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Wizard//Magica Wish −6− 前編

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「『バインド』プリーズ!」
「はぁっ!…っ!?」


「どこを狙っているの?」

ウィザードはメデューサに向かって拘束魔法を放った。だがメデューサはまるでウィザードが自分に何をしてくるのかわかっていたかのようにひらりとかわす。そのまま勢いを殺さずメデューサは一気にウィザードの間合いに移動し懐から剣を抜きウィザードへと放った。
「へぇ、意外にやるのね」
「あ、危なっ…」
咄嗟にウィザードはウィザーソードガンで防御した。だがあと少し反応が遅れていれば無残に斬りつけられていただろう。それほど彼女の動きが自分の目に見えていなかったのだ。


「くそっ!なんなんだよこの魔女は!!…いや、幻影魔女−ファントム−っていったか!!」


杏子はメデューサが召喚した「比岸の魔女」と対峙していた。
近づこうとしても何もない空間から魔力波を放つためこれといった一撃を与えることができなかったのだ。杏子は懐に飛び込んでからの爆発力は凄まじい反面、防御は苦手なため、動きが読めないこの魔女はまさに天敵だった。

「あぁもう腹立つ!…だったら…一気に加速だぁ!!」

「やめろ!杏子ちゃん!!」
「あら、随分余裕なの、ね!!」
「ぐあっ!!…く、くそ!!」

ウィザードの警告も聞かず頭に血が上った杏子は比岸の魔女へと突撃を挑んだ。その速度はウィザードでさえ認識出来ない程である。
「ぬあぁぁぁぁぁ!!!!…っ!!?きゃぁぁぁ!!」
しかし、それは過ちだった。
比岸の魔女の前ではそれは何の意味もなく、何もない空間から無数の魔力波が杏子へと降り注がれた。自分でも認識できない超スピードのため反応できず、全て直撃してしまったのだ。
ボロボロになった杏子は無残に地面へと墜落し、息を切らしながらなんとかその場に立とうとする。地面には幾つか血が落ち、意識を保つのがやっとである。


「杏子ちゃん!…くそ、邪魔だ!」
「その程度なの?指輪の魔法使い…期待はずれね」
ウィザーソードガンで何度もメデューサを切り裂こうとする…が、全て避けられ己の体力が減って行く一方だった。息が荒くなってきたウィザードにメデューサは頭から無数に生えている蛇の触手をウィザードに放った。
「ぐっ…うあぁぁ!!あっ…あぁぁぁぁぁ!!!!」
自分の両手両足に蛇の牙が突き刺さる。肉が切り裂けられポタポタと血が流れた…蛇はウィザードにかぶりつき顎を休めることなく捕食しようとしていた。
「『ビッグ』プリーズ!」
「うっ…はぁぁぁ!!」

「っ!?まだ魔法を使える力があるなんて…」

ウィザードは噛まれながらも無理やり魔法を使用し、巨大化した右手で蛇を蹴散らした。その巨大化した右手でそのまま比岸の魔女を押し倒し、杏子の元へと向かった。

「はぁっ…はぁっ…だ、大丈夫?杏子ちゃん」
「へへっ…ハルトもボロボロじゃね~か…」

戦闘を開始してやや5分で既に2人は追い込まれていた。予想以上に相手の実力が高すぎたのだ。自分たちの中でもかなりの実力をもった ほむら がやられてしまう理由もこれで納得できてしまう…。魔力はまだあるが身体が持たない。しかもまだ相手にはまともな一撃すら当てていない状況だ。

「先程の勢いはどうしたのかしら?それとももうお手上げ?」

「じょ~だん!!…まだだ、まだ終わらせないよ!」
「さっすが杏子ちゃん、俺もうボロボロなんだけどね」


「なら、もう終わらせてあげるわ」
「っ!!…えっ」
「どうしたの?…ふふっ…」

一瞬、自分と杏子の間に風がとおり過ぎた気がした。
だが、それは風ではなかった。
「あら…近くで見ると可愛い顔しているのね」
「あっ…」
杏子のすぐ後ろに、メデューサの姿があった。
そうだ。彼女は一瞬で自分たちの背後に移動したのだ。
メデューサは人間の姿であるミサへと姿へ変え、自分より頭一つ分背の低い杏子の顎を持ち自分の目線を合わせる。杏子は犬のようにミサを睨み付けるが、それがミサにとっては面白かったのか、不敵な笑顔を見せる。

「離せよ…この野郎…っ!!」
「あなたは一体何を強がっているの?本当はそんな口の悪い子ではないのでしょう?」
「黙れ!!ぶっ殺すぞ!!」
「そろそろお仕置きの時間ね…あなたもあの人形みたいに死になさい…っ!!」

ミサは空いているもう片方の手に剣をもち杏子の胸元目掛けて付きさそうとした!
「杏子ちゃん!」
「ハルトくん、下がって!ティロ、ボレー!!」

「っ…」
「なぁ!!?」

瞬間、二人の間に魔力砲が放たれた。
杏子はこのチャンスを逃すことなく一気に後ろへジャンプする。
「間一髪ね」
「助かった、マミ…」
「もう、だからあれほど一人で走らないでって言っているじゃない!ここは私に任せて!」

「マミちゃん、油断しちゃダメだよ…あいつ、かなり強い」

「えぇ、さすが『魔女王』を名乗るだけあるわね」



「私にかすり傷を与えるなんて…あの子、やるわね」


ミサの頬にはうっすらとかすり傷が出来上がり、血が頬に沿って流れていた。ミサにとってはかすり傷すら当たることが非常に稀らしい。

『魔女王』
今日、始めて聞いた言葉だ。
今まで魔法少女たちは闇雲に魔女を倒してきた。だが、どの魔女も地位というものは存在せず、あるとすれば「魔女」か「使い魔」のどちらかだ。
だが、目の前にいる彼女はその魔女の中でもかなり上の存在、いや頂点である「女王」なのである。しかも間違いなく彼女は全く本気を出していない。あの異型な姿も本来の姿とは到底思えない…まだ、力は隠しているはずだ。


「一つ質問して良いかしら、魔女王さん」

「何かしら。今の私は機嫌が良いから答えてあげるわ…ただ、言葉には気を付けなさい」

「…っ……、あなたは自分の事を魔女と言っていたけれど、自我を持つ魔女、しかも言葉まで話せる魔女なんて始めてみたわ。正直、本当にあなたが魔女だなんて思えないのだけれど」

「面白い事を言うのね…だったら、逆に質問するわ」

ミサは剣をしまい、両手を広げて空を見上げ、ゆっくりと周り始める。
一見すれば隙だらけである。だが自分たちにはわかる。
もしここで攻撃すれば、やられるのは自分たちだ。

…彼女の周りの空気が、とても重く、氷ついている…。

「なぜ、あなたたちは自分の目で見た物でしか認識出来ないの?…例えば私の存在がそう。あなたたちは最初に私を見たとき『魔法少女』と呼んだわ。それは一体何故?何故私が魔法少女だと言い切ったの?私が魔法を使えたから?そんなちっぽけな理由じゃないでしょうね…現に私の目の前には『男』という立場でありながら自由に魔法を使える魔法使いだって存在する。それは、昔からあなたたちは知っていたの?違うわよね…つい最近知ったのでしょう?だったら昔から魔女の頂点に立つ存在あったとしても何もおかしくもないわ…しかも、頂点に立つ女王には人間に限りなく近い個体を保っていられるなんて特権があるなんてこともあるのよ?」

「だったら、張り切ってあなたをやっつけないとね、このままあなたをこの世に存在させておく訳には行かないわ」
「マミちゃんの言うとおり、…それに、まだ ほむらちゃんを痛めつけた代償を払ってないよ」