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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 3

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第12章 預言者


 フーチン寺での厳しい修行によって手に入れた奥義、『フォース』のおかげでロビン達はモゴル森を越えることができた。
 元は草原だったというこの森は魔の力で森へと変貌を遂げたという。
 にわかには信じがたい話だが実際に森の入り口付近にモゴル草原と書かれた立て札があった。
 全てはアルファ山の異変が原因で起こった事なのだとロビンには思えた。もしも錬金術が復活したらどうなるのか、草原に魔が取り付くよりも恐ろしいことになるのではないだろうか。
 ロビンは改めて自分に課せられた使命の重みを実感した。
 フーチン寺からもうすでに文化の違いを体感したが、シーアン村はそれをさらに感じることが出来た。
 建物が石造り、茅葺き屋根のハイディアと違い、完全な木造である。
 着ている物にしたって違う。漢服という民族衣装である。さらにこちらは極少数の人数であるが、後頭部以外の髪を全て剃り、後ろで三つ編みにするという弁髪をしている者もいる。
 また、シーアン村にはもう一つ特色があった。
「ニイハオ、旅の戦士さん達よくきたアル」
 言葉が独特なのである。ロビン達に語りかけてきたのはシーアン村の老人であった。
「戦士さんも絹を買いに来たアルか?」
 結構気さくに話しかけてきてくれているが、ロビンは答える事に困っていた。
「え?っと、オレ達は旅の途中でここに立ち寄ったんですけど…」
 とりあえず無難な事を言うことにした。
「ふむ、戦士さんこれからも旅を続けるアルな?だったら先生チンの道場行ってみるヨロシ。きっと得られることあるネ」
 老人は言うと笑いながら去っていった。
「どうするんだロビン、その道場ってとこ行ってみるのか?」
 ジェラルドは訊ねた。
「でもこの村にはほんのちょっと寄るだけの予定だったしな」
「あの老人は何か得られる物があると言っていたぞ。何が得られるのか知りたいとは思わないか?」
 リョウカも言う。
「う?ん、でも買い物もしないといけないし…」
「買い物だったらボク達がしておきますよ」
「え、いいのか?」
「どうぞ私達にお気遣いなく行ってきてください」
 イワンもメアリィも快く了承してくれた。
「2人もいいって言ってるし、行こうぜロビン」
 ロビンはまあいいか…と承諾した。
「それじゃあ行ってみようか」
    ※※※
 山脈の分かれ道をサテュロス達は歩いていた。
 道は2つに分かれていて、北に行けば鉱山の村アルテイン、西にまっすぐ進めばラマカン砂漠を経てカレイの町まで行くことができる。
 サテュロス達はモゴル森を越えるのにてこずってしまったせいでロビン達に追いつかれてしまっていた。
「まさかシーアン村に奴らが来ていたとはな…」
 サテュロスは言った。
 サテュロスはシーアン村にロビン達がついた時にすぐに村を出た。しかし、気付かれて追いかけてこられでもしたら厄介である。
「どうするサテュロス、恐らくまたラマカン砂漠で手こずることになるぞ」
 ラマカン砂漠は魔の取り付いた灼熱の砂漠である。越えるのには相当な苦労をする事になるだろう。しかしサテュロスやメナーディだけならばモゴル森だって何の苦労なく越えることはできた。
 ではなぜ苦労する事となったのか、その理由は女子供と老人がいるからである。スクレータはまだ旅慣れている方だったが、ジャスミンが問題だった。
 普通の平野などを行くのはまだいいが、山だの険しい道を行くとほぼ確実に倒れられてしまうのだ。サテュロス達の旅の仕方に原因があるのだが、このまま行けばラマカン砂漠では確実に足止めをくらう事になるだろう。そんな所にロビン達に出くわしてしまったら非常に厄介な事態になるのである。
「こうなったら仕方あるまい…」
 サテュロスは言った。
「メナーディ、シン、手伝え」
 サテュロスは手招きをした。
「一体何をするっていうんだい?」
 シンは歩み寄った。
「この辺り一体を破壊し、しばらく通れんようにするのだ」
 メナーディは笑みを携えて了解したが、シンはそうはいかなかった。
「破壊するって、そんな事をしたらリョウカ達以外の人達も通れなくなるだろ。そんな事は出来ない!」
「そ、そうじゃ。ロビン達だってすぐには追ってはこないはずじゃ」
 スクレータもおずおずと異議を唱えた。
「スクレータ、頼むから黙っていてくれ…」
 ガルシアは辛い表情で言った。
「でも兄さん…」
「ジャスミンも分かってくれ…」
 ジャスミンはそれ以上何も言わず、俯いた。
「ガルシア…、…分かった。サテュロス、言うとおりにしよう…」
 シンも仕方なく従うことにした。
「ふん、分かっているようだなガルシア。ではやるぞ!」
 3人は岩山に向かって念じた。
『イラプトヴァンカン!』
『デンジャラクト!』
『マザーガイア!』
 サテュロスの極太の火柱が、メナーディの大爆発が、シンの大地から湧き出す力が岩山を砕いて大規模な落石を引き起こした。
 砂煙が消える頃には最早道などではなくなっていた。
「さあ、先を急ぐぞ」
 サテュロスとメナーディはさっさと歩き出した。
「俺達も行こうか…」
 ガルシア達も後に続いた。しかしシンだけが留まっていた。
「シン、どうしたんだ?」
「いや、何か人の声がしたような気がしてさ…」
 ガルシアは耳を澄ましてみたが、何も聞こえない。
「いや、オレの気のせいだな。行こうか」
 シンは歩き出した。
 ガルシアは落石を一瞥して、皆の後に続いた。
    ※※※
「!?、コウランの予感当たってしまったアル…」
 シーアン村の道場の一室で薄紫色の瞳の少女は言った。
 名をコウランという少女は部屋を出ようとする。
「待つアル、コウラン、まだ話は終わってないアル」
 一緒に部屋にいたナマズのような髭を生やした男はコウランを引き止めた。
「父さん、止めないで欲しいアル。私の予感、当たって山脈の分かれ道、落石起きたアル」「確かにコウランの予感したこと、何度か同じになってるアル。でもそれ全部偶然のことヨ」
 ここ数ヶ月のうちにコウランは数々の事を予言してきた。さらに驚く事にすべて的中しているのである。
「偶然違うアル。私、モゴル草原、森になること予感した」
 これは的中している。
「私、アルテイン村水浸しになる。予感した」
 確かにシーアン村にもそんな知らせが届いている。
 父親は唸った。
「今回だってそうアル。ウルムチ帰り遅いの落石に巻き込まれてしまったに違いないアル…」
 コウランはすぐさま駆け出した。しかし父親に腕を掴まれて引き止められた。
「心配ないアル。ウルムチラマ寺のハモ様の所に行った。帰り遅いの当然のことネ」
 コウランは乱暴に父親の手を振り払った。
「分からず屋の頑固親父ネ!」
「コウラン!そんな事言う、父さん悲しいアル」
 コウランは駆けて部屋を出た。
「ごめんくださ…うわ!」
 道場に入ったロビンはコウランに突き飛ばされた。
「コウラン!」
 後に続くように道場の片隅の部屋から父親も出てきた。しかしコウランはもう道場から出て行った後だった。
「痛ててて…」
 尻餅をついて立てないでいるロビンにコウランの父親は気が付いた。
「大丈夫か、ロビン」
「ああ…今立つよ…」