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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 2

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「オレ達の事を、助けてくれたのか?」
 少女は方眉を上げた。
「助ける、なんの話だ?」
「え、あ、いや…」
「私は急いでいるんだ、もう行かせてもらうぞ」
 少女はそれ以上は言わず洞窟の奥へと消えていった。
「………」
 ロビンは引きつった笑みを浮かべたまま立ち尽くしている。
「なんなんだあいつ、素直にお礼くらい受けてくれてもいいのに」
 ジェラルドは不平を言った。
「また、会った時に改めてお礼すればいいですよ」
 イワンはジェラルドを宥めた。
「そ、そうだな…」
 ロビンは表情を元に戻した。そして思った。
――なんだかまた、会えそうな気がするな…――
 ロビン達も洞窟の奥へ進んでいった。
    ※※※
『イラプト・ヴァルカン!』
 真昼の草原で突如として2本の火柱があがった。火柱に当たった魔物2体は塵も残さず消えた。
「弱すぎるな、ヴァルカンで充分だったか」
 青い顔をした男、サテュロスは剣を腰の鞘に納めた。
「サテュロス、少しは私の獲物も残してくれよ」
 奇抜な化粧の女、メナーディは不満そうに自身の武器である大鎌をしまった。
「そのうち骨のある奴も出てくる、その時に戦えばよかろう」
「おい」
 サテュロスは後ろを振り返った。ガルシアである。
「俺は手伝わなくていいのか?」
 サテュロスはニヤリとした。
「貴様は我らにとって重要な人材だ。怪我をされては困るのでな」
 ガルシアは食い下がった。
「何を企んでいる、なぜ俺を戦いに参加させて…」 サテュロスの剣の先が言葉を止めた。
「私が企んでいることくらい分かっているであろう?こちらには人質がいるんだ、だから貴様は大人しく言うことを聞いていろ。妹を傷つけたくはあるまい?」
 ガルシアはそれ以上は言わず、答えた。
「分かった…」
 サテュロスはガルシアの喉元に突き付けた剣を引いた。
「それでよい」
 サテュロスは笑った。
 その日の夜、ガルシア達は野宿をしていた。そこには辺りの村などを調べる際にも足手まといになりそうなジャスミンとスクレータが待たされていた。
「お帰り、兄さんどうだった?」
 ジャスミンはガルシアに歩み寄った。
「ああ、この辺にはもう村どころか集落もないようだ。イミルの地まで野宿が続くが、我慢してくれるか?」
 ガルシアは心配そうな顔である。
「うん、私は大丈夫」
 予想に反して明るい返事が返ってきた。
「それよりも心配なのはスクレータなのよ」
 焚き火の前に座っているスクレータは食い下がった。
「こら、ジャスミンワシを年寄り扱いするな」
 言葉と語気から判断するとジャスミンの思う心配はなさそうだ。
「本当に大丈夫か?イミルまであと4日はかかるが…」
 スクレータの気持ちは変わらなかった。
「何度も言わせるでない、ガルシア」
 そういえば、とスクレータは訊ねた。
「サテュロス達はどうしたんじゃ?」「晩の獲物を取ってくるそうだ。俺は帰ってるように言われたから帰ってきたが」
「ヤツら今日の昼も物凄いエナジーを使っとったな」
「ああ、やはり分かるか?」
「遠くからでも良く分かったわい。あれだけの火柱ならのう」
 サテュロス達の力は計り知れない。ガルシアにとってとても恐ろしい魔物も彼らは惑うことなくそれらを簡単に殺している。また、エナジーの力もさることながら、剣の腕もかなりのものである。実際、サテュロスは大きな魔物をエナジーなしで一撃で仕留めたこともある。
 そんな恐ろしく強い彼らである、ガルシアは従うことしかできない。
 突然焚き火に当たるガルシア達の周囲の茂みが音を立てた。
「おお、こんな所に旨そうな人間どもがいるぞ」
 まがまがしい声色で現れたのは巨大な茶色い毛並みの熊、ブラウンベアーに、魔法を覚えた悪魔、ミニマジシャンであった。
「ひい、ま、魔物じゃ」
「兄さん、助けて」 ジャスミンとスクレータはガルシアの後ろに隠れた。
「どうれ、食ってやるとするか」
 ブラウンベアーは爪を立てた。
「く、これでもくらえ!」
 ガルシアは詠唱した。
『クエイク!』
 大地が少し揺れ、小石がブラウンベアー目掛けてとんだ。
「ぎゃああああ!」
 石はブラウンベアーの左目に当たった。ブラウンベアーはそのまま目を押さえて地面にうずくまった。
「おのれ…」 ブラウンベアーは左目を流血させながら怒りにまかせて飛びかかってきた。
「許さんぞ!」
 ガルシアは手をかざした。
『クエイク!』
 また少数の小石が飛ぶ。
『ライトニング!』
 小石はミニマジシャンの雷のエナジーによって砕かれてしまった。
 ブラウンベアーの爪はどんどん近づいてきている。ガルシアは身を守り、目を固く閉じた。
――くそう、これで終わりか!?――
 ガルシアは次の瞬間右半身と左半身とに分かれると思っていた。
『スパイア!』
 石の槍がブラウンベアーの体を貫通した。
「が、ぐお…?」
 ブラウンベアーは何が起きたか分からないまま口から血を出し息絶えた。
 ガルシアもまた何が起こったか分からなかった。目を開けてみるとブラウンベアーの背後だった所にこちらに手を向ける形で青年が立っていた。
 青年は動きやすく、音がたちにくい材質の袖のない服に膝上までの下履き姿である。また、背中までかかる髪を髪留めで上向きに一つにしていた。
「さあ、後はお前だけだ!」
 青年は背後で震えるミニマジシャンを振り返った。
「ぴ、ピギィ!」
 ミニマジシャンは一目散に逃げ出した。
「おっと、悪いが逃がしはしないぜ」
 青年は空中を舞って回り込んだ。
「覚悟しな!」
 青年はエナジーを手先に溜め始めた。
『忍法・竹刺しの術!』
 地面に手を付いた。ついた瞬間ミニマジシャンの足元から竹が伸び、ミニマジシャンの体を次々と串刺しにしていった。 青年がエナジーを解除すると竹は消えていった。
 青年は一息ついてガルシア達に向き直った。
「怪我はないかい?」
 なんとも明朗な青年である。
「あ、ああなんとか…」
 ガルシアははっとして答えた。
「いくら焚き火焚いてても獣は脅かせるかもしれないけど魔物にはきかないぞ?野宿するならちゃんと魔除けの聖水撒いとかなきゃ」
 青年はいいつつ、鞄から何かの液体を取り出した。そしてそれを辺りに撒き散らした。
「これで大丈夫だ。今日は安心して寝るといい」
 青年は満面の笑みである。
「すまないな、何から何まで。良かったら一緒に休んでいかないか?」
 青年は驚いた顔をして、
「いいのか?」
「ああ、せめてもの礼だ」
「でも…さ」
 青年はまごついた。
「どうした?」
「オレ、男とはちょっと…」
 ガルシアが理解するまで少しかかった。そして赤面した。
「そんな事するわけないだろ!」

 ガルシア以外の者はみんな大笑いしている。
「ははは、冗談だって、それじゃお言葉に甘えさせてもらおうかな?」
 ガルシアは名乗った。
「俺はガルシアだ」
「私ジャスミン」
 ジャスミンも名乗った。
「ワシはスクレータというんじゃ。よろしくな」
「ここにはいないが、一応仲間はもう2人いるんだ」
 ガルシアはサテュロス達についても言及しておいた。
「ガルシア、ジャスミンにスクレータさんね…」
 青年も名乗った。