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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL

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第2章 ソル神殿


「おい、やっぱりヤバいんじゃないのか?」
 ジェラルドがジャスミンに耳打ちをする。
「何言ってんのよ、あなたが一番ノリノリだったじゃない」
 ジャスミンも耳打ちで返した。
「だってよ〜、ここって村長に禁じられてる場所なんだぜ。そんな所にその村長の孫であるオレが来るなんて不味すぎるだろ」
「二人とも不安なら帰ってもいいぞ」
 二人の前を歩いていたロビンが振り返って言った。
「私は不安なんかじゃないわよ」
 ジャスミンは強気に答えた。
「不安なのはこの意気地無しよ」
 ジャスミンはジェラルドを一瞥しつつ言った。
「だってよ、このソル神殿に入った者は重い罰を与えるってじいちゃんや神官様も言ってるんだぜ…」
 先述の通りロビン達は禁断の土地、アルファ山のソル神殿へと来ていた。
 あの後ロビン達は村の神殿にお祈りしに行った。その帰りの道でいかにも村人ではない者二人組に引き留められた。
 一人は戦士風の男で、もう一人は奇抜な化粧でめかし込んだ女であった。どちらも屈強な雰囲気を醸し出していた。
 二人に共通して言えることとして、顔の色である。二人とも青っぽかったりと人外なものだった。
 その二人からロビン達は質問を受けた。
「スクレータと言う学者を知らないか」と。
 スクレータとは半年ほど前にハイディア村のある大陸、アンガラ大陸で最も栄えた町、トレビから突然村にやって来て、そのまま村に住み着いた風変わりな考古学者である。
 白髪に整った口髭をした初老の男でいつもトレビ認定の学者に与えられる大きなマントを羽織っている。村人からは変わり者などと呼ばれていた。
 ロビンはその人物のことを良く知っていたが、いかにも怪しい二人組なので知らないと答えた。
 この返答に女の方は憤ったが、男の方は冷静であった。そしてその場から離れることが出来た。
 その後ロビン達はこの事を伝えるべくスクレータの家を訊ねた。すると彼は自宅の前で一人ぶつぶつと考えごとをしていた。
 その声は独り言にしては大きめだったので聞き取ることが出来た。
 その内容によると、ソル神殿についてのようである。ソル神殿へ行きたいという思いが素直に現れていた。そこでジャスミンがそこへ行くことを提案した。スクレータは賛成し、ジェラルドも賛成した。ロビンは最後まで不本意だったが、多数決にしたがい行くこととなり現在に至る。
「うお!?すごい、こんなことまであったのか…」
 スクレータは一人でさっさと神殿を調べていた。その姿は本当に子供のようであった。
「ほらほら、みんな。さっさと先にゆこうぞ!」
 もう完全に自分のことしか考えていない。
 やれやれ、と三人の少年少女は顔を見合わせ、さっさと走り出して行ったスクレータの後を追った。
「あ、そうだ…」
 ロビンはあることを思い出して、しゃがみ込んで神殿の床に描かれた絵を調べているスクレータに歩み寄り、言った。
「スクレータ、先ほどは言いそびれてしまいましたが、あなたに伝えたいことがあるのですが…」
 これにスクレータは
「なんじゃ?」
 と素っ気なく返事した。
「あなたの家に行く前に奇妙な二人組に出会い、あなたを知っているかときかれました」
 それに対してスクレータは驚いていた。
「なんじゃと、あ奴らまだうろうろしておったのか」
「え、スクレータは奴らに会ったの?」
 ジェラルドが言った。
「そうじゃ、奴らこのワシにスクレータはどこかと訪ねてきおった」
 スクレータは調べものをしながら言った。
 その後も彼らはロビン達に同じことを尋ねてきたところから、スクレータは自分だということを言わなかったのだろう。
「あまりに怪しすぎる者どもだったゆえ、名乗らなかったのじゃが…お前たち、スクレータはワシだということを喋ったのか?」
「いいや、喋らなかったわよ」
 ジャスミンが答えた。
「ふむ、まあ良いわい。さっさと奥へ行こう」
 スクレータはすたすたと歩きだしてしまった。なんとも自分勝手なものだ。
 ロビン達も後を追うとスクレータは困った様子で立ち止まっていた。
 みると銅像によって道が塞がれていた。
「困ったのう…、この先に行けば大きな発見が出来そうだと言うに…」
 銅像自体は手で動かすことが出来そうだが、それの周りは水路になっている。近づこうにも近づけない。
「大丈夫ですよスクレータ。ボクに任せてください」
 ロビンが前に出た。
「どうする気なのじゃロビン?」
 スクレータが訊ねたときすでにロビンは何かぶつぶつと唱え始めていた。
「いいから大人しくしてなさいよ」
 ジャスミンがスクレータを宥めたとき、エナジーが発動された。
『ムーブ』
 エナジーの光が銅像を包み込み、動き始めた。
 ロビンがかざした手を右へと移動させると銅像もその手と同じ方向に動いた。そして銅像は水路に音と飛沫をあげて落ちた。
「さあ、これで通れますよ」
 ロビンは笑顔で振り返った。
 銅像のあった所には通れそうな穴が開いていた。
「なるほど、物体干渉のエナジーか。よし進もうぞ」
 例によってスクレータは1人進んでしまった。
 続いてロビン達も後を追っていった。
    ※※※
 突然の爆発によって銅像が破壊された。
「くそ、一体なんなの?この神殿は!」
 奇抜な化粧でめかしこんだ女が声を荒げる。
「落ち着け、メナーディ。すぐかっとなるのは貴様の悪い癖だ」
 傍らで腕組みをしながら壁に寄りかかっている青い顔をした男が宥めた。
「しかし、サテュロス。お前にはこの神殿の仕掛けが解るのか?」
 メナーディが問いかけた。
「さっぱりだ」
 サテュロスはきっぱりと答えた。
 拍子抜けしながらもメナーディは言った。
「やはりここは邪魔なものを破壊しながら進むべきだ」
 メナーディは言って詠唱し始めた。
『デンジャフュ…うわあ!』
 しかしそれは突然発せられた火によって止められた。
「落ち着けと言っておろう。あまり手荒な事ばかりしていては奴らに気付かれるだろう」
 サテュロスの手からは煙が出ていた。
 火を当てられた手をさすりながらメナーディは
「分かったよ…」
 とだけ答えた。
「それにしても、やはりあの老人がスクレータだったか。我らを謀るとは命知らずな事だ」
 サテュロスは続けた。
「しかし、あの知識は使えるな。ふっ、せいぜいこの神殿の仕掛けを我々のために解くのだな」
 サテュロスは不気味な笑みを浮かべた。
    ※※※
「こ、これは…」
 その場にいた誰もが絶句した。いや、絶句するしかないと言えよう。
 その部屋だけが夜の世界となっていたのだ。
 部屋全体が薄暗く、オーロラのようなものまで発生していた。
 部屋の中心には月の紋章が記されており、そこから淡い光が照らされている。
「きれいな所ね…」
 ジャスミンはうっとりとしている。
「おい、こっちの部屋はすんごく明るいぞ」
 ジェラルドが叫んだ。一同はそこへ行ってみた。確かに明るい。まるで昼間のようだ。
「そうか、分かったぞ…」
 スクレータが何かを悟った。
「何が分かったんですかスクレータ?」
 ロビンが訊ねた。
「これこそがこの神殿がソルと呼ばれている所以なんじゃ」
「ゆえん?」
 ジャスミンが首を傾げた。
作品名:黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 作家名:綾田宗