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機動戦士ガンダムRS 第8話 敵軍の歌姫

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少女は、空中遊泳したままサオトメたちを通り過ぎようとしていた。
少女は、空中遊泳に慣れておらずどうしていいかわからない状態だった。
サオトメは、少女の手をとって床に立たせた。
「ありがとう」
「いいえ」
 少女は、サオトメに礼を言った。
少女は、サオトメの着ている軍服の所属マークを見て驚いた。
そして少女は、なぜだか困った。
「まあ、これは地球軍の船ではありませんのね?」
「ここは、コロニー軍の軍艦内です」
 サオトメは、困った少女に現状を説明した。

            ※

 宇宙軍庁近くには、パイロット育成用の施設もありトレーナー用のマン・マシーンが多数配備されていた。
宇宙軍庁所属の宿舎の1室では、ケイト准尉が出発までの間にシャワーを浴びた。
アル・ギザには、シャワーが完備されているが水の使用に制限があり好きなときにシャワーを浴びるということができない。
そのためこういうときに体を思いっきり洗いさらに気持ちをリフレッシュする役割もある。

            ※

 キラは、引き続き補給作業で動けないアークエンジェルの直掩任務に就いていた。
すると1機のジン長距離強行偵察複座型が周辺を調べているのに気づいた。
「何してるんだろう?」
 キラは、ジン長距離強行偵察複座型の近くに行った。
向こうもストライクガンダムの味方識別コードを持っていたらしく友軍機として近づいてきた。
「そちらのモビルスーツに聞く。
このあたりで救命ポッドを見なかったか?」
「いいえ」
「そうか」
 キラの回答にパイロットは、残念そうに答えた。
「そちらの母艦に連れて行ってくれないか?
事情を話す」
「わかりました」
 キラは、ジン長距離強行偵察複座型をアークエンジェルまで誘導した。

            ※

 アークエンジェルに着くとパイロットは、ブリッジに上がった。
「自分は、行方不明になったラクス・クライン捜索の任に就いています」
 その報告にラミアス艦長たちは、驚いた。
「ラクス様が乗っていたシルバーウィンドは、スウィート・ウォーターの追悼慰霊団視察のためデブリベルトに向かっていました。
しかし昨日その消息を絶ちました。
自分は、先ほどデブリベルト内で大破したシルバーウィンドを発見しましたがラクス様は発見できず救命ポッドもなくなっているのに気づきました」
「そんな」
 皆のショックは、計り知れなかった。
「この艦は、月本部へ向かう特務を受けています。
捜索は、できないんです」
 ラミアス艦長は、悲しそうに言った。
「かまいません。
月本部へ向かっている最中にあたりを探してもらうだけで十分です。
では」
 そういうとパイロットは、敬礼してブリッジを後にした。
ラミアス艦長も敬礼して見送った。

            ※

 サオトメ、シグマン大尉とサウス中尉は少女から事情を聞いていた。
「ポッドを拾っていただきありがとうございました。
私は、ラクス・クラインですわ」
 ラクスは、自己紹介するとピンク色の小さいボールがしゃべった。
「これは、友達のハロです」
 ハロと呼ばれるロボットは、意味を成さない言葉をしゃべり続けた。
そのマイペースさとハロの自由さにシグマン大尉は、ため息をついた。
「やれやれ」
 サオトメも自分のまいた種とは、いえ先が思いやられると頭を抱えた。
 ドアの外ではアイリス曹長、キグナン・クム少尉、コール・サマン曹長、シーサー・ベイ少尉とトリッピー曹長が野次馬として聞き耳を立てていた。
「なんていってる?」
 キグナン少尉がコール曹長に聞いた。
「聞こえない」
 しかしコール曹長には、聞こえなかった。
「黙ってろよ、コール」
 トリッピー曹長がコール曹長を注意した。
「お前ら静かにしろって」
 それをシーサー少尉が注意した。
すると不意にドアが開きサウス中尉が仁王立ちしていた。
「お前ら、こんなところで聞き耳を立てている時間があったらシュミレーションでもしていろ」
 サウス中尉が注意すると皆は、一目散に逃げた。
「クラインか。
確か大西洋連邦の副大統領もシーゲル・クラインといったな」
 サオトメは、思い出したように言った。
「シーゲル・クラインは、父ですわ。
父をご存知ですの?」
 ラクスは、さらにととんでもないことを言った。
サオトメは、頭が破裂しそうな頭痛を感じた。
その言葉に2人も一瞬言葉を失った。
「そんな人がどうしてポッドで漂流していたんです?」
 シグマン大尉がラクスにそう質問した。
「私たちは、スウィート・ウォーターの追悼慰霊のための事前調査に来ておりましたの。
そうしましたらデブリベルト内で大きなデブリに船が接触してしまいした。
船は、コントロールを失ったらしく船内はパニックになってしまいました」
 サオトメたちは、ラクスの話を黙ってき続けた。
「そうしましたら周りの者たちにポッドで脱出させられたのです」
「何てことだ」
 ラクスの話にシグマン大尉が表情を曇らせた。
「万有引力だな」
 サオトメが不意にそういった。
皆は、サオトメに注目した。
「物体は、その質量に比例し2つの物体間の距離の2乗に反比例する引力が作用するんだ。
すなわち巨大なデブリは、ほかのデブリの距離によってあらぬ動きをすることがあるんだ。
だから一攫千金を狙ってデブリに入る場合は、堅牢な作業用モビルが絶対不可欠なんだ」
 サオトメは、なぜ巨大なデブリが予想外の動きをしたのか推測した。

             ※

 アスラン中尉は、婚約者のラクス・クラインが行方不明になっているとも知らずに水の補給作業を続けていた。

             ※

「それであなたの船は、どうなったんですか?」
 サオトメは、ラクスが乗っていた船の状況を聞いた。
「わかりません。
ほかの方達も無事脱出できていればよいのですが」
 サオトメの質問にラクスは、表情を曇らせて答えた。
その表情と答えに皆は、何もいえなかった。

             ※

 アークエンジェルは、補給を終え発進した。
アスラン中尉は、ブリッジに呼ばれた。
「アスラン・ザラ、入ります」
 そういうとアスラン中尉は、ブリッジに入った。
すると皆の表情は、暗かった。
アスラン中尉は、そんな皆を怪訝に見た。
「アスラン中尉、非常に言いにくいことなんだけど」
 ラミアス艦長がそう切り出すがなんとも歯切れが悪い。
「実は、ラクス・クライン嬢が行方不明になった」
 それを見かねたクルーゼ中佐がそう切り出した。
アスラン中尉もショックを隠せず絶句した。
「私たちもユン・ロー隊の報告で先知ったの。
シルバーウィンドもデブリの中で大破して見つかったらしいの」
 ラミアス艦長が思い切ったように言った。
アスラン中尉は、更なるショックを受けた。
「でも安心して。
シルバーウィンドにあった救命ポッドは、使われていたからそれにラクスさんは乗って脱出できているわ。
アークエンジェルも月本部に向かう針路の中で最大限捜索するつもりだから」
 それを聞いたアスラン中尉は、表情を明るくし戸惑った。
「アークエンジェルが捜索を?」