黄金の太陽THE LEGEND OF SOL
「あら、ジェラルド。いらっしゃい」
キニーが笑顔でジェラルドに言った。
「あ、こんにちはおばさん!」
ジェラルドは慌ててキニーに挨拶した。が、
―――グシャッ―――
ジェラルドが振り返った途端に彼の足元が沈んだ。
「うわぁ!」
ジェラルドはなんとも情けない声を出してしまった。
「ご、ゴメン…」
恥ずかしさと申し訳なさが入り混じった顔でジェラルドが足を引き抜いたところで。
「危ない、ジェラルド!」
ロビンが叫んだ。
「へぇ!?」
ジェラルドはさっきよりも情けない声を出した。
―――バキ、メリ!―――
またしても壊してしまった。
ジェラルドを除く3人は唖然としていた。
「あ、アハハハハ…」
ジェラルドには耳まで真っ赤にして笑うことしか出来なかった。もちろんかなりの苦笑いだが。
「あ〜あ、また直さなくちゃならなくなったわね」
ジャスミンは穴を見ながらロビンを哀れむように言った。
ロビンは溜め息をしながら言った。
「しょうがない…、またやり直すか…」
ロビンは大儀そうに金槌を拾おうとした。
「いいわよ、やらなくて」
キニーから意外な言葉が出た。きょとんとしているロビンに続けて言った。
「私がやっておくわ」
さらに意外な言葉である。
「あなた達には行くところがあるんでしょ?だから行ってらっしゃいよ」
キニーは金槌を拾った。
「母さん、本当にいいの?」
ロビンが心配そうに尋ねた。
「いいから、いいからここは母さんに任せなさい!」
キニーは胸を張った。
「まあまあロビン、キニーもこう言ってるんだし」
ジャスミンが言う。
キニーはジェラルドの正面に立った。未だその場に座り込んでいたジェラルドは慌てて立ち上がろうとした。
「足すぐにどけるよ」
ジェラルドはまだ慌てている。
「あ、待ってジェラルド」
ジェラルドは動きを止めた。
「ゆっくり、頼むわよ」
言われてジェラルドは慎重に立ち上がった。
「それじゃ行ってらっしゃい」
キニーは地面に降りたロビン達に手を振り、見送った。
小さくなっていく息子たちを見てキニーは言った。
「任せろ、とは言ったけどジェラルドったら、どうするのよこの穴」
不機嫌そうに1人作業を始めた。
作品名:黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 作家名:綾田宗