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Wizard//Magica Wish −6− 後編

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「ほむらちゃん…ほむらちゃぁぁぁん!!」
「…っ!苦しいわ、まどか」

「こらこら まどか!まだ ほむら は病み上がりなんだから!」

夕方になると学校を終えた 鹿目まどか と 美樹さやか が見舞いに来てくれた。まどか は玄関からどたどたと足音を立てて部屋に入った瞬間に自分に抱きついてきた。泣きじゃくりなが何度も抱きしめてくる…少し苦しい。
「しっかし ほむら の回復力も凄いわね~もう完治しかけているじゃない」
「助かったわ 美樹さやか。今回ばかりは感謝するわよ」
「あぁ~もう硬っ苦しいなぁ!ほむら のその性格はもっとどうにかならないわけ!?」
「…前言撤回するわ」
「しなくて良い!!」
美樹さやか はいつの間にか私の事を名前で呼ぶようになっていた。そこまで親しくしなったつもりはなかったのだが。

「それにしてもそのパジャマ、私と同じサイズぴったりで良かったな!マミさんのじゃ大きくて…えへへ」
「…おほん、鹿目さん…それはどういう意味?」
「うえぇっ!!?ち、違いますよマミさん!そういう意味で言った訳じゃなくて…」

「…?」
そうだ、気がつかなかったが、今私が着ているパジャマは自分の所有物ではない。これは 鹿目まどか の物だったのか。ということは…一体誰が私の着替えを…
「ほむら、あんた意外にぺったんこだったのねぇ~」
「…っ!!美樹さやか…あなた」
「まぁまぁ!これからいくらでも成長するわけだし!!そう落ち込まなくても…」
「それ以上話すのであればその惨たらしい口をホッチキスで止めて二度と開けなくようにするわよ?」
「は…はい……すいません」
意識がない間、美樹さやかに着替えさせられたらしい。よりによって佐倉杏子の次にデリカシーがない彼女に着替えさせられるとは…屈辱だ。

「暁美さんの私服は戦闘でボロボロになったり大量に血が付着していたから今度私達が買ってきてあげるわね」
「ほむらちゃんの為にすっごく可愛いの選んできてあげるから楽しみにしてて!」
「この さやかちゃんのセンスに任せたまえ~!」

「…あ、ありがとう……」

久しぶりだ。こんなに暖かい時間が訪れたのは。
けど、私は気を許してはいけない。
あの時決めたんだ…もう誰にも頼らない…信じないと。
今回も、全て自分の為。まどか を救う為の一手段にしか過ぎない。

受け入れてはいけない…今という時間を。



………

「どこにもいないなぁ~あの魔女…はむっ」
「そうだね、歩き疲れたしそろそろ帰ろっか?はむっ」
「おいおい、まだ半日も経ってねぇぞ。これじゃあマミに怒られちゃうよ。はむっ」
「そうだね、もうちょっと頑張ろうか…むぐ…あ、もう無いや」

ミサを探しに出て行ったハルトと杏子は休憩がてらにドーナッツ屋でプレーンシュガーのドーナッツを食べていた。ハルトが注文した分は既に無くなったのだが、杏子は食べては再注文、また食べきっては再注文と…ずっと満腹になることなく食べ続けていた。
時は夕暮れ、学生なら既に授業は終わり下校時間である。
昼から捜索を開始したのは良いが、どこにもミサの姿は見当たらなかった。
まぁそんなに頻繁に現れてもこちらが困るのだが。

−ドーナッツなんて久しぶり~何食べる?−
−俺はチョコ沢山かかった奴でいいかな?お前は?−
−私これ~!苺のやつ!ねぇ今月厳しいからおごってよぉ~−


「「ん?」」

店に見滝原中学の制服をきた男女のカップルが入ってきた。カップルはカウンターでドーナッツを選び、ハルトと杏子の座っていた隣りのテーブルに座った。
−これ超おいし~!食べてみなよ!−
−んっ…美味っ!−
二人は座ると同時にお互いの持っていたドーナッツを相手に食べさせる…人前だというのに恥ずかしくはないのだろうか。

「うわっ、あれ本当に美味しそ~」
「杏子ちゃん、よだれ」
「なぁなぁハルト!あたしもあれやってみたい!」
「…は、はぁ?」

急に杏子が隣りのカップルを指差すや、自分もやってみたいと言い始めたのだ。彼女の場合、恋人的なことではなく、ただ単に興味本位でのことだろうが。
もちろん、そんな中でもないハルトにとっては正直厳しい。
普段は全てにおいて無頓着…と言い切れる自身があるハルトだがこれはこれで気が引けるのだ。第一、それ以前に彼女はこういうことに関しては全くのど素人の為、悔しいが自分以上にこういう抵抗はないのだろう。

「やだよ」
「は?なんでさ!」
「恥ずかしいじゃん」
「恥ずかしい?ただ私がハルトに食べさせてもらうだけだぞ?」
「だからそれが嫌だっていってるの。自分で食べれば良いじゃん」

まさに自分の言うとおりだろう。
頼む、諦めてくれ…もう変な気を使うのは懲り懲りなのだ。
目の前の彼女と言い、常に自分の命を狙ってくる黒髪美少女と毎日相手するのは本当にしんどいのだ。

−…ねぇねぇとなりのカップルの彼氏、彼女に対して冷たくない?−
−あぁ、ありえね~−

「…っ…」
「なぁ、頼むよ~一生のお願い!」

あぁ…また変な空気になってきた。大体、目の前にいる大食い少女は自分の彼女ではない。こんなのを彼女にしたら食費が3日で全て消えてしまう…。何故杏子ちゃんはこんな恥ずかしいことには無抵抗なのだ。どれだけ恋には無頓着なのだ。いや、根本的に恋には無縁か…。
今度、美樹さやか大先生に恋がなんたるかを教えてあげてもらおう。

「わかった、俺の負けだよ…ほら、あ~ん…」
俺は仕方なく一個だけドーナッツを注文し、ドーナッツを杏子ちゃんの口元に運んでやる。すると杏子ちゃんは満面の笑みを浮かべて大きな口を開けた。自分より発達した八重歯をちらつかせる…こうしてみると、本当に犬みたいだな。あとその乱暴な喋り方さえ直せば可愛いんだけど…。
「はむっ!…んぐ…んぐ…」
「どう?どんな感じかな。ちょっとドキっとした?」
「んぐ…んぐ…う~ん…やっぱ自分で食べた方が良いな。正直食べづらい」
「おい」
やっぱ杏子ちゃんは杏子ちゃんだな。

・・・

−それでさ~体育の授業でまたあの先生いやらしい目で女子見てきてさ~−
−あぁ~わかるわかる…本当あいつ気持ち悪いよね−

「ぷは~!食った食った!」
「食べ過ぎ、そして時間かけ過ぎ」

あれから30分経った頃、ようやく杏子が満腹の信号を出したのだ。ドーナッツの総注文数は彼女だけで2桁にもなる。おそらくドーナッツを食べただけで「桶口さん」を見ることになるのは始めてだろう。いや、下手すれば「諭吉」か…。

−あっ…体育といえばさ~あ、今日は学校来てなかったか−
−何?どうしたの?−
−いや、今日は巴さん学校来てなかったと思ってさぁ−

「…っ?」
「ん…?」

どうやら隣りにいるカップルの彼女さんはマミちゃんと同じクラスの女子らしい。あの口ぶりから見て間違いはないだろう。
−いっつも可哀想だよ?みんなからはぶられてさぁ~。体育の準備体操の二人一組の時なんかいっつも先生とかと一緒にやってるし−
−あぁ、巴マミって人?結構美人じゃん。何、もしかして嫉妬してんの?−
−なんか壁あってさぁ、むかつくんだよね。最近は学校来てないからついに不登校?ははっ!−