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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL

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 続いてロビンが、
「皆さん、さようなら…」
 別れを告げた。
「さあ、じいちゃんオレ達を煮るなり焼くなり好きにしてくれ!」
 ジェラルドとロビンはその場に座った。死を覚悟して。
 神殿は、村人全員の声で満たされた。その時、
「待ってください、村長」
 今まで黙り込んでいた神殿の主、大神官が立ち上がった。
「アルファ山の神様が皆さんに話があるそうです」
 神殿内はどよめきだした。村長は咳払いをして村人を静めた。
「それはもう我々に伝わるのかね?」
 大神官は、はい、と答えた。
「準備はたった今整いました」
「では、頼む」
「はい、ただいま…」
 大神官はぶつぶつと何かを唱え、念じ始めた。やがて大神官の体を妖しげな光が包み込んだ。そしてその光が最高に輝いた時、山の神の声が大神官の口を通して、届いた。
『待つのだ村長よ…』
 その声はロビンとジェラルドにとって聞き覚えのあるものであった。
「この声、ワイズマンだ」
 ロビンが言った。
『その者達を殺してはならぬ、そ奴らにはやってもらわなければならぬ事がある…』
 さらに大神官の口から言葉が続けられた。山の神様、彼らのすべき事とは何ですかな、村長は質問した。
『エレメンタルスターを取り戻し、灯台の火が灯るのを防ぐことだ』
「灯台ってのは何なんだ?」
 今度はジェラルドが訊ねた。
『この地より東西南北に別れて存在するもののことだ』
「それはエレメンタルスターが封印されていた女神像があった方角と同じなのか?」
 ロビンが言う。
 今はワイズマンである大神官がこくりと頷いた。
『まずお前達に目指してもらう灯台はここより北東の場所に位置するマーキュリー灯台だ。エレメンタルスターを盗んだ者達もそこへ向かったはずだ』
「しかし、神様」
 村長が言う。
「彼らはソル神殿の禁を犯した者、それを許してもよろしいのですか?」『ハイディアの村長よ、そこまで己が孫に罰を与えたいか?』
 ワイズマンは目を細めた。
「い、いえ私とて罰は与えたくはありませぬ」
『ならばこうしてはどうだ?こ奴らに世界を救うための旅に出させる、これをこ奴らの罰とすれば良かろう』
 村人はどよめいた。
「世界を救うというのはどういうことなのですか?」
 村長は訊ねた。
『錬金術が復活すれば、いずれこの世界は滅びる。それをこ奴らに止めさせるのだ』
 村人はさらにどよめいた。
『異論はあるまい?』
「私はありませんわ」
 1人の女性が神殿に入ってきて言い放った。
 ロビンは驚愕した。
「母さん…!」
 キニーである。キニーはこつこつと靴を鳴らし、ワイズマンやロビン達の側まで歩み寄った。
『お前は何者だ?』
「何を仰いますの?大神官様」
「今大神官には山の神様が憑いているのです。ですから今は大神官ではないのです」
 キニーが目を丸くしたので、側にいる神官が説明した。
「そういうことでしたら、私はキニー、ロビンの母です」
 キニーは鋭く言い放った。
『キニーよ、お前は己が子が旅立つということに抵抗は無いのか?』
「ありませんわ!」
 ピシャリと言った。
『たとえ、すぐに旅立つ事になったとしてもか?』
 キニーは頷いた。
「早い方がいいですわ」
『明日でもか?』
「ええ、明日旅立たせましょう」
 村人はキニーの言葉に驚愕した。殊にロビンが一番驚いていた。
『良かろう、そうまで言うのならそうするのだ。精々旅の準備をしておけ…』
 大神官の体が光った。すると大神官は正気に戻った。
「話は心に届きました。ロビン、ジェラルドよ。神のお導きです。明日、旅立ちなさい」
 こうしてロビンとジェラルドは旅立つ事となった。
    ※※※
 ワイズマンの導きがあった日の夜、ロビンは自室で1人旅支度をしていた。大きめの布袋に旅に役立ちそうな物を詰めていく。 袋の中に村長から譲り受けたアンガラ大陸とゴンドワナ大陸の半分が載った地図に、薬草を五つほど、ミスリルの袋に入ったマーズスター、他にもコンパスも詰め込んだ。ほぼ準備はできた。後は朝が来るのを待つのみである。
――母さん、どうしてあんなにオレが旅立つのを薦めたんだろう?やっぱり怒っているのかな、ソル神殿に入った事を…――
 キニーは既に眠っており、理由を聞こうにも無理である。それに神殿での会合の後の帰り道でも、夕食の時も口を利いてくれなかった。話し掛けても返事をしてくれなかった。
――旅立つ前にどうにかして母さんに謝っておこうか。そうだ、手紙を書こう――
 ロビンは本棚から質素な便箋を取り出し、机に向かってインクの付いた羽ペンで文字を書き始めた。
――母さんへ
 迷惑ばかりかけてしまってごめんなさい。どうしても旅立つ前に謝っておきたかったのです。これからは1人で寂しいかもしれないけど僕は罪滅ぼし為に、そして友達の為に旅立ちます。
 それでは体にお気を付けて、お元気で。

      ロビンより――
 手紙は数分で書き終わった。ロビンはそれを自室の下で寝ているキニーの所へと持っていき、彼女の枕元に置いた。
 キニーの目元にはうっすらと涙の後が残っていた。ロビンはそれをそっと指で拭き取り、彼女の耳元で囁いた。
「お休み、母さん」
 ロビンは自室へ戻っていった。
    ※※※
 突き抜けるような雲一つ無い青空が、心地よく照りつける太陽が旅立つ若者を皮肉にも祝福してくれるかのような朝であった。
 ハイディア村の出入り口である広場にて、村人が集まってくれた。世界を救うためのロビンとジェラルドの旅を見送るために。それはありがたくも思ったが、苦しくもあった。
 17年間も暮らしてきた故郷を出なくてはならない、そういう宿命のもとにあったからである。
「ロビン、これも持っていってくれよ」
 若者はこの広場の池の真ん中にあるエナジーを回復させる作用があるエナジーロックを少し割って作ったエナジークリスタルを手に持っている。
「エナジーを使いすぎたと思ったら使ってくれよ」
「ありがとう、大事に使わせてもらうよ」
 ロビンはそれを笑顔で受け取った。
「ジェラルド、俺からも渡すものが…」
 男が大きな布に包まれたものを取り出した。
「なんだい、これは?」
 男は布を取り去った。出てきたのは大剣、それも力がなければそうそう使えないものだ。
「これは俺が若い頃魔物退治に使っていた物だ。ちいとばかし重いが、なあにジェラルドになら使えるだろ!」
 男は真っ白な綺麗な歯を見せて笑った。
「ありがとう、これはきっと役に立つよ!」
 ジェラルドもまた笑顔を見せた。
 それにしても、と村長
「キニーは結局来なかったな」
 ロビンの母キニーは見送りには来ていない。しかし、今朝ロビンが目覚めた時既にキニーはいなかった。一体どこへ行ったというのか。
「いいんですよ、いない方がすぐに旅立てますから」
 ロビンは微笑を浮かべている。
「しかし、ロビンよ。別れはしなくてもよいのか?」
「別れなら昨日の内にすませたので」
 ロビンの微笑は少しなくなった。
「それでは、村長、皆さんそろそろボクらは出ます」
 ロビンは地面に置いていた布袋を手に取った。ジェラルドも続いた。
「体には気を付けんのよ!」
 ジェラルドの姉が、
作品名:黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 作家名:綾田宗