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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 3

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第11章 受け継がれる意志


 コリマ森での呪いの一件が解決した後、ロビン達はイワンの治療のためにもう一度ビリビノの町に戻った。
 コリマの村人のように町中で木にされていた人も無事もとに戻り、道行く人々に自分は木だったと触れ回っていた。実際ロビン達にも絡んできたが、あまりにしつこいので仕方なく呪いを解いたのは自分達だということを教えたら今度は何度も感謝される事となった。「感謝されるついでだマッコイにも恩を売りに行こう」というリョウカの計らいでロビン達は宮殿にも足を運んだ。
 事件が解決する前はまるで取り合ってくれなかった宮殿の者達がこの前の扱いが嘘のように歓迎してくれた。マッコイからは褒美の品が贈られた。
「復活の聖水」という薬であった。ひどい大怪我をして寝込んでいるイワンに飲ませるのにちょうどいい物だった。
 復活の聖水を飲ませるとイワンは2日でほぼ快復した。
 その後コリマ村で許可をもらい、コリマ村の南に位置する跳ね橋を渡って一先ず南西のシーアン村に向かうことにした。しかし、途中のモゴル森で足止めを食らってしまった。見た目は普通の森だと言うのにどこをどう進んでも必ず同じ場所に出てきてしまう。
 どうやっても抜けられなかったロビン達は仕方なく近くにあったフーチン寺に行き、対策と今後について話し合うことにした。
    ※※※
 フーチン寺、そこはロビン達にとって全く馴染みのない場所であった。
 寺には僧侶がいる。ハイディア村でいう神官なのだろうが、格好などはまるで違う。ここにいる者みなが坊主頭である。これがここでの正式な格好であるようだ。
 また、ここでは神に仕えているのではなく仏に仕えているそうである。雰囲気が違うのは信じるものの違いからであろう。
 フーチン寺には寺に伝わる奥義があるそうだ。ここで厳しい修行を積んだ者だけが得られる力である。
 その奥義を使えばモゴル森を越えることができると寺の僧侶に聞いた。ロビン達は奥義を手に入れるべく寺の当主であるニュンパのいる本堂にやって来た。
「すみません、あなたがここの当主の方ですか?」
 ニュンパはあぐらをかいて、目を閉じて座ったまま返事を返さない。
「あの?、すみません!」
 ロビンは再度叫んでみたが全く反応がない。
「コラ、ジジイ!無視してんじゃねえぞ!」
 業を煮やしたジェラルドは罵るように言った。
「駄目ですよジェラルド、そんな乱暴な言い方しちゃあ…」
 イワンは止めようとした。
「オイ、聞こえねえのかこのハゲ!」
 実際ニュンパは禿げてはいないのだが。ロビンには心なしかニュンパがピクッと動いたように見えた。
「もしかしたら喋れない病気なのかも知れませんよ。ボクが心を探ってみましょう」
 イワンはニュンパの前に立ち、手を向けた。
『リード』
 なんと今まで何を言っても答えなかったニュンパが反応した。
『ぬぬ、誰じゃワシの心に語りかけてくる者は…』
 ニュンパは立ち上がった。
「今やったのはお主か?」
「え、いや、あの…」
 リードを見抜かれたのは初めての事だったのでイワンは当惑してしまった。
『リード』
 ニュンパは念じた。
『そ、そんなボクのリードを…』
 この思いはニュンパの心に確かに伝わった。
「やはりお主じゃったか!」
 ニュンパはロビン達の方を向いた。
「お主ら何をしにこのフーチン寺へ参った?」
 ロビンは答えた。
「オレ達、ここの奥義を手に入れに来たんです。この先のモゴル森を抜けるにはどうしても必要なそうで…」
 ニュンパは顎に手を当てて上を向いた。
「確かにあの魔の取り付いた森を抜けられるのは今のところワシしかおらん」
 ニュンパはロビン達を一通り見渡してみた。
 自分の心に話しかけてきた少年は見るからに弱そうである。妙に厚着の少女も同じだ。赤毛の少女は一見出来るように見えるが、精神的な面で弱いところが見える。
 残るはロビンとジェラルドのみとなるのだが、ニュンパが選んだのは。
「よしロビンよ、お主に修行してもらおう」
 ロビンだった。
 ニュンパにはロビンは肉体的にも精神的にもしっかりとしているのがよくわかった。奥義を会得するための厳しい修行にも耐えられるだろうと思った。
 ロビンは指名を受けて驚いたが、二つ返事で承諾した。
「修行の場所は本堂の横の滝の奥じゃ。心してゆくのじゃぞ」
「ちょっと待て、何でオレじゃ駄目なんだよ!?」
 ジェラルドはニュンパに迫った。
「お主、さっきワシをハゲなどと馬鹿にしたじゃろ?そんな事を言うような未熟者に修行には耐えられんわ!」
 やはり、先ほど怒ってピクッと動いたように見えたのは本当だったようだ。
「やってみなきゃ分かんねえだろ?」
「やらんでも分かるわい!」
 お互いに一歩も譲らない。
 できる、無理、と言い争いをしているジェラルドとニュンパを見ていてロビンは苦笑していた。
「あの?、ニュンパさん。別に僕はジェラルドが行っても構いませんよ」
 このままでは埒が開かないと思ったロビンはジェラルドに挑戦権を譲ろうとしたが、
「ロビンでなければ無理なのじゃとお主も分からんのか!?」
 今後はロビンまでが怒鳴られるはめになってしまった。
 自分まで怒鳴られて困惑したロビンは後ろにいたイワン達を見たが、イワンとメアリィはそっぽを向いていた。
「埒が開かないな…」
 リョウカは言った。
「本当だよ。リョウカ何とかならないか?」
 ロビンは泣きついた。
「仕方ない…」
 リョウカはまだ言い争いをしているニュンパ達の間に割って入った。
「失礼、ニュンパ殿」
「何だよ、邪魔すんなよ!」
「いいから少し黙っていろ!」
 リョウカはジェラルドを一喝した。
「…ニュンパ殿、この者の不手際の数々、まずはお許し願いたい。この者の未熟さは我々も重々承知の上です。ですがここは一先ずやらせてみるのは如何かと」
 リョウカの見かけによらぬ言葉にニュンパは圧倒されていた。
「未熟と分かっていながらなぜやらせようとするのじゃ?」
「未熟だからこそ危険だということが分からない、そう言うことです。それに失敗して怪我をするのはジェラルド本人であって我々には何の害もありません。だから未熟さを分からせるためにもやらせてみるべきだと私は思うのです」
 ニュンパは考えた。
 確かにリョウカの言うとおり、失敗して損をするのは自分たちではなく失敗した本人だけである。何もむきになって止めさせようとする必要はなかった。ジェラルドが失敗したら次こそロビンに行ってもらえばいい。リョウカでもいいかもしれない。
「あい分かった。ジェラルド、お主が行ってくるがよい」
 ジェラルドは軽く笑った。
「やっとオレの良さが分かったのか。全く手こずらせやがって」
「私が話を付けたおかげだろ…」 リョウカは振り返りざまに言った。
「ではジェラルドよ。早速この寺の滝壺に行くのじゃ。その奥が修行の場所じゃ」
 ジェラルドは承知したとばかりに笑った。
「へ、任せとけオレがすぐに奥義を手に入れてくるからよ!」
 ジェラルドはお堂を出ようとしたが、もう一度ニュンパに向き直った。
「そういやあんた、オレ達名乗ってもいないのにどうして名前が分かるんだ?」