二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 2

INDEX|6ページ/19ページ|

次のページ前のページ
 

第6章 思(おもい)


いくつもの手段を試してみた。しかし、
「くっそ?、あの岩!」
 ジェラルドが悔しげに言った。
「むちゃだよジェラルド、あんなに蔦だの蔓だのがからまってんだから」
 ロビンがジェラルドを宥めた。
 彼らはクープアップを出発後、半日ほど歩いてここ、ゴマ山脈まで辿り着いた。
 このゴマ山脈はとてつもなく高い山々が連なっている。これを超えるなどということは到底無理な話である。越えるのはよほど山を登るのが好きな者、あるいは修行の旅をする神官ぐらいの者だ。
 しかし、何らかの理由でゴマ山脈より向こうに行かなければならない者もそれなりにはいる。その者達のために古の人はそこにある洞窟を自然のトンネルとして堀進めた。このおかげで山越などしなくてすむようになったのだが、洞窟の入り口が岩によって塞がれている。さらにこの付近には人があまり近寄らないのか、岩には手を着けられた形跡すら無いどころか地面の草の蔓に絡まれ、ついには動かないほどきつく縛られてしまったのだ。
「どかすならこの蔦をどうにかしなきゃ」
 ロビンは言った。当然ジェラルドには重々分かっていることであった。
「なら、もうこの手しかねえな…」
 ジェラルドは奥の手を披露した。それは、
『フレア!』
 ジェラルドは手を岩にむけて火を放った。その火は岩に当たりはした。しかし、すぐにブスブスと音を立てて消えてしまった。
「ちくしょう、焼き切るのも無理なのかよ」
 ジェラルドは悔しそうに自分の膝を叩いた。
「随分とお困りのようですね」
 振り向くとそこには少女のような少年がいた。
「イワン!」
 どうしてここに、とロビンは訪ねた。
「あれからルンパ村へ行ってきました。ですが、やはり村には入れてもらえませんでした」
 イワンは経緯を説明した。
「またクープアップ村に戻って無駄に時間を過ごすくらいなら、ロビン達の世界を救う旅のお供する方がよっぽどいいと思い、急いで追いかけてきました」
 なぜ自分たちが世界の運命をかけた旅をしていることを知っているのか、とロビン達が訝しげな表情をしたのにイワンは気付き、
「あの時リードした時に探らせてもらったので」
 エナジーは使っていない、なのに思ったことの答えが返ってきた。やはりイワンと会話するのは怖い気がする。
「それよりも」
 イワンはロビンとジェラルドの間を横切った。
「この山脈の洞窟を越えイミルの地へ行くのですよね?」
 イワンは蔦が絡まった岩の前に立った。
「それにはこの岩が邪魔ですね…」
「岩もだけど絡まった蔦もだぜ」
 ジェラルドは言った。
「でしたら、ひとまずこうしてはどうでしょう?」
 イワンはふと案を思いつき、手をかざした。
『スピ…』
 イワンのエナジーが言い終わらないうちに、ロビン達の後方から風が舞った。
 風は岩の周りを何度も舞った。やがて、ロビン達の間に疾風とともに人が現れた。
 現れたのは少女であり、とにかく綺麗な人物だった。見たことのない服を着ている。上はローブのようなものに、下は足元まであるスカートのようなものだが、よく見るとズボンのように両足に分かれている。現在で袴と呼ぶものだが、ロビン達には分からない。
 腰まである結わえられていない長い髪は、なんの色も混じっていない赤である。
 体長はロビンよりも低く、イワンよりも少し大きい。
 そんな彼女に不釣り合いな刀が手の中にある。それを鞘へと収め、鍔と鞘がぶつかり合う音と共に岩に絡みついていた蔦は全て切り払われた。
「…………」
 少女は無言で唖然とするロビン達を一瞥すると、刀を持っていない右手を岩に向けて、詠唱した。
『ムーブ』
 なんと少女はエナジストであった。それもジェラルドの得意とする
「ムーブ」を使っている。
 ジェラルドのエナジーでも苦労しそうな大岩を少女はあっさりとどかしてしまった。
「………」
 少女は尚も無言できつそうな目をロビン達に向け、洞窟の中へと入っていった。
「なんなんだあいつ?」
 ジェラルドは沈黙を破った。
「とんでもなく早くて動きが全く見えなかったな…」
「しかもエナジーを使いました。あの方はエナジスト、それもかなりの力の…」
 ロビン達は先ほど起こった出来事を振り返った。
「とりあえず、オレ達も中へ入ろう」
 ロビンの提案によって一行は洞窟に足を運んだ。
 ロビン達は中に入って驚愕した。先ほどの少女である。しかも、目の前には、
「魔物だ、魔物に囲まれてるぞ」
 骸骨となっても戦い続ける戦士、スケルトン。妙なオーラを発生させている頭蓋骨ウィル・オ・ウィスプが2体もいる。
「みんな…」
 ロビンの合図とともにそれぞれ武器を持った。
「なんだ、お前たちも来たのか」
 少女は初めて口を開いた。
「だが、これは私の獲物、手出しは無用」
 少女は黒塗りの刀を構えた。その構えはかなり変わったものであった。刀の刀身を鞘から抜いておらず、鞘に収まったままに背後で構えるといったものである。「ははは、こいつは馬鹿だ。1人で我々に向かってくるなど」
 スケルトンが少女を嘲笑した。
「フン、薄汚い魔物が喋るな。今私がすぐに在るべき場所に連れてってやろう」
 少女はスケルトン目掛けて駆け出した、かに思えたが少女はスケルトン達の背後に回った。
「なんだ今のは?ハッタリか?」
………チンッ!……
 スケルトンが嘲笑した時、金属がぶつかり合う音がした。それは少女が刀を鞘に収めた音であった。
「ぎゃああああ!」
 その音とほぼ同時にウィル・オ・ウィスプは2体とも真っ二つに分断され、スケルトンの左腕を落とした。
「どうした?あれでも私はかなり遅く動いてやった方だぞ?」
 今度は少女がスケルトンを嘲笑った。
 スケルトンは斬られた腕から不気味な液体を垂れ流している。
「まあ、そんな状態ではろくに戦えないだろう。次は残像が残らないほど遅くしてやろう」
 少女はまた特有な構えをした。
「ふざけるなぁ!」
 スケルトンは渾身の一撃を放った。しかし、所詮は怒りにまかせた大振りの攻撃である。少女にかわせないはずがない。
「そんな大振りでは当たる気がしないな」
 少女は攻撃をかわしながら笑っている。
「黙れぇ!」
 スケルトンは縦に武器を思い切り振った。当然それは横にかわされ、同時にかなりの隙が出来てしまった。
「お前とのお遊びはもう終わりだ」
 少女は刀を抜きつつ横払いに斬った。刀身はスケルトンの腰骨を断ち切り、上半身と下半身に分断した。
 スケルトンの下半身は吹き飛び、上半身だけが少女の眼下にあった。
「消えろ」
 スケルトンは上半身のみとなり、歯をガチガチとならしている。
『フレア!』
 少女は眼下にあるスケルトンの上半身に手を向け炎を放った。
 それはジェラルドの得意としているエナジーであったが、その威力はジェラルドのものとは比べものにならなかった。ジェラルドの使うフレアはほぼ一直線に相手に向かっていくのだが、少女のそれは炎が飛び交った後爆発を起こした。
 炎の爆発の中でスケルトンは骨のひとかけらも残さず消えた。
「弱い」
 少女は既に納刀した刀を腰の帯に挿した。
「あ、あの」
 ロビンが前にでた。
「なんだ?」
 少女は振り向いた。