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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 3

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 ジェラルドから差し伸べられた手を受け取ってロビンは立ち上がった。
「あなた達、戦士さんアルか?」 コウランの父親は訊ねた。
「ああ、そうだよ。オレ達村のお爺さんに勧められてここに来たんだ」
 ジェラルドが答えた。
「ふむ、なるほど。私、この道場の師範のチン・シュウランというアル。戦士さん達、先ほどは恥ずかしいところを見せてすまないアル」
 チンは名乗り、右拳を左手で包むようにして礼をした。これがシーアン村の礼法のようだ。
 恭しい礼を受けて、ロビンとジェラルドはおどおどしながらそれに応じた。「あの、チンさん。大丈夫なんですか?あの娘出て行っちゃったみたいですけど…」
 チンは特に焦る様子なく答えた。
「心配ないアル。コウラン1人じゃ山脈の分かれ道行けないし、もし行けたとしてもコウラン、エイヤできるネ」
「エイヤ…」
 チンの口からもエイヤと言う単語が出た。シーアン村では村人のほとんどがエイヤというものができるらしい。フーチン寺の奥義のようなエナジーなのではないかとロビン達も考えていたのだが。
「あの、お尋ねしますがそのエイヤというのは手を使わずに物を動かしたりする力の事なのでしょうか?」
 チンは眉をひそめた。
「戦士さん、もしかしてエイヤできるアルか?」
「ええ、まあ似たようなものなら…」
「そうアルか、では…」
 チンは練習中の弟子を呼びつけて、何やらひそひそと耳打ちをし始めた。 弟子は指示に了解すると一旦道場の外に出て、かなり太い丸太を担いで持ってきた。それを道場の真ん中に立てた。
「そこの床にラインがあるネ。そのラインの外側からエイヤしてあの丸太倒してみるアル」
 ロビンは床を見た。確かに白いラインがある。丸太までの距離は6メートル弱といったところだろうか。確かにこれはエナジーのようなものでなければ倒せないだろう。
「よし、オレに任せとけ!」
 ジェラルドは自信満々に前に出た。ラインの前まで進み、立ち止まる。そこで念じた。
『フォース』
 ジェラルドは詠唱とともに手を前に突き出した。体にため込まれたエナジーが一気に手に集まり、放出された。エナジーの衝撃により丸太は大きな音を立てて倒れた。
 道場の弟子達は驚きと感嘆の声を上げていた。
「先生チン、見たアルか?戦士さんエイヤした」
 弟子の1人が言った。しかし、チンは訝しげに目を細めているだけだった。
「戦士さん、すまないアルがもう一度やってくれないアルか?」
「別にいいぜ」
 ジェラルドの了解を得たところでチンはまた弟子に丸太を立てさせた。
 ジェラルドはもう一度集中する。
『フォース』
 先ほどと同じくエナジーの衝撃で丸太が倒れた。
 チンは訊ねた。
「戦士さんもしかしてフーチン寺行ってきたアルか?」
 ジェラルドは肯定した。
「やっぱりアル…」
 チンは納得した様子であったが、同時に少し残念そうでもあった。
「先生、戦士さんのあれエイヤじゃないアルか?」
 チンは首を振った。
「とても似てるヨ、でも違うネ」
 弟子にはよく分かっていない様子だった。そこでチンは説明した。
「ハモ様のエイヤは体の力手に集めて遠くの物倒す。それに対してフーチン寺のフォースは精神力を使うネ」
 チンは続けた。
「体の力、限界すぐアルけど精神力の限界ずっと先アル。だから精神力ならどんな力でも出せるアル」
 弟子は理解できたようだった。
「さあ、みんなは体の限界に挑戦するアル。できるまで練習、練習ネ」
 弟子は修行に戻っていった。
「あの、師範…」
 リョウカはラインの前まで歩み寄った。
「あなたの話を聞いて思ったのですが、エイヤとはこんな技の事なのでしょうか?」
 言うとリョウカは力をため始めた。右の拳を固く握り締め、体の力全てをそこに集中させる。やがて力が最大限に集中したとき、リョウカは拳を突き出した。
「えええい!」
 突き出された拳から目に見えない力の流れが丸太にぶつかり、引きずられ、壁にぶつかって縦に割れて両側に倒れた。
 チンを含めてそこにいた全員が驚いていた。
「戦士さん、これアル、これがエイヤアル!それも私より凄いエイヤネ!」
 チンは驚きのあまり開いた口が塞がらなくなっていた。
「リョウカ、お前こんな事ができたのか?」
 傍らにいたジェラルドが一番驚いていた。
「話を聞いてたらできそうな気がしてな。ここまでできるとは私も思わなかったが…」
 当の本人にも少なからず驚きがあった。
「…精神の力も、エイヤも使える戦士さん達に頼みがあるネ。聞いてくれるアルか?」
 突然チンは神妙な顔で切り出した。ロビンがどうしたのか訊くとチンは答えた。
「さっき戦士さんにぶつかっていったのは私の娘アル。コウラン言うけどなかなか頑固な子アル。だからきっと西を目指して行ったに違いないアル。さっきああは言ったアルが、やっぱり父親として心配アル。戦士さんコウランのあとを追ってくれないアルか?頼むの事ネ」
 西といえばロビン達の目指す先である。それに困っている人を助けるのは人として当然の事である。
「分かりました。僕らも西を目指していたところでしたので」
 ロビンは二つ返事で快諾した。ジェラルド、リョウカも了承してくれた。
「おお、行ってくれるアルか。すまないアル戦士さん。コウランは多分まだそう遠くへは行っていないはずネ、できるだけ急いでお願いするアル」
    ※※※
 アルテインは鉱山で栄えた村である。鉱山で時折見つかる宝物のおかげでここまで栄えることができた。
 鉱山の奥には古代の遺跡があるらしい。そこには石造りの像がまつられていた。名をハイドロスタチューという。昔から水に困っていたアルテインの村人が水の神として崇めていたものだった。
 ある日、ハイドロスタチューに魔が取り付いた。以来鉱山から出てきては水を絶え間なく出し続け、ついにアルテイン村は水浸しとなってしまった。
 もともと高低差のある土地だったので村人は高台に避難することで助かった。
 アルテイン村の鉱山は山脈の向こう側に通じる道があった。山脈の分かれ道が落石で通れなくなってしまった以上、鉱山を抜けるしかなかった。
 ロビン達は鉱山を抜けるべく、ハイドロスタチューを退治しに向かっていた。
「嫌だな…、こんな水の多いところは」
 生来水の苦手なかなづちのロビンは口を尖らせた。
 鉱山の中までが所々水浸しである。地盤も相当緩くなっていそうだ。
「ロビン水苦手アルか?でもここ通らないとラマ寺行けないのことヨ」
 コウランは言った。
 コウランは山脈の分かれ道で落石によって塞がった道に足止めされているところでロビン達と合流した。どうせラマ寺に行くのなら1人よりもいいというロビンの意見によるものだった。
「しっかしこの鉱山迷路みたいだなあ…進んでいる気がしねえよ」
 この鉱山は広く、道も入り組んでいた。長い間使われていないせいか魔物もたくさんいた。 さらに今までトロッコに乗ったりレールを操作したり岩を持ち上げたりと様々な事をしてきた。ただ進むだけでこれほど大変なのである。この鉱山を掘り進むとなればかなり大変な事だろう。
 歩いているうちにロビン達は行き止まりにさしかかってしまった。