるのよ…」
キニーはその場に泣き崩れた。
ついに、ロビンとジェラルドの世界を救うための大冒険の旅が、今始まった。
作品名:黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 作家名:綾田宗