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機動戦士ガンダムRS 第8話 敵軍の歌姫

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 アスラン中尉は、アークエンジェルがラクス捜索を行うのが意外だった。
「おいおい冷たい男だな、君は。
そんなのもちろんに決まってるじゃないか。
ラクス嬢は、大西洋連邦のアイドルで君は彼女の婚約者なのだぞ。
この事実は、大西洋連邦の国民はおろかユーラシア連邦の国民さえ周知している。
それなのに君が所属するアークエンジェルが捜索を行わずにどうする?」
 クルーゼ中佐が言うとアスラン中尉は、納得した。
すなわち婚約者が形は、どうあれ捜索を行ったという事実がほしいのだ。

              ※

 ラクスは、部屋の中でベッドに座りぼおっとしていた。
しかしハロに声を掛けられてわれに返った。
「ハロ」
 ラクスは、ハロに手を伸ばすとハロはラクスのひざの上に乗った。
「祈りましょうね、ハロ。
どの魂も安らぐことができるようにと」
 ラクスは、心からそう願った。

               ※

 ドゴス・ギアの食堂でサオトメは、食事をしていた。
そのときラクスがいる部屋の警備をしている兵から通信が入った。
「何だ?」
 サオトメは、通信に出た。
「ラクス・クラインが食事をしたいと申し出ています」
「わかった。
俺がもって行く」
 サオトメは、通信を切ると食事をもらいに受付に行った。
食事をもらい食堂を出ようとするとニール・アーデ少尉が立ちふさがった。
「それをどこに持っていくんです?」
 ニール少尉がサオトメに聞いた。
「保護した民間人だ。
民間人を艦内をうろうろされては、困る。
だから俺が運ぶのさ」
 サオトメは、そう答えてニール少尉を通り過ぎようとした。
「コーディネーターを助けた上司の下で働く部下は、かわいそうですね」
 その言葉にサオトメは、足を止めた。
「俺を左遷したいのなら正式に報告書をまとめて上層部に渡すんだな。
ここでお前がいくら叫んでも俺は、左遷されないぞ」
 サオトメは、ニール少尉に忠告すると去った。

               ※

 アークエンジェルのブリッジでは、ラミアス艦長が難しい表情をしていた。
「しかしまあ補給の問題が解決したと思ったら今度は、お姫様の捜索か。
悩みの種がつきませんな、艦長殿」
 そういうとフラガ大尉がラミアス艦長に敬礼した。
「無事見つかるといいわね」
 ラミアス艦長の願いは、それひとつだった。

               ※

 ドゴス・ギアのブリッジでは、航路の修正が行われていた。
「目標地点をルナツーに変更する」
 ブライアン艦長は、ベルナルド少尉に命令した。
「敵は、月本部に向かっているんですよ。
なのにどうして月本部へ向かわないんです?」
 ベルナルド少尉は、ブライアン艦長の判断に納得しなかった。
「サオトメのおかげさ。
あいつがクライン副大統領の娘を保護したことで戦争は、もうすぐ終わる」
 ブライアン艦長は、シーゲル副大統領の娘をルナツーに連れて行けばそれを材料に戦争を終結できると考えていた。
「彼女は、民間人です。
そんなことをすれば地球側の反感は、頂点を越えるでしょう」
 ベルナルド少尉は、反論した。
ベルナルド少尉は、戦争は終わらず逆に泥沼化すると考えていた。

              ※

 ロンバルディアのブリッジでは、ドゴス・ギアから修正された針路が送られてきた。
「ドゴス・ギアから目標地点の変更を確認。
地球軍拠点である月宙域からルナツーへ変更」
 ロンバルディアの通信士であるサリー・ミューラ軍曹がドゴス・ギアからの通信を述べた。
「目標地点を月宙域からルナツーへ変更」
 グラハム艦長が命令を出した。
グラハム艦長は、サオトメが救出した民間人の正体をわかっておりそのためルナツーに行くということもわかった。
「しかしドゴス・ギアは、大丈夫かな」
 グラハム艦長は、そうつぶやいた。
「何がです?」
 レディー軍曹が思わず聞いた。
「民間人の扱いだ。
ドゴス・ギア艦内にもブルーコスモスが多数存在する。
だからそういう人たちをサオトメが止められず民間人を殺してしまうんじゃないかと」
 グラハム艦長は、若いサオトメに暴徒となった部下を止められる力がないと感じていた。

               ※

 サオトメは、食事を持って廊下を歩いていた。
部下の視線は、コロニー軍のエースとしてサオトメを慕うものではなくむしろ裏切り者という感じであった。
サオトメは、その視線を受け流してラクスがいる部屋に入った。

               ※

 サウス中尉は、廊下を歩いていると部下に声を掛けられた。
部下が話したのは、食堂でサオトメとニール少尉とのやり取りを教えてもらった。
さすがにサウス中尉も驚いた。

               ※

 サオトメは、部屋の中にある机の上にトレーをおいた。
「皆さんと楽しくお食事は、できないのですか?」
 座っていたラクスは、無邪気にそう答えた。
サオトメは、その質問に心がえぐられたような痛みを感じた。
「『コーディネーターは、敵だ。
この世から排除すべき自然の摂理に反した存在だ』。
この艦内には、そんな思想を持つブルーコスモスが多数いるんです。
そしてコーディネーターであるあなたを助けた俺は、反逆者という目で見られているんです。
そんな状況でほかの人と楽しく食事ができるわけないでしょ」
 サオトメは、悲しく答えた。
ハロは、無邪気にすき放題言っていた。
「残念ですわ」
 ラクスは、サオトメの必死の回答でもあまり自分がおかれている状況を把握できていない状況だった。
「でもあなたは、優しいのですね。
ありがとう」
 ラクスは、笑顔で言った。
「俺は、別にブルーコスモスとして軍に身をおいているわけじゃない。
だから敵がコーディネーターだろうがナチュラルだろうが宇宙生物だろうが国民の生命と財産を脅かす存在と戦っていきます」
 サオトメは、自分の大儀を述べた。

                ※

 アークエンジェルのブリッジでは、ロメロ伍長が救難信号が流れていないかモニターで監視していた。
すると別の通信が入った。
ロメロ伍長は、解析を行った。
「艦長」
 ラミアス艦長は、ロメロ伍長に呼ばれて振り向いた。

                ※

「まったくなんで隊長は、コーディネーターなんか助けたんでしょうね?」
 パイロット2人は、サオトメに対する文句をすき放題言っていた。
「そうだよな。
俺たちは、コーディネーターを皆殺しにするために戦ってるのに」
 サウス中尉は、我慢ならず2人に近寄った。
「文句が言いたければそれ相応の技量と戦果を挙げるんだな」
 サウス中尉が言うと2人のパイロットは、走っていってしまった。

                ※

 アークエンジェルのブリッジでは、ロメロ伍長の隣にラミアス艦長がたっていた。
「間違いないのね」
 ラミアス艦長がロメロ伍長に確認した。
「間違いありません。
これは、地球軍第8艦隊の暗号パルスです。」
 ロメロ伍長が力強く答えた。
そのやり取りにバジルール副艦長も近づいてきた。
「追えるのか?」
「やってますよ」