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Angel Beats! ~君と~

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そもそもの始まりは小枝が足を絡ませ、こけそうになった所ひさ子がキャッチした。
それで済めば良かったのだが、運が悪いことに豊満な胸が顔にうずくまったのだ。
本人が一番気にしている胸。
本人が地雷を見事に踏んだ。

「ケガしなくて良かっただろ!?」

「心に深いキズが残ったよ!」

正直、どうでも良かった。
ここに居る全員がそう思った。
そこに起きたての遊佐が入ってきた。

「落ち着いて下さい、りんりんさん。十年後の貴女は立派になってるじゃないですか」

※作者の小説家になろうの活動報告参照

「うー…」

「という設定がありましたね」

「うん」

「あれは破棄されました」

「うわあああああああああああああああん!!初音ちゃあああぁん!!!」

「うわ!?小枝さん!?遊佐さん余計に泣かしちゃいけないよ!」

※本当に破棄されました

「何でしょうね、何か私…うーん、イジめたくなる……と言いましょうか…」

自分より年下で尚且つ身長が上の初音に抱き付いて本気で泣いている小枝を見て、遊佐は頬を左の人差し指でかきながら言葉を考える。
小枝の頭を撫でる初音に入江がそっと近付き耳打ちをする。

「初音ちゃん、寝起きのゆさゆさはドSになるんだ。気を付けてね」

「え?そうなんですか?」

入江の耳打ちに驚かない初音は大体そんな気がした。
羽方を捩(ね)じ伏せたり、アニキの性格を変える程プライドをぶち壊したりしてきた所を見てきた為なのだろうか。
別にそれを見ただけで、寝起きのドSの遊佐を嫌いになる訳でも無い。
むしろ尊敬したくなる。

「あの…」

見かねた霧島が上着を脱ぐゆりに聞く。

「?大丈夫、大丈夫。いつもあんなアホ供だから気にしなくて平気よ」

「…そ、そう…なんですか……(なんだか解る気がするな……)」

霧島は己の胸を見た。
そして、ゆりの胸を見た。

「…はあ……」

自然に溜め息が出た。
そんな霧島に関根がイタズラする目を輝かせ、背後に迫り、腕を素早く回し、膨らみに両手がガシリと優しくロックした。

「わひゃっ!?」

「うんうん、新鮮な反応だよのールリルリ」

予想通り、想像通り、想定内、想定通り、この文字が関根の脳内に浮かぶ。
入江の胸を時々掴んで驚きの顔と声を楽しんでいたが、たまにはこういうのも良いだろう。
ゆりは特に気にかけず、まーたやってるわ、という表情を出しながら服を畳む。

「旅館で定番と言え―――あれ?」

違和感を感じた。
揉んでいるものに不快感を感じた。
入江とは違う。
胸の柔らかさが違う。
色々違う。
顕著に違う。
明らかに違う。
見えない何かが違う。
入江の胸を揉んで一筋5年、たまにひさ子の胸(もちろん、はたかれる)とは違う。
そう、これは、







「……パッド…?」







霧島はその言葉を聞いた瞬間、視界がぼやけ、歪み、お湯に入ってもいないのに目から水が出る。そして喉から小さい嗚咽が出る。
同時に関根の背後、ゆりの視線が痛い程に針が刺し尽くしていた。
一人だけが仲間だ、と言う顔をしているのは気のせいだろうか。





「バンドから外れろ。いやむしろ止めちまいなよ」




沈黙を突き破り、解雇宣告を下す岩沢。
それを聞いた関根は顔から血が全て抜けきった。


「そそそそ、そんな!ウゾダドンドコドーン!!ごごごめんね!!?そんなつもり無かったの!ね!?ごめん!ごめんなさい!許してちょんまげ!!!」

この夏、本気の土下座をすることとなるとは知らなかった。

作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影